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今国会、小川淳也が熱い

国会議員というのは、その質疑が注目されることで、ものすごく栄養分を吸収するようだ。
それほど今国会の、小川淳也氏の質疑は熱い。

失礼を覚悟で言えば、これまで、「小川淳也」という名前は、誰もが馴染みのある政治家の名前、というには及ばなかった気がする。
そんな彼が、同年2月4日の質疑で、「改ざん」「データ偽装」というこれまでの政府の前科とつなげて、「信用がおけない」と鋭く批判した質疑は、当初はマスコミにも取り上げられなかった。
世論をリードしたのは、やはり「ネット」だった。
多くの人が、書き起こしなどを引用し、称賛した。
マスコミは、その後を追うように、徐々に「小川質疑」を取り上げ始めた。
この時の質疑は下のブログで。

統計不正、小川淳也氏の質疑で見えてきた筋書
2月4日の予算委員会。 205分を1.5倍速でなんとか全部聞き終えた。 トップバッターの質問者、立憲・長妻氏の投げた最初のテーマ「大西・前政策統括官を参考人として呼ぶことを理事会が拒否」というところで、ああ、これはかなりクロに近付い...

そんな絶好調の小川議員の質疑を再び取り上げてみようと思う。

2019年2月18日の国会では、統計不正問題の前に、「安倍首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦した件」について、質疑をした。
この件は、米国に対するアホらしいばかりのゴマすりっぷりを世界にさらした、という以外に評価のしようがない案件だと思っていたので、その質疑自体は大して重要なものとは感じていなかったが、安倍首相から、ちょっと意外な答弁が飛び出した。

「米国は、日本の唯一の同盟国であり、その国の大統領に関しては一定の敬意を払うべきであるだろうと、私はこのように思うわけであります。御党も政権を奪取しようと考えているんであれば!ですね。」

一定の敬意」とは、ノーベル賞推薦をすることだろうか。
政権を取るのであれば、大統領をノーベル賞に推薦するくらいのおべんちゃらを極めないと、アンタがたも政権なんか取れませんよ、ということか。

なに宣言だ、これは。

「ワタクシのこの媚びヘツライの極みを見よ!」
と、自慢されてもね。

ある意味、官僚や下っ端自民議員の「媚へつらい」、ひいては「忖度」に支えられている安倍政権であるから、ノーベル賞推薦も彼なりの「忖度」なのかもしれないが、そんなことを堂々と自慢されても、聞いてる方は「そりゃどうなの」という感想しか持てない。

さて、統計関連の質疑から、印象に残ったものを一つ

ここに、安倍首相がいつも引き合いに出すたとえ話がある。
以前、記事にしたことがあるので、本ブログから引用する。

例2「家庭で言えば、例えばAさんにはBさんというパートナーがいて、Aさんは50万円もらっていた。そこでBさんも仕事に就くことになったが、30万円の収入しか得られなかった。二人を平均はすれば40万円になったわけだが、これは下がったのではなく、家族の収入は80万円に上がったのだと考えることができる。同じことが実態経済でも言えるのではないか。」
・・・よって、「総雇用者所得は増えた」→国民が豊かになった。
安倍首相の国会答弁を深読みしたら、見えてきたアベノミクスの正体2019.02.07

この「総雇用者所得が増えたということは、世帯の稼ぎが上がった」に、必ずしも繋がるのか?

これに対して安倍首相、意味不明ななかにおいて、まさに、意味、不明の、答弁、で、とにかく総雇用者所得増で景気が良くなったと主張する。
安倍答弁を全部書き起こせば、たぶん読むのがいやになって、この記事のブラウザを閉じてしまう人が大半になると思うので、それはしないでおく。

小川議員がすかさず返す。
「総理が今仰ることが本当にそうであれば、なんで国民の7割8割が、景気回復を実感しないと答えるんですか?総理の実感が、総理の仮説が間違っているんじゃないですか?一方的な思い込みじゃないですか、総理の。」

そこなのだ。
小川議員は、多くの国民が抱いている感情と、質疑を組み合わせて、理屈ばかりでない、一番国民が感情的に訴えたいことを、ちょっと煽るような口調でぶつけるのが得意だ。

先日の質疑でもそうだが、まずストレートに「統計不正を指示したのではないか?」と聞き、もちろん与党が「そんなことはない」と否定したところで、「この政権は公文書書き換えさせてますからね?そういう政権なんですよ。そういう体質を持った政権なんだ。その前提で聞いてるわけです。」と、ぶつけるのと、同様の攻め方だ。

小川議員の質疑によれば、世帯数が増えている、また、世帯人数が少なくなり、独居も増えていることを考えると、必ずしも、「奥さんがパートに出て世帯収入が楽になった」現象は、すべての世帯には当てはまらないのではないか、ということだ。
それはもっとも。

そして、この日最も熱かった、最後の質疑を一発

小川議員「私ね、いろいろ数字調べました。統計の中身も調べた。素人だけど、一生懸命調べました。でも途中からね・・・

なんでこんな数値論争してんのか!、と。

なんでこの政権とこんな数値論争で、もがいてんだろ、と。私は途中からそう思うようになったんです。もしこの国の総理大臣が、いい数字持ってきたらですよ、『いい数字はもういいから、お前たちで勝手にやってってくれ。どっかに悪い数字はないのか。そこで困ってる国民はいないか。そこに社会の矛盾が埋もれてないか。』というような総理大臣だったら、そもそもこんな数値論争は起きてないじゃないか。(場内拍手)自分の政策の、あたかもすべてが効果であるかのように喧伝し、統計のルールを変えたことの説明も不十分で、そういう総理大臣の姿勢である限り、国民は救われないし、正しい経済政策は打たれませんよ。」

これは、政治の理想的姿だけど、あまりに美しすぎる・・。
安倍政権にこれを望むことは、ワニの逆立ちくらいありえないことで、そもそもそんな期待を持ってる人はいないと思う。

ただ、他の政権でもここまでのキレイ事を「実践」できるかは、正直ギモンである。
しかし、近ごろでは、政権においてこういう持論を述べる人が、例え「うわべだけ」でもいなくなったことは事実だ。

政治からキレイ事が消えることは、深刻な現象だと思う。

政治からキレイ事がなくなれば、人々は政治に何も求めなくなるし、そうなれば政治はますます人々から離れたところで勝手に進められる。
それが今の日本の最も心配な点だと思っている。

そんな心配事を克服するためにも、いい発言をした国会議員は、栄養分を届けるためにもどんどん取り上げ、せめてキレイ事を言う政治家が増えるように、大いに応援しようと思う。

 

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