英語の民間試験導入が延期になったが、残っていた国語と数学についても、政府は導入延期を発表することになった。
(2019年12月16日日経)
これまでどんな非道な法案も、世論が何と言おうと、野党が何と言おうと、突き進んで強行採決してきた自公政権だが、「桜を見る会」で足元が揺さぶられ体力がなくなった政権というのは、こんなにあっさりあきらめるものなのかと、少々驚いてしまう。
「受験生の不安」を考慮したという言い訳になっているが、そもそも受験生のことなんて、これっぽちも考えていないから、こういう利権丸出しの案件に力が注がれてきたわけで・・。
これには他に、引っ込めなければならないような事情があるのではないか、と疑いの目を向けていたところ、胡散臭い話が持ち上がってきた。
記述式入試の採点を行う『(株)学力評価研究機構』の本社住所のある新宿の三井ビルを同僚議員と訪問。『学力機構』の看板は無し。対応した親会社ベネッセの役員は『学力機構の所在地や社員数、電話番号は言えない』と回答。50万人の高校生の採点を60億円で受託した会社はペーパーカンパニーではないか? pic.twitter.com/9dazjHJdmy
— 山井和則 (@yamanoikazunori) 2019年12月16日
この「学力評価研究機構」というのは、大学入学共通テストの採点を請け負う企業なのだが、そもそも「機構」とか名乗っていることで、一瞬NPOかなにかと見紛うトリッキーなネーミングになっていてるところが、腹が立つほど小賢しい。
正式名称は、「株式会社 学力評価研究機構」なので、ふつうの企業と理念は何ら変わらない。
ベネッセが100%出資している子会社だ。
「学力評価研究機構」に関しては、塩川鉄也議員が、予算委員会で安倍首相にも質問している。

12月16日には「第7回記述式試験導入問題野党合同ヒアリング」が行われたので、視聴してみた。
上の山井議員のツイートにあるように、一部の野党議員が「学力評価研究機構」の住所を訪問したが、門前払いにあう。
その経緯をヒアリングで関係者に説明したあと、こう続ける。
辻 新テスト実施企画部長「私は把握していません。」←ナント
川内議員「入札の決済には関わりましたか?」
辻 新テスト実施企画部長「・・グダグダ・・」←はい、いいえを言いたがらない。
ちなみにこの辻氏という人、独立行政法人大学入試センター・新テスト実施企画部長というのが、正式な肩書きだ。
結果的に入札にも選定にも、この人は途中経過で関わっていたらしい。
だが、相手の企業の規模も知らない・・と、すごい話だ。
これは、ペーパーカンパニーということを承知で業者選定したか、もしくはその辺は伝えられずに結果ありきで無理やり貫かれたか、のどちらしかない。
記述式試験導入の裏で、こんな利権の無茶ぶりが行われていたとは・・・。
眩暈で倒れそうだ。
最初に山井議員のツイートを見たとき、ペーパーカンパニーとはいくらなんでも・・・と思ったのだが、いやいや、これは本当にその可能性が大である。
いや、おそらくそうなのだろう。
ベネッセの一部の社員の名前を流用して、便宜上仕立て上げた企業、つまりペーパーカンパニー。
プロパーの社員なんか、最初からいないのだ。
こりゃビックリだ!
これは、追及によっては、「桜を見る会」にならぶ疑獄に発展する可能性もある。
政府が「記述式導入」を引っ込めたのには、政権の弱体化で無理を出来ないというだけでなく、疑獄化するリスクを抱えている案件だから、ではないのだろうか。
原口議員「つまり、高校事業部を切り出したものが会社になってる可能性が非常に高いという。」
この電話番号の話もすごい・・。
文科相官僚「ベネッセです。」
畑野君枝議員「分からないのは、学力評価研究機構の実績に応じて選んだって言うんだけど、採点業務の中心はベネッセなんですよ。学力評価研究機構っていうのは補助事業なんですよ。それがなんで実績が評価されたのかって言ったら、結局ベネッセのやってきたことを評価している、ってことでいいですか?」
文科相官僚「モニョモニョ・・ええ・・内容等を評価して・・・」
畑野君枝議員「『等』とか言っちゃう。そして(学力評価研究機構の)実体はないと、分からないと、そして社長はベネッセの〇〇部長だと。だったらなんでベネッセホールディングスのまま請け負わなかったのかっていうと利益相反の疑念を抱かれるから、そのためだけに立ち上げた株式会社じゃないですか。結局やってるのはベネッセなんですよ。今日会社に行っても、出てきてくださるのはベネッセHの方ですからね。秘密の業務だからと言って何も公開されない。部長さん(ヒアリングに来た関係者)も知らない、一部の人だけが知っていると。これ、株式会社って言えるんですか?
延期になって「入試問題」は終局を迎えるのかと思いきや、これは新たな疑獄への幕開けかもしれない。
下村博文氏は、舞台裏でどんな無理を通してきたのだろうか。
2020年、政権を揺るがす震源地は「桜を見る会」だけではないかもしれない。