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「検事長定年延長」問題、法解釈変更は「口頭決裁」で!?

2月20日の衆議員予算委員会、連日「検事長定年延長」問題が議論されているわけだが、これはもはや「議論」と言っていいのか迷うレベルになっている。
無理な閣議決定のつじつまを合わせるために、法務大臣がメチャクチャな答弁をし、人事院の役人がそれに合わせて答弁を変更したり、とにかく政府の機能があらゆる方法で安倍首相の発言を追って、それに寄せていく。
本当に見ていられない。

 

今井議員は、この問題の質疑で森大臣から、「この法解釈をしたのは法務省である」との意の答弁を得る。
そこで、解釈を変えるために議論をされたという、その議事録等の書類を提出するように要求する。
質疑は小川淳也議員に引き継がれる。(←待ってました~個人的見解)

 

小川議員「昼の理事会に、この検察人事勤務延長に関して、公式文書が提出されたのを拝見しました。法務省と人事院それぞれから出てきています。この紙が真正のものでなおかつ時期的に狂いがなければ、それ相応の検討がされたと受け止められる文書だと理解しました。その前提でお聞きしますが、これ、法務省も人事院も、文書に日付がない。どういうことですか?

 

まぁ、これまでウォッチしてきた立場から言わせてもらえば、「後から作った」から日付がないのだろう。

 

森大臣「日付はありませんが、答弁にあった日付で間違いない。」(←もはや「総理大臣が言うんだから間違いない」並みの答弁)
人事院松尾氏「直接書類を渡したので、特に日付を記載する必要がなかった。」
(「どんな国なんだよ!」という本多議員のヤジが聞こえた)

 

小川議員「これ、当たり前のことですが、何月何日に改正されたか分からない法律なんて世の中にないんですよ。解釈を含めて、法制が適用され、何月何日午前零時から新たな法令されるかが分からない法令改正っていうのはあり得ないんだ。これは法律だろうが政令だろうが解釈だろうが、全部一緒です。こんな重要文書に日付を打っていないなんて初めて見ましたよ!確認しますが、内部決裁取ってますね?」
森大臣「必要な範囲で決裁を受けたと認識しております。
人事院松尾氏「決裁は取っておりません。」←ぎゃー
小川議員「こんな重要な文書を決裁取らずに法令解釈したなんて、聞いたことないっ!いったい霞が関の中でなにが起きているのか検証してください。」

 

いや、もうすごいよ。
日付のない法令文書とか、もうまた文書管理でひと悶着起きそうな予感がする。
どんな質疑もわりとクールな小川議員は、本日は激オコモードである。

 

小川議員「法務省はどうですか?」
森大臣「部内で必要な決裁を取っております。」
小川議員「そしたら、決裁書、念のため、ここまで疑わないと疑念が晴れない段階になってますので、この文書を打った、担当職員のパソコンの電子記録、いったい何年何月何日何時にこの文書を打ったか、それもあわせて確認して今日中に委員会に提出してください。」

 

「ログを出せ」っていう、なんだかさんざん聞いたことがある話になってきた。

 

これはおそらくこういうストーリーだ。
多分、安倍首相が、逮捕の危機が迫る案件が自民党内に続いているので、捜査に手心が加えられるようなクサイ息のかかった検察官を、検察庁トップの検事総長に据えようと画策。
ところが、最もクサイ息のかかっている黒川氏を検事総長にしようにも、彼はもうすぐ定年になってしまう、現検事総長に「ちょっと早めに引退してくれないか?」と打診もしたかもしれない、でもそれがうまくいかなかった。
では、黒川検事長の定年を伸ばしてしまえばいいのでは?
ということで、閣議決定をした。
どうせ、内閣法制局長は、すでにクサイ息のかかった人物だ。
障害はない。
ここら辺までが1月中の話。
その後、2月10日になり、山尾議員から定年制度を加えるための国家公務員法改正(昭和56年)を議論している最中に、人事院の役人が「この改正案に検察官は含まれない」と明確に答弁していたのが発覚した。
これだけ明確な立法意思が示された以上、本来ならこの話は頓挫するのだが、13日になって急に安倍首相が衆・本会議で「法解釈を変更しました」と言ってしまった。
ところが「法解釈」なんて、安倍首相が唱えればそれでいい、という簡単な話ではない。
しかも、「法解釈」という言葉が出てきたのは、黒川氏の定年日がとっくに過ぎた後の話だ。
ここは、何としても閣議決定前の1月中に「法解釈」をすでにしていた、という痕跡が必要となる。
そこで出てきたのが、この文書だ。
これは、2月になってから、山尾議員の質疑より後に作られたと言って間違いないだろう。
小川議員の、ログを見せろとは、つまりそういうことだ。

 

この国の中央はガタガタだ。
現在、コロナウィルス対策の失敗で、安倍政権は国民から厳しい目にさらされているが、今ごろ、コロナウィルスの初期対策に関連した「1年未満文書」が、大量に大型シュレッダーの予約待ちをしているのかもしれない。
文書を軽視するというのはつまりこういう国家だ。

 

その翌日の21日深夜、驚くべきニュースが入った。

 

法務省、深夜につじつま合わせか
法務省は21日深夜、文書に関し「口頭による決裁を経た」と突然発表し、森氏の答弁との整合性を取った。野党は口頭決裁は存在しないと主張しており、法務省の対応を批判するのは必至だ。
(2020年2月21日共同)

 

20日の森大臣答弁で、「決裁しております」ではなく、「と認識しております。」という表現に引っかかってはいたのだが。
それにしても「口頭による決裁」とはいかなるものか?
「冷却による加熱」みたいな矛盾を感じる。
「募集ではなく、募っている」と総理大臣が放言してから間もないが、この国はだいぶ壊れている。

 

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