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【桜を見る会】中止発表を受けるまでに、国会で起きたこと

首相の出席する予算委員会はないが、国会では今日もさまざまな委員会がパラレルで開催された。
野党議員たちは、「桜を見る会」に関する追及に虎視眈々としているが、委員会でそればかりを話題にするわけも行かず、それぞれが持ち時間の一部を割いて、各管轄大臣に「桜を見る会」について質問がされた。
そんな場面を、ここに少しづつ集めてみようと思う。

 

ちなみにこれらの委員会は、同日にスガ官房長官が「来年の『桜を見る会』は中止」と宣言するよりも、以前に行われたものである。
どの答弁も極めて苦しいものであることが分かる。
これらの委員会があったことも、その決断がくだされる要因の一つにもなっていたのかもしれない。

 

11月13日衆・文科委員会 立国社・村上史好氏vs萩生田文科大臣
決して切れ味のいい質問者ではないのだが、いくつか興味深い大臣答弁があった。

 

村上議員「(萩生田後援会の)常任幹事会は、萩生田大臣が内閣府に推薦し、総理から招待を受けた方々になるんでしょうか?」
萩生田大臣「違います。あくまで個人が招待されていて、現場でお会いしただけです。推薦する仕組みがございません。」

 

「推薦する仕組みがない」?
真っ赤なウソである。
この答弁、「虚偽答弁」にならないだろうか?
同じ日遅くの、野党による内閣府のヒアリングで、内閣官房担当者は、安倍総理大臣の事務所から招待者の推薦があったことを認めている
萩生田氏に関しても、この点は同様だったはずだ。

 

村上議員「将来的に、どのように開催されるのが望ましいと大臣はお考えか?」
萩生田大臣「私の後援会の人がゴッソリお招きいただくようなことがあれば、誤解を招くんですけれど、各層・各界の皆様がそれぞれお招きを頂いたということで、行かれた人に行けなかった人から、クレームなどがあったのも事実でございますので、基準は今後明確にしていく必要があると思います。」

 

招待された人とされなかった人の間で、軽いいさかいがあったことをさりげなく告白。
安倍後援会からの参加者は、まず山口県から飛行機で上京し一泊する必要があるので、行きたくても7万円の参加費が払えず断念する人も少なくないと思うが、萩生田大臣の地元は多摩界隈なので、参加費タダで「桜を見る会」には、直行直帰できるので、少なくとも経済的な問題で参加を断念しなければならなかったような人は、あまりいなかっただろう。

 

その後、村上議員は、内閣府では「桜を見る会」の関連文書の保存期間が1年未満であるが、文科省にも、内閣府から推薦者を打診してそれに回答した文書があるはず、この文書の保存期間は10年となっているので、これを見せろと要求する。
ところが萩生田大臣は、例によって個人情報云々を盾に、開示を拒否する。
このやり取りで、文科省に文書があることは分かった。
あとは、これをなんとかして引っ張り出すだけだ。

 

次は、11月13日衆・厚労委員会 立国社・小川淳也議員vs加藤勝信厚労相
統計不正問題でキレッキレの質疑をした統計王子、小川議員。
例によって、鋭いキレで

 

小川議員「参加者について加藤先生の事務所で取りまとめるというようなことは行っておりますか?」
加藤厚労相「あくまでも内閣府において発出されている。」
小川議員「最終的に内閣府から届けられるにあたって、加藤先生の事務所が、案内先等について調整を行う、取りまとめを行う、ということはございませんか?」
加藤厚労相「私のところで取りまとめるということはございません。」

 

橋本岳厚労副大臣、小島敏文政務官、にも同じ質問をし、同じような回答を受け言質を取る。
こういうところ、プリンスだけに議論のスジつけは、実に抜け目がない。

 

小川議員「石破先生は、党役員に特別枠があったようなことをおっしゃておられたが、総務会長をご経験の加藤先生はどうか?」
加藤厚労相「枠、という認識はしておりません。」
小川議員「加藤大臣、ゴハン論法という言葉の生みの親でもあられるわけで、言葉尻は置いておくとして、よく質問の主旨を踏まえてご答弁頂きたい。『枠』というのは、だいたい何人ぐらいまで加藤先生の関係者を受け入れるよ、という内々の指示であり暗示であり、という意味でお聞きしてます。実体としてそれがあったのか、なかったのか、明確にお答えいただきた。」

 

統計王子、本日も切れ味絶好調。

 

加藤厚労相「50人とか、100人とか、そういう枠を設定されて話を頂いたことはありません。」
小川議員「よく一度事務所にお尋ね頂いて、整理をお願いしたい。同時に加藤大臣は官房副長官もお務めでしたから、こういった政府の取りまとめの要にある方であります。そういう点からも、今後聞きたいことがたくさんあります。」

 

次は内閣府の大塚官房長を呼んで。

 

小川議員「総理は国会で、招待者の取りまとめには関与していないというご発言をなさっています。一方、昨夜から今朝にかけて、安倍晋三事務所の名義で、参加者募集のご案内なる文書が、確認されているようです。・・政府として取りまとめを行うにあたって、安倍事務所から誰に、何名、という事務的な連絡はありましたね?」
大塚官房長「内閣府において各省庁等からの意見を踏まえ・・以下略。安倍事務所の文書なるものは承知していない。」

 

「内閣府において・・・」という答弁は、大塚官房長がここ数日だけで、おそらく数十回は同じ答弁をしている文言である。
国会を聞いている身としては、この何度も繰り返されるヘビーローテーションのフレーズが、夢に見そうになるほどだ。
だから、以下略とした。

 

小川議員「各省庁『等』の中に、安倍先生の事務所は入りますか?」

 

キター、これぞ元総務省官僚ならではの、小川淳也節!
実はこれ、「桜を見る会」に関する質疑はしつこく視聴している身としては、軽く驚いた。
「内閣府において各省庁等からの意見を踏まえ・・」というくだりは、何度も聞いたが、「」を意識したことがなかったからだ。
というか、昨日の質疑の動画を引っ張り出して探してみたが、たぶん、昨日の時点では「等」はついていない。
今日の質疑になって、はじめて各省庁に「」が付くようになったのだと思う。

 

大塚官房長「各省庁は、各省庁で、それぞれのいろんな方面から、さまざまな推薦をいただくこととなっていると推測されます。」

 

苦しい答弁だ。
しかしあくまで「等」に安倍事務所が含まれるかどうかは答えない。
この後小川議員は、厚労委員会の理事会でもって、この「等」について回答させるようお願いする。

 

11月13日衆・厚労委員会 立国社・柚木みちよし議員

 

柚木議員は、安倍事務所が山口の後援会員に送った参加打診の手紙のコピーをもって質疑に挑む。
安倍首相は、田村智子氏の質疑の時、「私は招待客取りまとめに関与していない」と答弁している。
これは、虚偽答弁ではないかと、大塚官房長に迫った。
実際に手紙が出てきた今となっては、官僚が「招待客選定の安倍首相の関与否定」をこれ以上支えることが出来なくなったのだろう。
ちょっと面白かったのは、小川議員で「各省庁等」と言いはじめた大塚官房長が、この質疑では表現を再び「各省庁」に戻していたことだ。
観念の表れだったのではないかと思う。

 

速報で、「来年の会は中止」が出されたのは、そのあと2時間後の話だった。
安倍首相が、この中止について、「私の判断で」とわざわざ強調したのは、これらの国会での経緯から、「これ以上は無理です」と諭されたのではないか。
誰かに自分の意思を「阻止される」なんてことは、安倍氏は絶対に受け入れられない、そういう人となりは、以前からよく言われている。
「これは私の判断です」と、謎なポイントをわざわざ国民に主張したのは、そういう彼の悪あがきだったのかもしれない。

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