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「法の支配」の意味知らず 小西洋之議員が引き出した首相の無知

3月6日の小西洋之議員の質疑には、もう一つ注目しなければならない重要なやり取りがある。
安倍首相が、「法の支配」の意味を問われて答えられないという珍事が起きた。
横畠氏の暴言は、マスコミでも少し紹介されていたようだが、たぶんこのくだりは、マスコミに取り上げられることはないだろう。
そう思い、状況を詳しくしたためておく。

小西議員「安倍総理、よく『法の支配』という言葉をおっしゃいますが、法の支配の対義語はなんですか?


暫時フリーズ。

おもむろに、秘書官を振り返り、カンニングを試みるも失敗。

なんなら、隣に座ってる麻生大臣、「ささやいてやれよ」とも思うが、
かなりの確率で、麻生さんにも分からなかった可能性が高い。

そして、答弁卓に付く。

安倍首相「あの・・いわば・・エヘヘ。私が申し上げてるのはですね、私が申し上げてる『法の支配』というのはですね・・まさに、反対語というよりも、法の支配はですね、いわば・・この・・え・・海・・繁栄の海・・アジア太平洋の海を繁栄の海としていく、インド太平洋を繁栄の海としていく・・地域としていく上においては、法の支配、国際法の支配の中において、ルールを守るということが大切であると、いわば、力による現状変更ということは認めないということでございまして、そういう意味に置きまして、まさに、法の支配による、ルールによる国際チジを(チジ?ってなんだ)維持し、平和な海を守っていくことが、それぞれの国の繁栄につながっているということを示しているところでございます。」

この答弁の意味が分かった方はいるだろうか?

分かるはずがない。
そもそも答えてないんだから。
衆議院だと、この回答にもなっていない無意味な言葉の羅列が、質問者の持ち時間としてカウントされるので、質疑に立つ議員は首相を相手にすると、毎回これでキレそうになる。(これを質疑時間制限の『往復方式』という)
一方、参議院ではその点、『片道方式』なので、どんなにベラベラ余分なことを申し立てられても、質疑者は比較的穏やかに、質疑に臨めるのである。

さて、この意味不明答弁に対して小西議員が再び。

小西議員「法の支配の対義語は、憲法を習う大学の1年生が、一番初めに習うことですよ。改憲を唱える安倍総理が、『法の支配』の対義語を答えられないんですか?一言で答えてください。」

再び、暫時フリーズ。身動きひとつない。

これ、大げさではなく、動画で見ても、本当にこの写真と同じ映像が8秒くらい続く。

小西議員「憲法がよって立つ基本原理すら理解せずに改憲を唱えている安倍総理に、教えて差し上げます。『法の支配』の対義語は、『人の支配』です。権力者の戦乱的行為によって、ルールを捻じ曲げて、国民の自由や権利を侵害する、そういう時代がかつて人類にあったから、近代立憲主義に基づく憲法を作る。その近代立憲主義に基づく理念が『法の支配』の原理なんですよ。」

小西議員「『法の支配』の対義語を安倍総理が知らないということに、国民の皆さんも驚いていることでしょう。」

驚いた、というか「やっぱりな!」というのが、正直なところだ。
安倍首相が『法の支配』という言葉を使うシチュエーションが、二つある。
それは他人に対して「法律を守れ」という時と、
首相自身や身内が起こした、倫理的に疑わしい行為について「違法じゃない」と逃げる場合だ。

閣議決定した「セクハラ罪という罪はない」なんてのは、その典型例だ。

それは、『法の支配』という意味を、知っていながら捻じ曲げて、「法律を作って無理を通すこと」と詭弁を弄しているのかと思っていたが、実際はオリジナルの意味すら知らなかった、というのがオチだった。
情けなくて泣けてくる。

議場に立つと、すぐに「〇〇とはなんですか?」と始める小西氏を「クイズ王」などと揶揄する向きもあるのだが、現政府というのは、言葉の勝手な解釈と意味のすり替えが異常なほど頻繁に行われる。

つい先ごろも、「隠匿」という意味を、官僚が勝手に「法に触れるような悪質な行為を、隠そうという明確な意図と悪意を持って隠すこと」なんていう根拠のない解釈で、本来、単純に「隠匿」としか思えないような事柄を、「よって隠匿ではない」と言い切ったのだ。
官僚が拵えた「特別監察委員会」が、この「悪意」を確認できなかったから、「悪意はなかった」→「隠匿じゃない」というスジだ。

これにはまず、議論に入る前に「隠匿の意味を言ってください」と、言葉の解釈の言質を、相手から先に取っておくのが有効だ。
小西氏が「クイズ王」になるワケは、おそらくそこにある。
またこれは、『片道方式』を取っている参議院だからこそ、本題に入る前にじっくりと固められるやりかたで、こうした時間的余裕にも、参議院が「良識の府」と言われる由縁かもしれない。

採決に入れば、あっという間に与党多数に持っていかれる議会だが、ここは時間いっぱいまで、現政権の恥部をじゃんじゃん引っ張り出してほしいものだ。

 

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