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IRカジノ事業の舞台裏がヤバい 予算委 塩川氏+大門氏

「桜を見る会」問題の経過を見ていればすぐに分かることだが、現在の政府は国家機能として相当壊れている。
その壊れた政府が「カジノ事業」なるものを扱えばどういう事態になるか、それは多くの人にとって想像するまでもないだろう。
1月31日の参・予算委員会では、共産党の大門、塩川両氏から、IRカジノ事業に関する問題が掘り起こされ、薄々感じてはいたが、聞いてビックリな事実が現れることとなった。

 

まずは塩川議員、カジノ管理委員会の構成員やその待遇、関係企業をパタパタとハタキをかけることで、思いもかけない塵が出るわ出るわ・・・。

 

塩川議員「カジノの問題は利権問題にとどまらない、刑法が禁じている賭博について、『公設・公営・公益』の場合に限って認めていたものを民間企業に初めて認めたのがこのカジノ法。安倍総理が成長戦略という収益の8割はカジノのアガリである。賭博で負けた人の不幸を『成長戦略』とは情けない話。」

 

こういう基本情報をまず押さえておこう。

 

そして、話は問題の「カジノ管理委員会」へと入る。
この組織の意義は、政府の建て前としてはこうである。
「最高水準のカジノ規制を行うことで、クリーンなカジノIRを実現するための中核的な役割を担う機関」
聞くからに胡散臭さが漂う。
なぜなら、日本政府はこれまでも、「独立した」「規制委員会」で「公正な運営」ということを、大いに苦手としてきた。

 

この「カジノ管理委員会」に6人の民間事業者が入り込んでいるという。
・あずさ監査法人(2人)
・PwCあらた有限責任監査法人
・あさひ法律事務所
・森・濱田松本法律事務所
・日本政策投資銀行

 

メンバーは、元企業に籍を置いたまま、「非常勤国家公務員」として勤務する。
勤務は週5日、一日5時間45分と、フルタイムにしては軽めの設定ではある。
そして、この勤務で得る年収は、約280万円~約360万円ほど。
ちなみに、大手監査法人に勤務する公認会計士の平均的な年収は、1200万円ほどであるという。

 

塩川議員「1000万円を超えるような収入のある公認会計士が、300万にも至らないような、ワーキングプアのような水準の給与でやっていると。ここで疑念が湧く。」

 

出向元の監査法人に身分を置いたまま、公認会計士として収入に満たない分は、会社側で負担されているはずだ。
つまりここで、この「カジノ管理委員会」の委員たちは、カジノを公正に運営するための有志などではなく、出向元である監査会社を代表して参加していると言っても過言でない。

 

武田大臣「一般の国家公務員よりも、厳格な守秘義務、倫理を課せられているので、その点は心配ない」と答弁。
あはは、なんだそれ。
そういうことじゃないんだよ。

 

塩川議員「『あずさ』と『PwC』はIRカジノ事業について事業者や誘致自治体に、アドバイスをするコンサルティング業務を行っている。」

 

塩川議員「あずさ監査法人は、統合型リゾートIR誘致支援を業務の一つにしている。あずさ監査法人がメンバーとなっているKPMGジャパングループのウェブを見ると『豊富な知見と実績をベースに、IR誘致に向けた地方自治体の検討支援いたします』と、カジノ関連業務のPRをしている。同社は長崎県佐世保市のIRカジノ実施方針検討作成業務を受託をしている。」

 

武田大臣、いろいろ言い訳をするが、塩川議員の指摘する「利権の穴」をふさぐには、到底至らない。

 

塩川議員「PwCあらた有限責任監査法人は、PwCジャパングループの一員です。同社サイトには『ラスベガスやシンガポールなどの海外IR事業の業務提供経験を活用し、IR市場の創造を支援します。』と、。地方自治体や民間企業への支援のメニューを並べている。・・・さらに、大阪府と大阪市がIRカジノ事業者申請のために設置をした大阪府市IR事業者選定委員会のメンバーに、PwCあらた監査法人が入っている。これ、御存じですか?」

 

カジノ管理委員会事務局次長、並木氏が答弁、「地方公共団体の事情なので知らない」と。
ウソだろ。

 

PwCあらたのウェブサイトで「IR事業戦略室」のメンバーを見ると、室長がまさにこの「カジノ管理委員会」のメンバーという事態。
すごい、カジノ事業イケイケ監査法人の社員が、「カジノ管理委員会」で粛々と「規制」するという、もう意図が丸見えのシステムとなっている。
これは、ヤベエ・・の一言に尽きる。

 

さて、それでは大門実紀史議員の質疑に行ってみよう。
同じく、テーマはIRカジノである。

 

逮捕された秋元司議員にからんで、カジノ業界と国会議員の献金関係に迫る。

 

大門議員「秋元さんはもともとパチンコ業界との関係も深い方、そして問題になった外国人留学生が大量に行方不明になった大学からお金をもらっていたというような、赤旗にもよく登場していただいた方。(場内爆笑)よくまあ、そういう方にカジノなんか担当させたら、こんなことが起きるのは十分想像が出来たのではないかと思う。いかにいい加減な任命だったか。」

 

安倍首相、「捜査中につき、答えられない」と。

 

大門議員「2018年7月にも取り上げた、米国カジノ企業のシーザース・エンターテイメントが日本のアドバイザーを介して、カジノ議員連盟の幹部にパーティ券購入の形で2014年から16年の間に合計152万円の資金提供をしていたことが発覚した。」

 

その時、名前が挙がっていた萩生田氏に事実を質すが、そういう企業からは受け取っていないと否定した。
大門氏によれば、このときシーザースは、米国で破産法の申請をしており、米国司法当局が、そういう最中に献金なんぞをしているとはけしからん、というわけでリークされたのだという。
偶然のたまものであったのだ。
いま、外国の多くのカジノ産業が、日本に参入しようとしのぎを削っているところで、献金や資金提供などをしているのがシーザースだけとは到底考えられない、と大門氏。

 

つまり、500ドットコム、シーザース、という名前が明るみに出たのは、ほんの氷山の一角で、他にもいろんなカジノ産業が、なんとか誘致に食い込もうと国会議員に近付いているに違いないという懸念を起こさせる提議であった。

 

次に、「区域整備計画」について。
カジノIR営業の認定の有効期間は、最初は10年、あとは5年ごとの更新となっていて、その更新の際には議会の議決、或いは立地市町村の合意が必要となっている。
カジノ誘致をしたのち、10年ほどたって、例えば「周辺の治安が悪化した」などの事情が起これば、認可をストップしてやめることが出来るという。

 

ふむ、なんだか、気色が悪いくらい良心的なシステムだ。
日本政府の出してくる法案とは、こういう「良心」にあふれたものほど中身がヒドイというジンクスがあるが、さてどうなのか。

 

大門議員「ところが、『こんなものは発動させない』と豪語したのが、萩生田議員であります。去年開催された講演から引用。(パネルを出して)『議員立法の責任者だ』と、オレがやるんだ、とね。10年、5年の更新制度が大きなリスクになっている、と。10年経ったときに、地方議会の構成が変わって『やっぱりあんたたち出て行ってくれ』ということになれば、訴訟になる、と。ここが重要です。10年経ったときに、事業をやめるということは、出来ないようになっている、と。これは次の基本計画を発表する際に、ご理解いただけるように準備をするので皆さん安心して準備をしていただきたい、と。」

 

すごい話が出てきた。
やはり良心のカケラもなかった。
ここら辺から、大門議員の真骨頂。

 

大門議員「法律では、10年後にカジノIRを許可しないこともできると、住民の意思を尊重しましょう、と。もしそんなことになったら、『訴訟』を起こせばいいんだ、と。そうすれば、莫大な損害賠償を求められる契約にしておけば、自治体が『更新しない』と言っても、何千億も求められれば、払えず、やめるにやめられなくなる。と、そういう基本方針を後で発表するからということを、よくもまあ、ここまで堂々と仰ったもんだと思いますが。これ、録音があるんですが、事実ですよね?」
萩生田大臣「講演は一議員としてのもの。ここ(委員会)には、文科大臣として来ているので、コメントは出来ない。」
大門議員「自民党の幹事長代行ですよね?この法律の趣旨は、住民が更新の時にもう一度検討できるようになってるわけです。それを自民党の幹事長、どんだけエラいのか知りませんけど、そんなことやらせないようにする、と。こんな発言していいんですか?どうですか?」
萩生田大臣「(長いので略す)発言を切り取った。」←講演のよかった部分を長々と引用
大門議員「住民が、イヤダと言った時、あなたが言ったのは『やめさせない』、と。言ったじゃないですか、アナタ。これ、そのままですよ、テープ。なに言ってんですか。要するに、住民の意思よりも、法の趣旨よりも、事業者の儲けを優先された発言をされたわけです。そしてそれが具体化されてしまいます。」

 

なんと。

 

大門議員「その後、9月4日に発表された政府の基本方針、これにはワザワザ、ワザワザ、区域整備計画の認定の有効期間、つまり10年を超えた期間を定めることも可能であると。10年って初期投資が回収できるんですよ、その上でですよ、自治体が、自治体の理由で取り消しをする申請は、慎重な考慮をしろ、と。で、補償について規定することも可能、とワザワザ、損害賠償もできるよ、と。大阪では、これがすでに実施方針案に組み込まれています。事業期間35年、書いてあるのは、事業者の方に責任があって、事業をやめるような場合、府と市は一切の責任を負わない、と。これ、逆に読むと、それ以外の場合は責任を負う。つまり、なにか大きな過失を事業者がやった場合はやめさせられるが、住民の意思でカジノをやめてほしい、と大阪の人たちが思った場合、責任を負う、ということが巧妙に書かれているんです。どうですか、コレ?」

 

赤羽大臣がここで答弁する。
この人、普段は落ち着いて、かつ堂々と威厳をもって話をする人なのだが、この答弁だけは、何度も何度もどもりながら、まるで別人のような話し方だった。

 

カジノは、「いま止めないと、35年間止められなくなるかもしれない」という、大門議員の警鐘で質疑は終わる。

 

いやはや、塩川議員の話も大門議員の話もビックリだ。
カジノ法案は、中国地方が洪水で大変な時、国民の関心がほとんどそちらに向いているスキを狙うようにして、強行採決された。
今回は、コロナウィルスでメディアの話題が持っていかれている最中だ。
残念だが、この質疑を報じているメディアは、今のところ毎日新聞くらいだ。
しかし、その扱いの大きさは定かではない。

 

このヤバいIRカジノ計画、その実態を日本の人がほとんど知ることがないままに、推し進められようとしている。
記事として書き残しておくことに、心から異議を感じる質疑であった。

 

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