スポンサーリンク

3月14日首相会見

新インフル特措法改正案、衆参可決を受けて、前日に予告を入れるという念を入れようで、3月14日安倍首相が改憲を行った。
一部で不安視されていた「緊急事態」は宣言されることなく、いつものように、ただただ情緒的な、内容のないプロンプター朗読会に終わった。

 

この時点で安倍首相が「緊急事態」を宣言することはないだろう。
それは、まだ五輪の延期・中止等が決定していないからだ。
このタイミングでおかしな宣言を出したのでは、却って五輪開催を困難にする。
とはいえ、どちらにしても、開催は絶望的だと思うのだが。
しかし、五輪が中止ということになれば、外国の世論をもはや気にする必要はなくなり、国内事情のみ鑑みておかしな手段に出てくることがあるのではないかと、筆者は少し心配している。

 

今回の首相会見、本体はプロンプター朗読というお決まりのつまらないものだったが、質疑応答で少し面白いことが起きた。
念入りに事前の質問打ち合わせをした幹事社2名を筆頭に、毎日、WSJ、フリー安積氏、北海道新聞、フジ、に答えるが、手元のペーパーを見ながら答えているので、ここらまでは予定調和だったと想像できる。
フジへの回答が終わったところで、長谷川榮一補佐官は「ちょっと予定がありますので」と、続く質問を打ち切ろうとした。
ちなみに「予定」とは帰宅のことである。
そのとき、やにわに記者席から「まだ質問があります!」「答えてください!」「これが会見ですか!」などと、前回は江川紹子氏一人だったが、今回は多くの記者から声が上がった。
官邸側は、やむなく引き続き数人の質問に答えることとなった。

 

このとき、朝日新聞の東岡氏から出た質問が、鋭かった。

 

朝日東岡氏「緊急事態宣言、これは私権の制限に繋がる以上、総理と政権に対する信頼が非常に重要になってくる。しかし、黒川検事長の定年延長問題では、国民の知らないうちに解釈変更されていた。しかもそれが口頭決裁という手続きだった。国会の答弁も虚偽だった。(ここで安倍首相はキョギ?と首をかしげる)こうしたことから今、政権への信頼が失われている状況ではないかと思われる。そうした信頼を回復するために、黒川検事長の定年延長の閣議決定を取り消す、或いは、口頭決裁で解釈変更をしたこと撤回をする、こうした考えはあるか?」

 

あるわけない。
が、非常にいい質問の仕方だ。
「質問」という形式を取りつつ、「勝手な法解釈変更で、検察官の定年を延長しちゃうような無法なあなたたちに、私権制限を伴う緊急事態宣言を扱う資格があるのか?」と暗に批判しているのだ。

 

安倍首相「法務省の人事においては、法務省として判断をされたもの。これは森法務大臣もくりかえし答弁しているものと承知をしているが、それを受けて閣議決定をしたものでありまして、適切な判断だったと考えてております。(以下略)」

 

この東岡記者、実は重要な「言質」を取ったのだ。

 

そもそも、黒川検事を定年延長したい、と言いだしたのは誰だったのか?
これまで、実は国会で何度も問われている質問だが、森大臣は「個別の人事に関わる・・」として答えたことがない。
聞くまでもない、安倍首相に決まっているのだが、それでも森大臣は、これまで一度もここに関して説明をしていない。
いや、むしろ「安倍総理や官房長官に頼まれたことはありません」などと、キレ気味で言ったことすらあるのだ。
そして、安倍首相も過去に、「法務大臣からの要望」と発言したことがある。

 

安倍首相の答弁をもう一度よく見てほしい。
彼は「森法務大臣の答弁を受けて、閣議決定をした」とはっきり言っている。
これは事実と大きく違う。
定年延長問題に関しては、時系列の説明がよく狂うのだが、それはあちこちにウソがあることの証左だろう。
安倍首相の回答が「おかしい」理由は、以下の記事を参照していただくと、さらに詳細に分かる。

 

「検事長定年延長」問題、閣議決定に必死で寄せる大臣と官僚
コロナウィルスの感染拡大で日本中の関心がそちらに持っていかれる中、国会では黒川検事の定年延長問題という、「行政と法」に関わる、深刻な問題が議論されている。 ここで議論されている「与党政府の理屈」が通れば、今後日本では、行政が思うように法の...

 

森法務大臣が、国会で定年延長に関して説明を始めたのは、「閣議決定より後」なのだ。

 

これに関して、来週の国会では野党がどのように追求するだろうか。
見ものである。
(まさか見落としてスルーとかないよね?)

 

にほんブログ村 政治ブログへ