菅首相が1月13に夜、緊急事態宣言の対象地域を首都圏の1都3県から、大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県を追加するにあたり記者会見を開いた。
冒頭の十数分は官僚の書いたペーパーをダラダラと音読し、いわゆるこれまでの菅首相記者会見となんの代わり映えもしない内容だった。
その後、外資であるブルームバーグをも含む大手マスコミ各社から質問があったが、その都度菅首相は手元のペーパーを読みあげていた。
事前に質問が提出され、官僚が予め書き記したペーパーを準備していたと思われる。
その中で、唯一菅首相がほとんど下を見ずに回答したのは、フリージャーナリストであるビデオニュースの神保哲生氏の時だけだった。
質問内容もさすがのレベル。
そして、おそらくこれは今後問題になる可能性も含まれる。ある「失言?」も含まれていたので興味深い。
その全体をご紹介する。
と、その前にブルームバーグ社から以下のような質問があったことを事前に押さえておきたい。
算出方法の違う「失業率」に関しては、他国と単純比較して「他の先進国と比べても最も低い」などと言うくせに、こんな時は日本独自だから他国と比較できないという。
勝手な言い草だ。
さて、それを踏まえて神保氏の部分を書き起こす。
もうすぐ国会が始まります。例えば医療法によって、今政府は病院の病床の転換というのは、病院任せになっている、お願いするしかない状況になってますけれども、例えば医療法の改正というのは、ただ単にシステムが違います、ではなくて、いあの政府のアジェンダに入っていないのでしょうか?それから同じく感染症法の改正、これは当初コロナがどういう病気か分からない段階で2類相当にしてしまったので、軽症者や無症状者でも非常に厳重に扱わなければいけなくなっている。それも医療に非常に大きな負担になっている。それも法制度を変えればずいぶん変わってくると思うのですが、そういうことが、むしろ政府の仕事ではないかと。国民に対して色々犠牲をお願いすると同時に、政府側がこういうことをするって話が、総理から出てくるのをずーっと待ってたのですが、なかなか出てこないので、ぜひそこを、国会が始まりますので、法制度の部分で二つの法律、今国会で改正されるおつもりがあるのかどうかも含めて、ご認識をお願いします」
政府はお願いの発信をするばかりでなにもしない、とはつまりこういうこと。
神保さん、よくぞ言ってくれた。
首相はまず、これまでの法制度の中で政府は出来る限りのことをしてきたのですよ、という言い訳を述べるのだが、ここは割愛する。
驚きの発言。
皆保険制度の見直しが必要だ、と菅首相は言ったのだ。
神保氏がメゲずに更問い。
菅首相は舞台袖を見て、誰かに目でモノを言ったようなしぐさをする。
官房長官時代の会見を経験とすると、これは広報官に「サッサと〆ろ」という合図である。
すかさず山田広報官の〆の言葉が入る。
会場にはたくさん手が上がり、「総理もう一つだけ!」などと要求が上がるが、「次の日程」を理由に打ち切られる。
ちなみに「次の日程」とは、医系官僚との打ち合わせである。
その後、首相は帰宅した。
無理に入れた感のある「次の日程」である。