4月7日、緊急事態宣言を発することを目的とした、首相会見が行われた。
精神衛生上見たくないという人も少なくないだろうと思うので、気になったポイントをまとめようと思う。
まずは医療従事者に、「国民を代表して」感動的なお礼を言う安倍総理。
自分が言えばそれでいいのに。
こういうところに、安倍首相の思いあがりを感じずにはいられない。
世界的にの最大級と、形容詞が異常に大袈裟なのが安倍会見の特徴である。
とは言うものの、国家予算から108兆円を引き出すわけではない。
あくまでも「事業規模」で、この対策を最大限まで使い倒した時に、108兆円という金額のお金が動きますよ、くらいの意味で、それには金融機関からの融資とか、貸し付けも入っている、詐欺的なまでに「底上げ」の入れ物に入ったプランと言える。
実際の財政支出は39兆円程度で、GDP比で言えば、おそらく5~6%くらいではないかと思う。
先進諸国の中で、GDP比5~6%の国民への援助は平均的ではあるのだが・・。
日本の場合、実は「収束後の経済回復」に向けた、旅行券、外食券のようなものも、この中に組み込まれている。
当たり前だが、他の先進諸国がGDP比5~6%としているのは、今回の災害における国民への補助だけを指したもので、収束後の対策なんぞ入っていない。
というわけで、安倍首相の言う「世界最大規模」というのは、外箱だけの話で、「段ボールで届いた荷物にメンソレータム一瓶入っていた。」みたいなかんじである。
そして、ワクチンや治療薬の開発で、まるで自身がその研究の先陣に立っているかのような話しぶりで、薬事に関して演説をぶち、その勢いで、演説の終盤はさらに気持ち悪いものとなる。
希望とか、前を向くとか、そんなことで疫病と戦うことは出来ない。
徹底した合理性に基づいて、物理的に対処していくしかない。
そのために欠かせないのが、実態調査と統計である。
それなしには、どんな戦略も立てられない。
そうした政府にしかできない仕事を(おそらく何らかの理由で故意に)せずに、精神論だけ振りかざすのは、戦時中とやってることが何も変わらない。
いつまでこんな無策を続けるのかと不安に思いながら、質疑応答を聞いていたら、最後に指名されたイタリア人ジャーナリストが面白いことを聞いた。
すごいの来たよ。
日本人記者からは、なぜこういうのが出ないかね?
で、この回答もまたすごい。
まず驚いたのは、
「失敗しても責任は取らない」
と明言したこと。
これまでもそうだったと言えば、そうなのだが。
こうはっきりと「責任を取らない」と明言してしまう政治家、本邦限定ではないだろうか。
会社の社長だって、経営に失敗すれば責任を取って退任する。
国民の命を左右する行政トップが、危機対応に失敗しても責任を取る覚悟もないとは、一体どういうことなのか。
森友・加計問題で、安倍氏を放置してきたことで、それに国民が払う代償は大きい。
追記 4月8日
拠出金は、政府が打ち出した総額108兆円に上るコロナウイルス対応の緊急経済対策の中から捻出される。
(4月8日朝日新聞)
「世界的に最大級」と形容した政府の経済対策108兆円には、こんなものまでがねじ込まれていた。
いったいいくらになるのか、まだ記述はない。
これだけでもあの会見の中身は、「詐欺」と言ってもいいのではないだろうか。