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「桜を見る会」法の専門家が指摘する首相答弁の穴 ヒアリング#32

2020年2月6日、「桜を見る会」野党ヒアリング、32回目があった。
《「桜を見る会」を追求する法律家の会結成の呼びかけ》という会を代表して、小野寺弁護士と泉澤弁護士が、オブザーバーとして出席した。
法の専門家としてのこの事件の味方は、野党議員とはまた少し違うところがなかなか興味深い。

 

小野寺弁護士は、国会での安倍首相の答弁について、「犯罪構成要件に、事実が該当しないように必死に努力している。」とコメントした。
「事実よりも、どうしたら犯罪構成要件に該当しないように言えるのか、ということを組み立ててからしゃべる。」
この点が、法律家の目から見ると、とてもあからさまに映るのだという。

 

ここで、法のテクニカルな観点から、「契約したのは事務所ではなく参加者」という安倍首相の主張について解説をする。
まずは、我妻栄氏という民法学者が著した「ダットサン民法」という本から引用する。(これは法曹界では大変な著名な解説本であるそうだ。)

 

小野寺弁護士「契約とは、相対立する数個の意思表示の合致である。この合致は、簡単に言いますと、『申し込み』と『承諾』という内容で、契約内容が合致して成立するのが普通だ、という風に書いてあります。前夜祭参加者は、ご案内に記載されていた『安倍晋三後援会前日夕食会(会費制)』等の内容を見て、前夜祭に参加したに過ぎず、これらの内容をホテル側と契約合意をしたのは主催者である後援会だとしか言えません。前夜祭参加者が、会場、物品、役務、料金、料金支払い方法の内容をホテルと決めたことはないということです。したがって、ホテルと参加者との間に、申し込みと意思表示の合致は存在しておらず、ホテルと契約したのは安倍晋三後援会であることが、法律上明確です。このようなことが、もし民事裁判で行われたのならば、みんなが当然だと思っておりますし、あのような発言では裁判では負けるし、もう論外としか言えない。」

 

早い話が、ホテルと個々の参加者が契約をしたなんて言うのは、戯言に過ぎないと法の専門家にバッサリ斬られたわけである。
大串議員が、何度にもわたって「契約とは民法上の契約のことか?」と、念を押して言質を取ったのは、こういうことだったのだ。

 

これに関して、泉澤弁護士の、「契約者とは契約の申し込みから履行に至るまで意思の決定をしたのは誰かという実質的な判断であり、領収書の受取人は、契約者であるか否かとはかかわりのない話である」というところも大変興味深かった。
なるほど、専門家の言うことはやはり違う。

 

また、宴会代の安すぎる価格設定に関しては、これが「寄付行為」に当たるとなる可能性は非常に大きいと、泉澤弁護士。

 

最後の原口議員に対するお二人の答えが秀逸だった。
「こんな危ない政治資金管理の方法を、なぜ安倍氏は取るのか?一政治家として理解できない議員がたくさんいる、先生方はどう見るか?」という問いに対して、

 

小野寺弁護士「政治資金規正法の第2条2項にですね、『この基本理念として、政治団体はその責任を自覚して、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行われなければならない』と書いてありますが、今回の安倍首相の答弁はこの法律に全く反している。」

 

法律っていうのは、なぜその法律を作ったかという理念が一番最初に理解されなければならないな、と痛感する。
また、泉澤弁護士の意見も感慨深い。

 

泉澤弁護士「あえて推測するなら、違法であると分かりつつやることについて、悪いという考え方がすでにないのではないか。これはあくまで推測ですけどね、空気を吸うように、ふつうにそういう活動をやっても、誰からも指摘もされなければ、誰からも違法性も問われない、私物化というよりは、要するに法的なものであるということについての認識が最初から欠如しているのではないか、という風に推測はされます。」

 

鋭いよねぇ。
そう、やってる本人は、ほぼ罪の意識はないだろう。
それは一緒になって好きに活動してる、私人の妻も同様なのではないか。

 

とまぁ、法の専門家から見た「桜を見る会」は冷静で性格なので非常に勉強になる。

 

さて、ここから少ない残り時間で議員の追及が始まる。
受けて立つのは、おなじみの酒田課長だが、今日はこれまでになくピンチに陥ったのではないだろうか。
取り上げたのは、1月21日に急に公開された、2014年から2019年までの「招待者内訳の表」についてだ。

 

その文書が新たに出てきた日の記事がコチラ。

 

「桜を見る会」なんで今さら新文書?#25《後編》+#26
2020年1月21日の「桜を見る会」ヒアリング25回目の後半まとめ。 こちら前編記事。 2013年から17年までの「桜を見る会」名簿について。 内閣府内閣官房にはあるのか?という質問に、「一年未満なので...

 

毎日新聞は、内閣府がこの文書の存在を12月から知っていたという話を、内閣府の独自取材から得て、「2か月間隠匿」と大きく報じた。
しかし、その後、2か月どころか文書を確認していたのは、前年の5月、つまり8か月も隠匿していたということが明らかになった。
スガ官房長官は、公開になる前日20日まで、その文書に関してなんの報告も受けていなかったという。(怪しいが)

 

そして、田村智子議員の堪忍袋の緒がついにキレる。

 

田村議員「11月8日の後の内閣委員会で、政治家の推薦と招待とそうじゃない招待と、どっちが多いんですか、という質問もしてるんですよ。政治家の方が多いんじゃないですか?と。『分からない』って答えたんですよ。分かってたじゃないですか!どっちが多かったんですか?とまで、聞きましたよ。」
酒田課長「議事録を見ていないので・・・」

 

ふつうに虚偽答弁ではないだろうか?
この資料を出さずに答弁を避けると決定したのは、酒田さんか?と小西議員に問われた時は、酒田課長は内心縮み上がったのではないだろうか?
この問題、一つ采配を間違うと、政治家を不当な方法で庇った罪が、官僚にかからないとも言えない。

 

田村議員「開門前の入場という問題で、長々と安倍さんが鳩山さんの名前まで出して言うんですよ、だけどね、11月8日の時に私が『開門前に入ってますよね、総理も入って記念撮影してますよね』って言ったら、セキュリティ上の問題でお答えは出来ないって仰ったんですが、いつセキュリティが解除されたんでしょうか?皆さんの言ってるセキュリティは信用できない。解除の理由はなんですか?」
酒田課長「分かりません。」
田村議員「セキュリティ上の問題で答弁できないって言ったんだから、なんのセキュリティか説明してくださいよ。」
原口議員「自分の役人としての身の安全のことですか?」
(黒岩議員隣で噴き出す)

 

これね、ジャパンライフの会長に関する話でも同じこと言ってる。
安倍首相は、山口氏については招待されたかどうかも含めて、個人情報保護の観点からお答えできない、と答弁している。
しかし、その舌の根が乾かぬうちに「山口さんは、鳩山さんにも招待されたと言っているのを聞いたことがある。」などと、自分のためなら個人情報もクソもないのだ。
彼らの言う、セキュリティ、個人情報保護なんてものは、当事者の不利益を慮ってのことではなく、単なる自己防衛の道具に過ぎないのだ。

 

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