スポンサーリンク

また出たトンデモ閣議決定、「反社会的勢力」を定義するのは困難

国会も閉会して、「桜を見る会」の新しい話題もひと段落するのだろうと思っていた矢先、思ってもいないニュースが飛び込んできた。

 

政府は10日、「反社会的勢力」の定義について「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定した。
・・立憲民主党の初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えた。
(2019年12月10日毎日新聞)

 

これは、そもそも11月28日の「桜を見る会」追及本部ヒアリングで、警察官僚の口から出た言葉で、その時にも非常に驚いた。
その時に書いたのが下の記事だ。

 

「桜を見る会」反社の定義に警察官僚もバカになったふり
「桜を見る会」の野党ヒアリングを毎回視聴しているのだが、ニュースや新聞で取り上げられた「主要な部分」を差し引いても、「!?」という答弁が盛りだくさんの、異様な会合となっている。 内閣府答弁の「!?」シーンには、前回のブログで紹介した、サー...

 

「警察官僚もバカになったふり」と題を打ったのだが、まさかそれを追随して、政府が同じ内容を閣議決定してくるとは、安倍政権は知性に欠けると思っている私でも、さすがに予想もしなかった。
与党議員のいない空間で、官僚が集められ、野党議員に答えなくてはならないラインと、与党議員の立場を思うと言うわけにはいかないラインと、その狭間でキュウキュウになった官僚が半ばヤケクソになって口から出たのが、「反社会的勢力の定義はない」だと思っていたからだ。

 

これを閣議一致で、つまり全大臣が集まって「それでOKです」ってことにしたのが、政府の答弁書だ。
こんなデタラメな言説を閣議決定するとは、驚きで開いた口が塞がらない。

 

これまでも、安倍政権ではおかしな閣議決定が多々あった。
その中でも、とくに「珍」とか「迷」と評されそうな代表格が次のようなものだ。

 

・「そもそも」という言葉には「基本的に」という意味もある
・安倍首相の妻・昭恵氏は公人ではなく私人
・島尻沖縄北方大臣が「歯舞」の読み方を知らないという事実はない
・安倍首相はポツダム宣言を当然読んでいる

 

どれもアタマの悪そうな閣議決定で、これが国のトップの正式見解かと思うとそれだけでも頭痛がするのだが、ただ、今回の閣議決定は、非常にスジが悪い。

 

「反社会的勢力の定義」というのは、ちゃんとある。
上で紹介した前記事で触れているが、過去の内閣が閣議決定しているのだ。
閣議決定って、こういう風に使うものでしょ、本来・・・。

 

その定義を前提に、銀行の口座を与えないとか、取引から除外するとか、社会から合法的に「仲間はずれ」をよしとしてきた法整備があるのだ。
これに対象となる定義がないのであれば、単なる国を挙げた人権侵害にすぎない。

 

ポツダム宣言を安倍首相が読んだことがあるかどうかなんて、本人しか知らないことだが、おそらく、読んでいないから悔しがって閣議決定したのだろう。
こういう事実とは異なるバカバカしい案件を、いくつも閣議決定していくことで、自分たちが表明したことはすべて「正しいこと」になるという全能感を得てしまったのかもしれない。
そして、とうとう既存の法律を覆す閣議決定を出してしまった。
これはなにより、「法よりも自分らが上にいる」という神がかった権力感の顕れとしか思えない。
法治国家、民主主義国家としては、到底受け入れることのできない政府の暴挙だ。

 

では、なぜ国会追及も終わったこの時点で、わざわざ話題になるようなこんスジの悪い閣議決定をしたのか。
理由は一つしかないと思う。
おそらく、「桜を見る会」の招待客名簿は省庁のどこかにまだあるのだ。
そして、その名簿には「反社会的勢力」と呼ばれる人の名があるのだろう。
なにかの形で、その名簿が世に出た場合、「この人は『反社会的勢力』の人物ではないか。」ということが、当然追及される。
その時に、「『反社会的勢力』というのは、明確な定義がない」と、言い逃れをするための伏線なのだろう。

 

これは、私の読みが鋭いのではなく、おそらく全国のみなさんが、このニュースを見た瞬間に思ったことに違いない。
噛み砕いて言えば、「反社会的勢力」の名が招待者名簿に載っているということは、「国家行事にヤクザを招待」したということなのだ。
こういう事実が明らかになったとき、はたしてこんな小手先の閣議決定で、世の中の人は「なるほど、反社会的勢力とは定義できないのだから問題ないですね。」などと納得すると思っているのだろうか??
今から手の内を予感できるようなあまりに浅はかな伏線で、首相はもちろん閣僚たちもアタマがどうかしてしまったとしか思えない。

 

愚かなだけでなく、法の一線を超えてしまった閣議決定に、私たちはどう対処すればいいのだろう。
こんなこと前例がないので、途方に暮れてしまう。
「閣議決定」とは、必ずしも「正しいこと」ではない、アホな政府は間違ったことを言う、ということを多くの人が認識しなければならない。
そして、アホな与党政府には、やはりお引き取り頂くよりほかに方法がないのだ。

 

にほんブログ村 政治ブログへ