「桜を見る会」の野党ヒアリングを毎回視聴しているのだが、ニュースや新聞で取り上げられた「主要な部分」を差し引いても、「!?」という答弁が盛りだくさんの、異様な会合となっている。
内閣府答弁の「!?」シーンには、前回のブログで紹介した、サーバー仕様書を出せと要求したら、アプリの使用説明書を黒塗り加工して出してきたというような、官僚の「わたくし、バカになってしまいました」戦法に、視聴しているこちらがアテられてしまう始末だ。

さすがに、そう毎日「迷シーン」はないだろうと、28日分のヒアリングを聞いていると終盤に差し掛かって、またもや「!?」というシーンにアテられた。
それは意外な省庁からの「バカになったふり」答弁だった。
(2019年11月27日朝日新聞)
杉尾議員は、上の記事にある菅官房長官の会見での発言を受けて、ヒアリング会場にいた警察官僚にこう質問する。
定まってないはずない。
その定義なしに、どうやって警察が反社会的勢力をマークするのだ。
杉尾議員「チガウ!!チガウでしょう!!だって『暴力、威力とか詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団』だって、定義されてるじゃない!!ごまかさないっ!!」
そんなの警察官僚なら知ってるはずなのに、なぜ「知らないふり」をするのか。
さすが官僚だよ。
「平成19年に犯罪対策閣僚会議にて定義が確定された」ことまで、さらっと知ってるんだよ。
そこまで知ってて、「定義はない」というスガ官房長官の言葉に、なんとか寄せていこうとする哀れなまでの保身。
ていうか、「みなさん」って誰のことを言ってるんだよ。
警察官僚「あの・・まあ・・・一つの・・まあ・・・例というか、平成19年の判断いただいた閣僚会議で・・・反社会的勢力というのは、そういう形で定義されているわけですけれども、現在使われている言葉が、必ずしも、この中身にされているかというのかどうかは、どういう思いで、皆さんが、それぞれの思いで使われているか、承知していないというところです。」
警察というのは、その定義に基づいて取り締まる当局なのだから、「昔の定義と今の定義が違う」なんてこと、法律的にあっては困る。
そんな無理な道理を押してまで、スガ官房長官の「反社会的勢力の定義はない」発言の裏を打ちたいのか?
警察官僚「犯罪対策閣僚会議の申し合わせに置きまして、当時、定められていることは事実です。」
黒岩議員「『排除』と言ってる以上、主体が何だかわかりませんでは、どうしようもないわけですから、行政用語としても、定義を次回までに示してください。」
ヒアリングに質問事前通告があるのかは知らないけれど、「反社の定義」と言われて、「平成19年に犯罪対策閣僚会議にて定義が確定された」サラッとこういう回答が出てくるのだから、大した頭脳の持ち主だと思う。
そういう人が、定義の内容に関しては「宿題」になってしまうのは、どういうことなのか。
なにより恐ろしいのは、安倍首相のぶら下がり会見やスカ官房長官の、つい出てしまった言い訳やウソの辻褄を合わせるために、取り締まり当局が「反社会的勢力」のオフィシャルな定義すら、ゆがめることを辞さない態度にある。
安倍政権の中枢にいる人たちの発言に合わせて、国や法律の方が寄せられていくというのは、国家にとって大変なことだ。
全くメディアに取り上げられない、ほんの小さな野党議員と官僚とのやり取りに、この国はどうなるのかと、ゾッとする寒気を覚えた。