ネットですっかり炎上状態にある安倍首相主催の「桜を見る会」。
共産党・田村智子議員が予算委員会で朗読した、「桜を見る会」に参加した人々のブログは、議員を中心になぜか本人たちによって次々と削除されている。
萩生田大臣をはじめ、多くの国会議員たちが、支援者を「招待しました」と、語るに落ちる内容がネット中にばら撒かれてしまった今、削除はもはやなんの役にも立たない。
それがネットの恐ろしいところでもある。
今回の田村議員の追及を踏まえたうえで、2019年5月21日に財金委員会での宮本徹議員の質疑を改めて見ると、いつもの国会視聴とはまた違った意味の面白さがあった。
私たちは、招待枠が自民党議員に配分され、議員らが支援者を招いていたことを、すでに知っているが、今から半年前の質疑なので、官僚が、一生懸命そこを隠そうとする姿が、みっともなく、そして哀れに映る。
この記事には、田村議員が明らかにしたことが事前情報として必要になるので、まだの方はこちらでチェックを。

さて、宮本徹議員の質疑は、
2014年度の参加者は1万3千人、3005万円
2019年度の参加者は1万8千人、5520万円
この激増した予算と人数について、理由の説明を求めるところから始まる。
この答弁、人数増加の理由になってない。
招待者選抜の経緯を説明しただけだ。
長々と答弁しているが、要約すると、
「なぜ増えたのですか?」
「結果的に増えました」
というやり取りで、まったく議論になっていない。
国会では、とにかくこういうやり取りが多い。
国会視聴が精神的にしんどい理由は、こういうところにある。
井野大臣官房長「各省庁に対して一律の基準はお示ししておりません。」
おそらく1万人ほどは、従来からのしきたりによる、省庁からの推薦で埋まるのだろう。
5年間で5千人も増えた理由は、自民党議員への招待枠分配なのだ。
そこは絶対にしゃべらない。
あくまで「各省庁の推薦による」を譲らない官僚。
しかしね、やっぱりおかしいのは、政治家がこの事実を必死に隠すのは理解できるけど、なぜ公務員である官僚までが、ここまで必死になって政治家の不正を隠さなければならないのかということだ。
イベントの主旨から大きく逸脱していることや、脱法的ではあるが、接待・買収行為と大差がないことも、官僚である彼らは百も承知であるはずだ。
正当な理由なしに、野党議員からの質問に官僚が「答えない」という行為は、禁じることはできないのだろうか。
井野大臣官房長「特段、各省庁に枠を設けているわけではありません。」
宮本議員「だから、これだけ人数が増えているのなら、とりわけ推薦数が増えている省庁があるんじゃないですか?」
井野大臣官房長「招待者取りまとめの経緯については答えられない。」
宮本議員「おかしいでしょ、答えられないような話ではないでしょ。ちゃんと答えなさい。」
井野大臣官房長「えーあー、どこの省庁からと把握しているわけではございません。」
すごい答弁がキタ。
各省庁から推薦を受け、内閣府で取りまとめると言っているのに、どの省庁からの推薦か把握していない。
そりゃそうだ、各議員からも招待したい支援者の名簿を預かってるんだから。
そうとでも言わないと、辻褄が合わない。
井野大臣官房長「各省庁からの資料というものは残ってございません。」
宮本議員「今年のリストは少なくともあるはずだと思いますよ。」
そりゃそうだろう、この時点ではまだ5月。
「桜を見る会」が開催されてまだひと月ほどしか経っていない。
はやっ。
井野大臣官房長「各省庁から推薦を受けたうえで、内閣府が取りまとめているということです。」
宮本議員は、この点について何度も念を押して聞いたが、井野官房長からは、壊れたレコーダーのように、同じフレーズしか返ってこなかった。
しかしなるほど、与党議員が招待枠を持っていることは、この頃すでに知られつつあったようだ。
ということは、共産党はだいぶ以前からこの点について掘り下げていたのだろう。
ただ、この委員会が開かれた5月以来半年以上にわたって、国会が開かれることがなかったので、長い間質問が出来なかったのだ。
ところで、この財金委員会で、宮本議員と井野官房長の議論を仕切っていた坂井学委員長。
実はこの人も、のちに自身のブログを削除した人物である。
どういう思いでこの議論を見ていたのか。
残念ながら、動画では議長の様子は映らないのだが、どのような顔をして議長席に座っていたのか、大変に気になるところである。