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「桜を見る会」財政法違反を問われる内閣府に説明責任 #30

2020年1月24日、第30回目の「桜を見る会」追及本部ヒアリング、今回は少し野党議員たちの切り口に変化が見えた。

 

前回のヒアリングでオブザーバー出席した、宮城県の小野寺弁護士からアドバイスを受けたのだろうか。
これまでは、安倍首相の疑惑追及一点に視線が集中し、その前に立ちはだかる守護兵のような役人たちから、小さな言質を取り集めることが中心だった。
ところが今回は、そもそも安倍首相の複数の不正行為を知りながらその実行を補助し、また追求すれば擁護、証拠隠匿にかかるのであれば省庁も同罪である、という新たな視点を切り開いた。

 

そもそも、拒否されている文書開示をずっと求めているのは、安倍首相が国家行事を私物化していたことを暴くためだ。
公文書管理の問題をつぶさに追及するのも意味のあることだが、国会が始まって、世の関心がいつもより多く国政に注がれている今、「首相が税金をわが物のように使っている」という分かりやすい論点を表に押し出すことは、効果が高い。

 

第30回ヒアリングでは、第29回で開示になった、新宿御苑の各入口からの入場者をカウントした表の、内訳(一般・特別・外国人)の「一般」の部分の黒塗りが取れたものが政府から公表された。
文書自体は同じものだ。

 

注目されているのは、8時半開始の「桜を見る会」に8時前に入場している人が、2019年は1851人いる。
これは、安倍後援会を含んだ人々だということを、役人に改めて確認するが、なぜか回答を避ける。
これは安倍後援会のツアー予定表でも、7時半に都内のホテルを出発することが書いてあるうえに、安倍首相自身がすでにそれを認めている。
開催前に入場して、一般客が来る前にバスグループごとに安倍首相と記念撮影をしたという、あの一件だ。
なぜ、そんな明らかになっていることすら、正面から答えようとしないのか?

 

山井議員「総理大臣の後援会の800人が、何時ごろ入ったか分からないはずないんですよ。やましいんですか?違法の怖れがあるのですか?安倍後援会来られましたよ、800人くらいでしたよ、調べたら8時前でしたよ、なぜそれが答えられないんですか?やましいんですか?

 

黒岩議員「山井さん、これね、法律違反の恐れがあるんですよ。だから頑ななんですよ。買収罪の場合、財産上の利益と言った場合、人より早く入れる、『特別扱いして心を動かす』っていうことだけでも、買収罪の構成要件に当たるんですよ。だから頑なにそれ言わないんです。」

 

この辺からが、野党の攻め方が安倍首相のみを対象にするのではなく、内閣府にも矛先を向け始めるところ。

 

山井議員「安倍総理は、名簿を廃棄したから後援会から何人招待されているか分からないと言っている。内閣官房も名簿がないから分からないと言う。安倍事務所に問い合わせて答えてもらうこと出来ないんですか?」
中井参事官「後援会事務所ということで、議員活動でございますので・・」
山井議員「税金が使われているんですよ!内閣総理大臣主催で私たちの税金でやっている『政府の』行事なんですよ。それでこれだけの税金の無駄遣いと違法行為が指摘されてるんだから、説明責任は内閣にあるんじゃないですか?議員活動では収まらないですよ、これは。」
中井参事官「政府として行っている部分はお答えしているつもりだが、議員活動に関する部分については・・」
山井議員「違いますよ!これは全面的に政府が行っている行事ですよ。」
原口議員「政府が行っている行事をですよ、その主催者である安倍晋三さんがご自身の後援会をお呼びになって、その数は分からないと、安倍晋三さんは個人の政務で総理主催の桜を見る会をなさいましたか?まずソコをお答えください。これは安倍晋三さんの『政務』、個人の行事ですか?」
中井参事官「主催としては総理大臣としてです。」
原口議員「総理大臣っていうのは『政務』ですか?」
中井参事官「政府の役職です。」
原口議員「公務ですよね?」
中井参事官「左様でございます。」
原口議員「であれば、その公務に自分の後援会を何人呼んだかってことを、なぜ言わないんですか?」
中井参事官「推薦をお願いして、推薦を・・」
原口議員「関係ありません!推薦どうのこうのは中のプロセスです。中井さん、いいですか?推薦どうのこうのは、中のプロセスで、僕ら関係ありません。安倍晋三さんがなさっている、公務である総理主催・桜を見る会において、そこに自分の後援会が何人きたかということを、主催者として教えてくれって言ってるんです。」
中井参事官「そこは名簿が残っていればカウント可能ですが、名簿は廃棄されているので分かりません。」
原口議員「あのね、名簿廃棄の話じゃないんですよ。安倍晋三さんの総理大臣としての責任の問題なんですよ。名簿廃棄で、安倍晋三さんは、自分が首相として適切な予算の使い方を、国民に証明できなくなってるわけですから。それをね、名簿を廃棄したっていうのを金科玉条のごとく言ってほしくない。その自分の証明する手段を、自分がなくしてるってことじゃないですか。ということは、安倍晋三さんから、あなた方に『なんでこの名簿を廃棄したんだ』と、『おかげで自分はこんな目に遭ってるぞ』と、そんな注意ありましたか?」
中井参事官「今後の見直しの中でですね・・今後・・」
原口議員「見直しじゃない!安倍晋三さんに見直しなんてしてほしくない。今のことを説明できないわけだから。これは『公務』でやってるわけだから。公務の内訳を聞きなさいと、お願いしてるわけです。公務の中の、安倍晋三さんがお呼びになったご自身の後援会、それは自分の事務所に聞けば分かるでしょ。自分の事務所に聞いて、公務としてやった部分の内訳を教えてくださいとお願いしている。政務のことを聞いてるんじゃありません。」
中井参事官「公務としては、記録があればそれをもとに答えるが、記録がないってことで・・」
原口議員「安倍晋三さんの、公務として、総理大臣として行ったこの行為の内訳について、総理大臣の責任において明らかにしてくれって言ってるの。」
中井参事官「繰り返しですが、記録がございません。安倍事務所については政府としては・・」
原口議員「全く違います!もう一回聞く。これは安倍さんのポケットマネーでやってますか?」
中井参事官「桜を見る会は公的行事でございますので、公費を使っております。」
原口議員「自分の後援会から自分が呼んでいる数が分からない?総理大臣の責任において、数を示してください。」

 

そうなのだ。
「名簿がない」ということを、相手の事情として、私たちが「理解」する必要なんて全くないのだ。
「捨てちゃった」「なくしちゃった」のなら、それをなくした人の責任なのだ。
一般人に当てはめて考えれば、税申告で「領収書をなくしちゃった」と言えば、「そら残念ですね。」と言われるだけだ。
官僚を相手に長く議論すると、相手の事情が無意識に前提条件とされ、気が付くと相手のルール上で議論を勧めさせられていることに気付く。
野党議員たちもようやく我に返ったのだ。

 

安倍後援会の人、またはその人らの知り合い、友人は、コピーした参加申込書を安倍事務所に送付すれば、「内閣府から招致状が届きます」と、安倍事務所発行のツアー案内書にある。
安倍首相も政府も、これまで「申し込みをしても呼ばれなかった人がいる」と主張することで、「全員が招待されたわけではない」ことを暗に強調してきたが、では、何人の人が「お断り」されたのか?
山井議員がその人数を質す。

 

中井参事官「全員呼ばれるわけではない。推薦を断ったケースもある。」
原口議員「じゃ、何人推薦を断ってるんです?」
中井参事官「数字は分かりません。」
原口議員「中井さんっ!!アンタいい加減にしなさいよ!」←計30回のヒアリングで最激怒モード
原口議員「確たる数字が分からないで、どうして断ったと言えるんですか。いい加減なことを言いなさんな!どういう基準で断るんですか?」

 

申込書には、氏名・住所等の連絡先と職業(会社員など)の欄しかない。
人を判断するほどの情報は、申し込み書にはないのだ。
これをもとに、内閣府はどう審査’お断りをしたというのか。
そして、中井参事官は「審査のプロセスは公表できない」を繰り返す。

 

原口議員「つまりあなた方は、買収に協力したと。そういうことになりますよね。」
柚木議員「これ、名簿捨てたとか、議員活動とか関係ないですよ。財政法違反ですよ。社会に功労功績のない人が、大量に安倍事務所ツアーに招かれてるんだから。それを検証するのは、『首相主催』なんだからまさに政府の責任そのものです。」

 

ここは、森友問題でまさに大きく先手を取られた部分。
私たちが首相の不正を暴くのではなく、首相の責任として予算執行の公正さを証明する責任がアチラ側にあるのだというポジションを先に取ることが、この議論ではとても大切になって来る。

 

今回、野党側は切り口を修正することで、言いポジションを取ったと思う。
今後に期待したい。

 

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