根拠はよく分からないが、「地球史上最大級」とまで誰かが言い出したほど強力な台風が本州を舐めて行った。
今回ほど、今の日本の様々な問題を炙り出した台風はないのではないだろうか。
新たに炙り出したというよりは「再認識した」というべきであるかもしれないが、首相をはじめ官邸が、災害に対してあまりに、あまりに関心がないということだ。
今回は台風上陸の何日も前から、マスコミも市民も大騒ぎしていたのに、災害対策本部を開くわけでもなし、首相は一日中公邸にいて、主だった活動は何もなし。
いや、私邸ではなく公邸にいたということが、彼なりの気遣いだったのか?
はたまた、テレビで喚起されていた「不要不急の外出自粛」を実践していたのか?
台風がとっくに行ってしまってから、政府は13日の午前中にやっと「非常災害対策本部」を立ち上げる。
午後には20分ほど会議に出て、何やら話したらしいが、主な内容がこれだ。
(2019年10月14日読売新聞)
「夜を徹して」って、言うのは易いよ。
それでは、この日、この後の首相動静を見てみよう。
午後5時19分、官邸発。
午後5時34分、東京・富ケ谷の私邸着。
午後10時現在、私邸。来客なし。
(2019年10月13日時事・首相動静)
午後5時半には「私邸」にお帰りだ。
そしてこの「とにかく人命第一」と声を上げる安倍首相、私邸に帰宅してからポスティングしたツイートがコレ。
東日本大震災でもスポーツの力を実感しましたが、世界の強豪を相手に最後まで自らの力を信じ、勝利を諦めないラグビー日本代表の皆さんの勇姿は台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるものだと思います。日本代表初の決勝トーナメントでのご活躍を期待しています。 pic.twitter.com/go7Md9ed0c
— 安倍晋三 (@AbeShinzo) 2019年10月13日
まさかのラグビー観戦。
ウソでしょ。
日本各地で水害が起き、グチャグチャになっているさなかに、自宅でのんびりラグビー観戦する総理大臣ってなんなのだろう。
「元気と勇気」って、まだ家が水に沈んで救出されていない人にそんなものが必要だろうか。
まさに災害が進行している間は、息をひそめたようになにも発しない首相だが、誰かがメダルを取ったとか、ノーベル賞を受賞したとかいう話に便乗する時は、実に反応が速い。
安倍首相ほど露骨に災害を見ないふりする総理大臣がかつていただろうか。
「国民の命を守る」が口癖で、それを理由に武器を調達したり、自衛隊を強化しようみたいな話は大好きだが、災害や貧困から国民を守る気はさらさらない。
災害や貧困から国民の生活を守ることだって重要な「安全保障問題」なのである。
ミサイルを迎撃するばかりが安全保障ではない。
要するに彼の口から出る「国民の命」という言葉は、この人にとっては富国強兵のための方便に過ぎない。
改憲によって導入しようとしている「緊急事態条項」が、災害時に有効とか?
笑わせる。
バカ言うんじゃないよ。
そもそも災害自体に、これっぽっちの関心もない人が!