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加計再来になりうる「スーパーシティ」構想

「スーパーシティ」構想という言葉を聞いたことがあるだろうか?
去年の秋ごろから、小さな記事でチラホラは出ていたものの、それほど人の気にとまるほどの大きさでは報じられてこなかった。

それがここへ来て急に、「思うように進まない」というニュースで、また取り上げられるようになったので、ネットであちこち探ってみることにした。

「スーパーシティ」構想とは?

いま流行の、AIやビッグデータを使い、ITを駆使したキャッシュレス、自動運転、遠隔教育・遠隔医療など、技術の最先端を余すことなく生かしたスゴイ街を作ろう、という計画だ。
国家戦略特別区域諮問会議から2018年に発案された。

国家戦略特別区域諮問会議」と言えば、安倍晋三氏からトップダウンで、好きなように利権を配分するアレだ。
それを聞いただけで、また縁故優遇のロクでもないプロジェクトが始まるのかと、うんざりする。

これにまつわる有識者懇談会のメンバーがまたスゴイ。
竹中平蔵氏・座長を筆頭に、原英史氏、八田達夫氏、とメンバーを見るだけで、「加計、再び」みたいなメンツである。
しかも、担当大臣は片山さつき氏である。
ちなみに「スーパーシティ」という、いまいちイカさない命名は、片山さつき氏によるものらしい。

片山氏は新しい特区を「スーパーシティ」と名付ける考えだ。
(2018年10月15日日経)

安倍首相が諮問会議を開き、有識者懇談会を開かれ、計画は着々と進んでいたのだが、なぜかこれが大きく報道されることはあまりなかった。
3月1日は、安倍応援団の経済学者・岸博幸氏が、こんな素晴らしい計画に全く興味を示さず、統計不正問題ばかりを報じるマスコミに「けしからん」「怠慢である」という苦情をネット記事にまとめている。

当初とは変わってきた「原案」

もともとこの計画は、地方創生プログラムとして、自治体が計画の意図に沿った規制緩和を条例によって行い、企業を呼び込む体裁になっていたようだ。
しかし、内閣法制局から、「条例は、法律の範囲内で制定できる、という憲法の規定に抵触する」と、マッタがかかった。
確かにそうなんだが。
どんな条例かにもよるが、中央の役人なんて、やろうと思えば政令でも省令でも使って、やりたいことはやるものだ。
察するに、中央の役人が、やりたくないんだろうね、これは。
美味しい利権を地方にさらわれてしまう。

で、地方側から提案するという原案を変えたところ、下の図のようになってしまった。


(2019年4月17日毎日新聞)
早い話が、安倍晋三からトップダウンになってしまったのだ。

自治体が最先端技術の実証実験を行うための規制緩和策を盛り込んだ計画案を政府に提出した際は、各府省庁は総理大臣の要請に基づいて、規制緩和が実施可能かどうか検討を行い、その結果を公表するとした規定が盛り込まれました。
(2019年4月17日NHK)

NHKだと、その部分が多少やわらげてあって、地方自治体が政府に相談し、それを政府が首相にお伺いを立て、トップダウンという書き方になっている。
まぁ、どちらも似たようなものだ。

これでは本当に、加計の二の舞で、安倍首相に気に入られた企業が、補助金を受けつつ地方事業を独占するという構図にきっとなる。

加計問題で見られるように、国民の多くが政治家の「利益誘導」をあまり気にかけないという「甘やかし」が、与党政府をどんどんつけあがらせている。

政府はこれをなんとか今国会に提出し、通過させたいところなのだが、幸か不幸か妙な障害がさえぎっている。
それは片山さつき大臣の抱える「口利き疑惑」エトセトラだ。
法案審議となれば、担当大臣が答弁につかざるを得ない。
そうなれば、野党から、疑惑についてジャンジャン質問が出るだろう。
与党としては、選挙前だし、そんなことを世間の話題にするのはどうしても避けたい。

なんとしょうもない理由だろうか。
しかし、こんなしょうもない理由で、幸いにも巨額な利益誘導政策が頓挫しているのが、現実なのである。

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