3月5日、参院予算委、小西ひろゆき議員質疑から総務省汚職問題に関して。
総務省出身ならではの、事実背景を含めた非常に興味深い質問だ。
ここは関係者以外にはなかなか見えにくい部分だ。
菅首相が答弁を濁した後、なぜかここで武田総務大臣が出てくる。
この「調査」とやらから1週間ほどで、今度はNTTの高額接待疑惑が文春から報道されているのだ。
「事実が確認できなかった」のは、その調査自体が骨抜きだからに違いない。
こんな答弁をドヤ顔でする武田大臣という人は、どこまでも厚かましい。
その後、小西氏は、菅正剛氏が総務省衛星放送課に一度だけあいさつのために来訪したことを確認した上で、総務省に一度あいさつに来た程度の人が、一方で20回もの接待会食に出席していたことは、菅正剛氏が、総務省幹部を引っ張り出すための東北新社の接待要員であったのでは、と菅首相を追求する。
この答弁、どうだろう。
「そんなことはないだろうと信じている」というなんの根拠もない、ただの親としての願望を述べているだけだ。
「よくわからない」と言いながら、「あり得ないと思っている」、それが省庁を上げたスキャンダルに対する総理大臣の答弁か?
これでは、単なるオヤジ菅の感想を述べただけにすぎない。
そして最後に、「調べていただいてはいかがでしょう」という部分も、他人事感が極まりない。
これが総理大臣の答弁なのだ。
そして問題答弁は、まだまだ続く。
菅首相「私の家族が関係をした事案で、結果的には公務員倫理法の事案に至ったということについては、大変申し訳なく思い、お詫びを申し上げる次第でございます。」
小西議員「政治責任の有無を聞いてます。答えてください。」
菅首相「いま私が申し上げた通りでございます。」
小西議員「政治責任の有無が分かりませんので、述べてください。」
菅首相「政治責任の定義というのはないんじゃないでしょうか。ただ、私の家族が関係することが結果として公務員倫理法違反に至ったということについては、大変申し訳なく心からお詫び申し上げます。」
官房長官時代に、「反社の定義は定まっていない」との発言が物議を醸したことがある菅氏だが、またここで「定義はない」論法が出た。
しかも、菅首相がイラついたときのお決まりの語尾「~でしょうか」付きである。
小西氏はさらに問いただすが、答弁は同じ。
政治責任に対して「定義がない」、なんと言う言い逃れだろうか。
全くもって酷い総理大臣なのである。
小西議員の重要な質疑はまだ続く。
次の話題は東北新社の外資規制について。
すべてを質疑応答で理解すると長くなるので、新聞記事から概要を紹介する。
・・放送法は、地上波やBS放送などを行う事業者に外資規制を定めている。外国の個人・法人などが株式の20%以上を持つ事業者は放送を行えない。社会的影響力が大きく、公共性の高い電波の利用は国民の利益が優先されるためだ。認定後でも20%以上となれば、認定を取り消さなければならない。
(2021年3月5日朝日新聞)
BS4Kの申請の受付は2016年9~10月、東北新社は翌17年1月に認定を受けた。
申請時の16年9月末時点の東北新社の外資比率は19.96%だった。
ところがその直後、17年3月末時点で21.23%となった。
17年10月、東北新社は認定された衛星放送事業を100%子会社の「東北新社メディアサービス」に承継した。
その直前の同9月末時点の東北新社の外資比率は22・21%。
つまり総務省は本来ならば、承継を認めずに、外資比率超になった東北新社から事業許諾をはく奪しなければならない立場にある。
しかしそれを(意図的に?)見逃して、子会社に移行させたのだ。
総務省・吉田ひろし氏「この決済の最上、上位は当時の情報流通行政局、山田真貴子局長でございます。」
じゃじゃじゃーん、である。
この頃、東北新社は規程違反を逃れるために、脱法的に総務省の力を借りたのだと言える。
まさに、会食接待でズブズブになったのは、そうした時期のことなのだ。
総務省・原氏「6件でございます。」
例の4人組が、東北新社によっしゃよっしゃと言いながら、高額の食事でよろしくやっていた姿が目に浮かぶ。
一連の経緯を考えると、会食中にその話題が出たか出なかったかというのが、いかにどうでもいいかということが分かる。
会食接待を繰り返すことで、関係がズブズブになり、困ったことがあれば口を利く仲になる。
会話の内容云々以前に、こういう関係性を作ったこと自体が倫理違反であり、行政を歪めたのだ。
武田大臣が調べるとしている「事実確認」などというものは、今となってはなんの意味もない。
これまで出てきた会食の頻度と不自然な認定地位の移行があっただけで、それが十分な「事実」ではないか。