スポンサーリンク

支援より私怨。菅義偉の怖い政治

「東京問題」や「GoTo東京はずし」で火花を散らしているように見えるスガ官房長官と小池百合子知事の関係がこれまで取り沙汰されてきたが、なんだかんだ言ってもこの二人、二階幹事長との関係など、共有スペースの部分も多く、ケンカと言っても見世物的な側面もあるのではないかと思っている。

 

しかし、ここへ来てスガ官房長官は、沖縄の玉城デニー知事を盛大にディスり始めた。
これは、都知事との見世物的なケンカと違い、中央政府が気に入らない知事を潰しにかかる背筋が寒くなるような政治劇を見せられている感覚が否めない。

 

まずはそのディスりの記事から。

 

菅義偉官房長官は3日の記者会見で、新型コロナウイルスの軽症者・無症状者が療養するホテルを確保していなかった沖縄県の対応を批判した。「沖縄県には何回となく確保すべきだと促している。ホテル確保に必要な資金は政府から提供させていただくわけで、それ以上のことは地元の判断でされるべきことだろう」と不快感を示した。厚生労働省は週1回、各都道府県の確保施設数を公表しており、7月29日時点では全国で沖縄県だけが療養用のホテルの確保数が「ゼロ」だった。
(2020年8月3日毎日新聞)

 

政府はホテルを確保せよと促している、カネも出している、それでもやらないのは自治体の問題だ
と、スガの主張はこうだ。
しかしこれ、本当に自治体だけの問題だろうか?

 

政府は7月22日からGoToトラベルキャンペーンで、旅行へ行く人の旅費を補助してホテル利用を後押しをしている。
これで当然、沖縄のホテルの予約率も上がっていることだろう。
国民にカネを突っ込み「ホテルに泊まれ」と推進し、もう一方で自治体に「療養用ホテルを調達しろ」と言っているわけだ。
当然現地の部屋数は限られている。
さらに言えば、夏休み真っただ中にGoToでやって来る観光客とコロナ患者、ホテルの経営者だったらどちらを対象に商売をしたいか。
そんなことは言うまでもない。

 

そんな厳しい状況の中でもデニー知事は、なんとかいくつかのホテルを押さえ、8月1日からの契約にこぎつけたが、記事を見れば分かるようにスガ氏は、8月3日の会見で7月29日時点で厚労省に上がっていた報告データをもとに苦情を言っている。
ウソをつかないレベルで、意図的に沖縄県の仕事の甘さをデッチあげた。
そこには、「玉城デニー知事が無能である」ということを、公の場で少しでも大きく発表しようという悪意を感じる。

 

それでは、沖縄県に対してここまで痛烈に苦情をいうスガ氏は、沖縄にいる国民が少しでもコロナの被害から免れるよう心配して言っているのか?
私にはとてもそうは思えない。

 

これまでスガ氏は沖縄県で選挙があるたびに沖縄入りし、その後押しをしてきた。
沖縄にユニバーサルスタジオを誘致!
携帯料金を安くします!(←沖縄の地方選挙でナゼ)

 


2018年9月沖縄県知事選の街宣での様子
そんなスガ氏の後押しも空しく、県知事選ではデニー氏が、スガ氏が推す佐喜眞氏に圧勝した。
県議選でも、スガ氏率いる沖縄自民は、故翁長知事が引っ張ってきたオール沖縄をまだまだ破ることが出来ないでいる。

 

スガ氏にとって、辺野古工事に抵抗し、カジノ誘致に抵抗したりと、政権の言うことを聞かないオール沖縄を率いるデニー知事は目の上のタンコブ的存在なのだ。

 

目の上のタンコブでもなんでもいい。
恐ろしいのは、コロナという「災害」を利用して、特定の気に入らない知事を陥れるためには、何をしてくるか分からないというスガ氏の悪人ぶりだ。

 

沖縄は、他の地方自治体よりもコロナに対して、より無防備な体制を取らされている。
それは日本最大の米軍基地があるからだ。
米軍関係者は検疫や入国審査といった手続きがないので、普段からスルーで基地と米国間を行き来している。
15万人以上の死者を出した米国と日本の間をだ。
基地内でもクラスターが発生しているという報道はチラリとはあるものの、その詳細や対策が日本国民に知らされることはない。
また7月には沖縄の米軍関係者が米国の独立記念日を祝い、沖縄の市中で三密の大騒ぎパーティをしたことも、沖縄で感染が増えていることの要因になっているのではないかという見方も強い。

 

しかし、こうしたことは県知事の権限ではどうにもならないことだ。
残念なことだが、県知事レベルでは、政府奨励のGoToトラベルキャンペーンで観光客が増える中、それでも協力してくれるホテル経営者を探して療養用ホテルとしての契約をするくらいしか出来ることがない。
そしてそれすらも、中央政府のキャンペーンが邪魔をして、ことを難しくしている。

 

米軍の感染を市中に広めることを防ぐことも出来なければ、GoToでホテルを埋めていく観光客を大っぴらに拒むこともできない。
そしてスガ氏からは、官房長官定例会見という場で「デニーは仕事が出来ない」的な発信をされる。

 

考えたくないことだが、沖縄の状況がひどくなればなるほど、スガ氏の口元に笑みが浮かぶような気がしてならない。

 

安倍首相は仲間への利益誘導が過ぎるという意味でとんでもない総理だが、その安倍首相のそばで側近として地味に活動してきた菅義偉という人物の、狡猾でズルく冷酷なやり方に背筋が寒くなる。

 

私たちは、同じことが自分の住んでいる自治体でもし起きたら?ということを想像しなければならない。
同じ国民として、明日は我が身なのである。

 

にほんブログ村 政治ブログへ