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「GoToトラベル」事務局、まだ設置されず ヒアリングより

「GoToトラベルキャンペーン」が7月22日から始まった。
信じられないが、この日は、国内の感染者790人という一日で最多の国内記録を打ち出した日でもある。
こんな時に「みんなで旅行に行きましょう!」だなんて、頭がクルクルパーとしか思えないのだが、感染拡大の問題は今回は不本意ながらも横に置こうと思う。

というのは、この「制度設計」のあまりにもデタラメさがヒアリングによって明らかになったからだ。
「悪い制度」というものは、過去にもたくさんあった。
制度の方針がヒドイということは過去には例があっても、制度設計自体がグズグズという例は、戦後日本がちょっと経験したことのないレベルの珍事だ。
これは制度設計する官僚たちの程度の劣化とも言えるのかもしれない。
いかに酷いかと言うと、それは同日の野党合同「GoToトラベルキャンペーン」ヒアリングで明らかになった。

 

ヒアリングの内容を紹介する前に、ざっくりと「GoToトラベルキャンペーン」について解説する。
旅行が割引になるという程度には誰もがご存知だと思うが、具体的にどういう仕組みなのか?

旅行者はまず旅行代理店や旅行ポータルサイトなどで予約を入れる。
ここではまだ割引は発生しない。
予約業者に料金は通常通り支払いをし、旅行後、還付申請書や宿泊証明書や宿の領収書などを「GoToトラベルキャンペーン事務局」に送付申請し、クレジットカードや銀行口座にその割引分を還付してもらうという方式だ。

 

ここで確認しておかなければならないのは、「GoToトラベルキャンペーン事務局」というのは還付事業を国交省から1800億円で業務委託をした「ツーリズム産業共同提案体」が運営する事務組織だ。
割引補助金の対象となる旅行予約事業者は、まずこの事務局に登録しなければならない。
登録された事業所で旅行の予約を入れ、旅行に行き、宿で所定の書類ももらい、それを旅行者が事務局に還付申請、返還を受けることで、初めて「割引」が成立する。

 

この仕組みをみんながみんなスルッと理解できるとは思えない。
この時点で、「制度・仕組み」としてかなりアウトと言える。

 

さて、本題のヒアリングに入るが、ここでは実に恐ろしい事実が明らかになる。

 

大串議員「事務局はどこにあるんですか?」
役人「・・・住所・・?所在地・・?えっと・私は資料を持ち合わせていません。」
大串議員「あなた方担当が、1兆数千億の事業を担当する事務局の所在地を知らないの?」

 

ここだけでも驚く。
何度も言うが、制度はすでに始まっているのだ。
省の担当者が、事務局の所在地を知らないとはどういうことなのだ。

 

その後、この役人は電話であちこちに問い合わせる。
しばらくして・・・

 

役人「申し訳ありません。知っている人間がすべて出払っておりまして、分かりません。」

 

もうさ、どんなグダグダな職場だよ。
この人役人、住所を今持ち合わせていないだけで、事務局はすでに機能しているので大丈夫と主張する。

 

仕方がないのでその話を横においてヒアリングを続けていると、省内の誰かに連絡が付いたようで、事務局の所在が明らかになる。

 

役人「今、連絡が付きまして・・事務局は8月から設置されるのだろうでございます。住所は港区西新橋云々。8月から400名態勢で設置します。」

 

トップの責任者がそれを知らなかったのか?
ていうか、8月からってなに?
制度はすでに7月22日にスタートしているのだ。
ちなみに割引は、このGoToトラベル事務局に登録した予約業者を利用した時のみ受けることが出来るということは、前述した。
予約事業者の登録募集が始まったのは、実に21日の話だ。

 

今一度制度を思い出してほしいのだが、旅行者はGoToトラベル事務局に登録した予約代理店を介して予約することで割引が受けられる。
その登録をする「事務局」が8月に設置されるというのだ。
もっともこの事務局の「準備チーム」のようなものが、「ツーリズム産業共同提案体」にささやかに発足してはいるようだが、個人事業レベルの旅行代理店は、登録するための連絡先すらを知り得ないような状態なのだ。

 

事業者レベルで戸惑うような制度なら、どちらかというとそういうことに疎い人が多い一般利用者は、この制度をいったいどうやって理解し使いこなすというのだろうか。

 

大串議員「この準備状況を知ったうえで、赤羽大臣は22日の繰り上げ開始を決定したんですか?」

 

本当にこれに尽きる。
感染拡大中にキャンペーンを始めたという暴挙は言うまでもないが、制度を整える体制がこんなにグズグズのまま、見切り発車で、制度を運用しつつ準備も並行して行っているというような、かつて聞いたことのない、これまでの官僚の仕事からは到底考えられないレベルの仕事になっている。
言っちゃ悪いが、田舎の町内会の方がよほどマシにオーガナイズしている。

 

これ、安倍政権ばかりでなく、長年の愚かな政権の下で、官僚機構も本当に無能な愚か者の集団になり下がってしまったのではないかと思う。

 

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