6月3日衆・経済産業委員会でトップバッターの質疑者、自民党・武部新議員からとんでもない言葉が発せられた。
与党・自民党の議員であるのでこれは仕方がない、と片づけられていい問題なのか?
質疑は冒頭からサービスデザイン社の仕事が「素晴らしい」「速い」などと、聞いたこともない褒め言葉を散りばめ、野党議員に突っ込まれる前に、経産省にその言い訳を心行くまで語らせるという、本当に死んでほしいような質疑だった。
与党議員とはいえ、持続化給付金の支給が遅いという国民の声が、まるで野党の言いがかりであると国会で仕立てるような議員は、その思想や主張を超えて、国民の敵と言ってもいいのではないか。
その武部氏、質疑の末尾にとんでもない最後っ屁を放った。
いやいや、驚くよ。
なんだね、この人は?
そもそも野党議員は、中小事業者から「給付金が振り込まれない」「間に合わない」といった陳情を多く受けたことで、受託事業者の背景を調べ始めたのだ。
仮に、迅速かつ円滑に給付が行われていたのなら、野党議員の注意がサービスデザイン社に注がれることはなかったとも言える。
北海道12区のみなさん、どうかこういう頭のおかしい世襲議員には、次回の衆院選で引導を渡してやってくださいな。
山崎誠議員(立憲)の質疑から、経産省がサービスデザイン社という会社を使って、どれほど「濡れ手に粟」事業を民間に提供しているかが分かった。
これに対して梶山経産大臣からは、「出来るだけ競争入札をするよう日頃から言っております。」という、他人事答弁しか出ない。
96%とは下記の事業のほぼ大部分だ。
(2020年6月1日東京新聞)
受注の背景にはこんな報道もある。
(2020年6月3日デイリー新潮)
この前田という人物は、中小企業庁長官として国会の答弁にも立っている。
サービスデザイン社をめぐる怪しい役人として、今後もこの名を心に留めておく必要がありそうだ。
さて次は、ベテラン大串博志議員(立憲)。
経産省藤木氏「4月7日であったかと承知しています。」
大串議員「何時ごろ?」
経産省藤木氏「午後ではなかったかと」
大串議員「このA理事さんに、持続化給付金の事業委託執行理事となってもらうことを、機関決定されて、その機関として(入札に)手を挙げていると。」
経産省藤木氏「そのように承知している。」
大串議員「7日は、持続化給付金を含む緊急事態宣言が閣議決定された日ですよ。夕方6時。新聞で大まかな報道はあったものの、閣議決定されたのは4月7日の夕方なんですよ。なぜサービスデザイン社は7日に、閣議決定の前に、A理事を本件の業務執行理事として決められるのですか?」
「ズブズブだから」
という理由しかない。
もちろん経産省からそんな答弁が出てくるはずはないのだが。
並べ立てるいろんな言い訳も、空しく空回りするだけだ。
さて、オモシロおじさんの川内博史議員の登場だ。
遠山清彦財務副大臣「一次補正予算で見込んでいる事務費は769億円、二次では850億円を積み増ししている。」
川内議員「ひゃっふあっ、驚いた。減らすのかと思ったら増やしたの?」
一次と二次予算から出る持続化給付金の事務手数料を足すと、約1600億円を超える。
これを全部サービスデザイン推進協議会というトンネルをくぐらせるのか?
これだけ批判が高まる中、あまりに大胆だ。
そして次に登場する企業名は「デロイトトーマツ」という企業である。
持続化給付金の事務事業の入札において、サービスデザイン社の入札競合とされる会社だ。
デロイトトーマツ社は評価Aの企業であるのに対して、サービスデザイン社は評価C。
ところが、競り勝ったのは評価Cのサービスデザイン社であった。
デロイトトーマツ社の入札価格は開示資料で黒塗りになっており、秘されている。
「デロイト側の希望による」と大臣は言い訳するが、これは本当だろうか?
この価格が開示されてデロイト社に都合が悪いことがあるとは思えない。
都合が悪いと考えられるのは、大いに経産省側だ。
梶山経産相「会社名は公表してもいいという了解を取っているが、価格については二度問い合わせているが、公表してほしくないということだった。」
川内議員「大臣、それ誰から聞きました?」
那須野事業環境部長「職員から報告した。」
川内議員「2回聞いたというのはいつ?それはメール?電話?」
那須野事業環境部長「事前通告がないので答えられない。」
川内議員「2回聞いた、まで言って、それを答えないの?」
那須野事業環境部長「事前通告がないので」
川内議員「あの、私デロイトトーマツさんに確認しました。経済産業省ならびに中小企業庁から、価格の公表について尋ねられてはいない、と言っていました。」
そんなことだろうと思ったよ。
いろいろ言い訳をしていたが、梶山経産相も横から耳打ちする官僚も赤っ恥である。
持続化給付金の事務事業に関しては、規模のそぐわない企業の20億円中抜きという問題があるのは言うまでもないが、入札方法にもかなりの問題がある。
それはサービスデザイン社が過去に受注した事業を見ても同じことが言える。
8割が一社入札というのは、間違いなく人為的によるものだろう。
梶山大臣は、なかなかやって頂ける企業が名乗り出てこないなどと言っていたが、右から左に渡して20億円を抜けるような事業に「なり手がいない」とはよく言ったものだ。
規模はずっと小さいものの、桜を見る会において、昭恵夫人のオトモダチだった企業が会場内での飲食サービスを取り仕切ったのも、同じような手口だった。
こうしたやり口は、ほぼ全省庁で横断的に行われていて、これは氷山の一角なのかもしれない。
第二次補正予算の可決を急ぐために、与党はこの追及を曖昧にしたまま時間稼ぎをしようとするだろうが、緊急時にここまで国民をバカにした予算執行を決して許してはならない。