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「持続化給付金」給付事業受託の闇

まずは「持続化給付金」とは?
コロナ禍で昨年より収入が減った中小企業等の法人に最大200万円、フリーランスを含む個人事業者に最大100万円を上限に現金を支給する制度である。
給付予算は、総額で約2兆3000億円の事業となる。

 

しかし、5月1日に申し込んだ人に5月末になってもまだ給付金が届かないなど、業務に関する苦情が後を絶たたないため、川内博史議員が背景を確認したところ、いろいろとキナ臭い実情が浮かび上がってきた。

 

この給付業務を請け負っている法人が、「サービスデザイン推進協議会」。
受注金額は769億円にもなる。
第2次補正予算では、さらに1兆9千億円の予算が追加で見込まれているので、その給付事業委託にかかる経費は、この後さらに上乗せされることが予想される。

 

「サービスデザイン推進協議会」は、2016年5月に電通、パソナ、ITサービス業トランスコスモスによって設立された。
出鼻から胡散臭い企業名が並ぶ。

 

代理店関係者が言う。
「『サービス協議会』は、経産省肝いりの『おもてなし規格認証』という制度を運営する団体として2016年5月16日に設立された。主導したのは当時電通社員だったA氏で、電通が国の業務を間接的に請け負うための隠れ蓑として設立された団体と言われています」
(2020年6月4日号週刊文春)

 

いわゆる「認定利権」のために設立された会社のようだが、給付金申請を裁くような業務はあまりにも畑違いだ。
「おもてなし規格認証」という事業自体は、公式HPを見る限り現在も継続されているようだが、なぜこのようなまったく業種違いの事業を国から受注することが出来たのか。
アベノマスク事業を受注した、「ユースビオ社」がマスクとも輸入とも全く関係のない業者であったにもかかわらず、マスクの輸入製造を随契で受注したいきさつと同様、政府は全く明らかにしていない。

 

この「サービスデザイン推進協議会」は、事業実体すら怪しい。

 

 

川内博史議員が、「サービスデザイン推進協議会」の登記簿上の所在地を訪ねるも、そこには張り紙があるだけで、中で人が働いている様子もない。
中小企業庁によれば、この給付事業のために約5千人が対応しているとの見解だそうだ。
どこで、どんな5千人が実際に申請問い合わせを受けているのか?

 

中小企業庁は、法人が業務を電通に再委託していることを明らかにしたが電通も「経産省の事業なので、回答は控える」としている。
(2020年5月28日東京新聞)

 

電通が作った社団法人「サービスデザイン推進協議会」が受注し、それをまた電通に再委託し返しているという。
トンネル会社か?
そこまでして、いったいなにを隠そうとしているのか?

 

設立以降の経緯からは経産省との距離の近さが浮かぶ。法人の設立日は経産省が主導した優良ホテルなどの認定事業の委託者公募が始まったのと同日。法人は事業を受託した。以来、持続化給付金も含め、四年で計十四件の事業を経産省から受託。持続化給付金事業の入札には、もう一社が応札したが、法人は公募開始の二日前に持続化給付金のウェブサイト用アドレスをすでに取得していた。事業受託を見越したような対応だが、同法人は「受託できた場合に備えた」とした。
(2020年5月28日東京新聞)

 

経産省事案専門のトンネル会社になっているようだ。
公募開始の二日前に、すでに給付申請用のサイトを開いていたということは、入札は形ばかりで、最初から「サービスデザイン推進協議会」の受注が決まっていた出来レースということだ。

 

経産省によると、協議会は委託費の97%にあたる749億円で業務の大部分を電通に再委託した。経産省や協議会、電通は委託費の根拠や差額の20億円の合理性などについて明らかにしていない。
(2020年5月30日朝日新聞)

 

最初の報道から数日後、経産省は、「サービスデザイン推進協議会」が20億円を中抜きしたあと電通に749億円で再委託していることを明らかにした。

 

中抜きされた巨額の公金はどこへ行ったのか?
給付の事業総額から「給付一件にかかる手数料」を算出すると、事業者1軒に100万円を給付するのに4万5千円の手数料がかかる試算になるという。

 

いくらなんでもかかりすぎではないか。
国民が困難な状況に陥っている「コロナ禍」までを、政府に近付く連中が食い物にしているのがこの国の実態だ。
給付に時間がかかれば、受け取る中小企業側には資金繰りが間に合わず倒産する可能性もある。

 

税金を使う不透明な国家事業に対して「文書がない」「回答は控える」といったこれまで同様の無責任な政府の態度に対して、国民が叱ることを忘れていると、まだまだ同じような事案は続出するだろう。

 

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