2020年4月1日、森友問題合同ヒアリング、第4回目。
今回のポイント、赤木氏の手記でにあるこの部分。
ヒアリングに来ている財務省官僚の答弁によれば、この美並氏は「言った覚えがない」と供述しているらしい。
赤木さんは、この責任云々の話を、「楠管財部長から聞いた」と書き残しているのだが、では、美並氏が「言った覚えがない」と言っている中で、この楠氏は、その件についてなんと言っているのか?
ところが、財務省はこの件について聞き取りをしたがらない。
調査される対象という立場もわきまえずに、「聞き取りの必要がない」などと言う。
これは、第三者の調査でないと、絶対に埒があかないと思う。
こんなふうに野党と官僚の間で、「調べろ」「調べる必要ない」と、押し問答のようなやり取りが延々と続いた。
そんな中、原口議員から少し視点を変えた良い質問が出る。
会計検査院「検査した結果、はっきりと確認できなかった。」
原口議員「国有財産を瑕疵担保付きの譲渡をし、或いは貸し付けをした。それが会計検査をして、なぜ正当かどうか分からないんですか?」
会計検査院「関係者に聞き取りをしたが、詳細な内容までは確認できなかった。」
原口議員「ということは、財務省がやったこの行為が、会計検査院が正当とも不当とも認めてないわけですね?」
会計検査院「すでに国会に報告書を提出した通り。」
この事件は、本当に何から何までウヤムヤに葬られていたのだということを、改めて認識した。
森友問題と言えば、多くの人に「国有地を8億円値引きした事件」との認識があるはずだ。
ところが会計検査院が、この件に関して、そもそも取引自体が正当であったとも、不当であったとも認識していないのだ。
会計検査院「確認できる資料が十分でなかった。」←質問に答えない
会計検査院は、取引が「正当である」ことを確認するために、それらを立証し得る資料が必ず必要になるはずだ。
本来、すべての取引について、いちいち「正当である」ことが、立証されなければウソなのである。
財務省はこれに対してウダウダとこれまでの経緯を説明するが、要するに取引の正当性を証明するものは、なにも持ち合わせていない、ということだ。
国交省「当時持っている材料で、調査を行った。」←質問に答えない。
ここまでで分かったことは、「8億円の値引き」という行為が、正当であったとも不当であったとも、財務省はもちろん、会計検査院、国交省、誰も答えを持ち合わせていないのだ。
今思い起こしてみると、事件が発覚した当初は、まだこの値引き売却が進行中だったが、報道され国民が周知するところとなると、籠池夫妻という一風変わった登場人物が(全く別の案件で)逮捕されたことによって、土地も取り戻され、結局は取引が成立せず「未遂」に終わったことと、この後「財務省の文書改ざん」という、さらに大きなスキャンダルが発覚したことで、肝心なところであるにもかかわらず、うやむやになってしまった。
最後の部分で、川内議員がいい点を指摘した。
赤木さんの手記によれば、改ざんをした後、彼を除いたすべての人が異動し、どういうわけか赤木さん一人が部署に残った。
検察の捜査が始まり、1人だけ改ざんの現場に取り残された赤木さんは、精神的にどんどん追い詰められていくわけだが、なぜか財務省に彼を庇おうとする動きが全くなかった。
それはどうしてなのか?
何回ヒアリングをやろうが、行きつくところは結局ここなのだ。
第三者委員会で再調査を。
しかし、あまり想像はしたくはないのだが、わざと1人を「追い詰める」という意図は、組織の中になかったのだろうか?
木で鼻をくくったような態度で、誠実さのかけらもない官僚の回答をヒアリングで聞かされるたびに、人の倫を踏み外しても不思議はないという印象を受けてしまうのだが。
それならあまりに鬼畜ではないか。