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「桜を見る会」30年前の公文書提出の外務省と、今年の名簿を出せない内閣府

12月6日「桜を見る会」追及本部のヒアリングも13回目になった。
内閣府の答弁は日に日に頑なになり、要求を「持ち帰って検討する」から「調査するつもりはない」という答弁が出てくるほどになった。
国会閉会までのあと数日のガマンとばかり、ラストスパートに命がけなのだろうか。

 

今回、定例の押し問答の中で、最も気にかかった部分は、安倍事務所から上がって来た招待者リストを内閣府は、中身をノーチェックでまとめて招待状を発送したのか、それとも安倍事務所推薦リスト上の人物を精査したのか。
官僚用語ではここは「決裁した、しない」という風に表現するらしいが、内閣府はこれまで名簿は「決裁していない」と答弁している。

 

が、安倍首相は、「安倍事務所からはあくまで推薦するのみ。招待状を出すか出さないかは内閣府の判断だ。断られる場合もある。」という風に答弁している。
もし、名簿が世に出て、そこにおかしな人物の名があった場合、「内閣府」と「安倍首相」のどちらの責任か、という話にもなる。
また、今年の招待ではないものの、ジャパンライフの会長が受け取った招待状が、「内閣府」の精査を受けて発送されていた場合、被害者が国家賠償請求を行った時、内閣府の招待担当部署は、責任の一端を問われることにもなりかねない。

 

この一件は、「桜を見る会」の名簿の問題だけではなく、消費者庁が「忖度」によりジャパンライフの調査に手心を加えたのでは、という二つの疑惑がパラレルで進んでいるところがミソだ。
共産党の大門議員が、消費者庁職員から内部告発されたとみられる、ジャパンライフ立ち入り検査に関する「大量の文書」というのがあるようなのだが、これがのちにどれほど効いてくるのか?
しかし、大門氏のカードの中身は、今のところまだ誰にも分からない・・・。

 

ところでだが。
そんな中、今日は「これぞ官僚!」というべき、「出しすぎず」「隠しすぎない」そして、寒気がするほど事務的ではあるが、国会議員に要領よく回答する官僚が現れた。
その部分を紹介したい。

 

故・安倍晋太郎氏とジャパンライフの山口氏が、近しい関係にあるということは、すでに昔の国会でも追及されている事実で、安倍晋三氏も山口氏とは少なくとも数十年に渡って面識があったのではないか、という疑いがある。
昭和59年(1984年)、山口元会長が安倍晋太郎外務大臣のニューヨーク訪問に同行した際、当時父の秘書をしていた安倍晋三氏も同行していたのではないか?という点に、野党議員は目を付けた。
そんなわけで、ひとつ前の第12回ヒアリングでは、外務省にその時の記録を要求していたのである。

 

黒岩議員「外務省、結局、渡航記録は出てきました?」
外務省官僚「1984年安倍晋太郎外務大臣が、国連総会出席のために渡航した際の一行名簿に、当時外務大臣秘書官であった安倍総理の名前が記載されています。」
黒岩議員「ある!・・・ほら・・・出た!」
場内、ざわつく。
黒岩議員「昭和59年の当時の安倍晋太郎外務大臣とジャパンライフの山口元会長が一緒にですよ。この長旅に、当時の政務秘書官であった現安倍総理が同行していた。」
外務省官僚「今仰った・・(ジャパンライフ元会長)方については、名簿には記載されておりません。」
黒岩議員「それはいいの。安倍晋太郎氏が2年後の昭和61年の予算委員会で、(ジャパンライフ元会長が)同行したと答えてるわけだから。三十何年前の名簿・・・、残ってましたね・・・。」
外務省官僚「私がお答えできるのは、一行名簿に載っていたのは、外務大臣秘書官、ということです。」
黒岩議員「紙媒体ですか?」
外務省官僚「はいそうです。直ちに手続きを取って提出します。」
黒岩議員「こういう風にやってもらえると話が進むんですけどね。よかった、また文書がある・ないで押し引きしなきゃならないかと思った。」

 

「桜を見る会」ヒアリングで、要求した公文書が出てきたのは、これが初めてのことではないだろうか・・・?
ああ、「シュレッダーの予約表」があったか。(くだらねえ)
そんなものだ。
いや、考えてみればこんな対応は普通であるべきで、なんら感動するところではないのだけど、13回にわたるヒアリングを視聴してきた身としては、合計13時間以上もグズグズと要求にこたえない官僚の動画に付き合わされたのである。
この切れ味のいい刃物のような対応に胸がすくと同時に、本来「安倍首相を庇う」などというおかしなミッションさえなければ、この人たちはこうして働けるのだろうと思うと、国家的損失を嘆かざるを得ない。

 

なぜ、外務省の動きがこんなにいいのかというと、おそらくそれは、外務省全体に安倍官邸に対する忠誠心が、他の省庁より圧倒的に薄いからだと思われる。
「経産省」は言うまでもなく安倍首相の肝いり省庁、首相お膝元の「内閣府」、経産省や内閣府から幹部が異動してくる「消費者庁」、これまでヒアリングを手こずらせている相手は、どこも「官邸」と深いつながりがある省庁だ。

 

一方で、外務省はオイシイ思いどころか、むしろ安倍政権になって既得権益を失った部分が大きい。
例えば、北方領土や対米関係。
これまでは、管轄である外務省が一手に引き受けていた分野だが、安倍政権になってからは外務省の頭越しに、経産省が独自に交渉するといった「縄張り荒らし」が公然と行われて来た。
また、これまで外務省OBのポストだった「国家安全保障局長」に、警察官僚の北村滋氏を当てたことも、おそらく同省の恨みを買ったことだろう。
安倍政権を、さほどありがたいと思っていない省庁の、おそらく代表的存在に違いない。

 

いやしかし、こんなことでもないと、日本国民というのは国民の財産とされる「公文書」にアクセスできないのだろうか。
シュレッダーだの、シンクライアントだの、バックアップは公文書ではないだのと、いくつものワケのわからない政府の言説は、たったひとつ、「桜を見る会」の招待者名簿は絶対に出さない、という旗印のもとにある。
なにをそんなに守らなければならないのか?
ひょっとしたらそこには、私たちの想像を超えた、もっとスゴイものが隠されているのかもしれない。

 

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