安倍首相が官邸で省庁幹部と面談した際の記録について、議事概要などの打ち合わせ記録を一切作成していないことが、毎日新聞の情報公開請求から明らかになった。
4月には、各省庁の「大臣の日程表」が、即日廃棄されていることが明らかになったばかり。

なにかもう、こういう事態に国民が慣れてしまって、もはや大問題として注目されることもなくなってしまった。
かく言う私も、この件から「衝撃」を受けるというほどのこともなく、「またか・・・」という思いに近い。
森友・加計問題では、「言った」「言わない」や「聞いた」「記憶にない」など、水掛け論が長く続いた。
なぜかと言うと、それに関する公文書がないからだ。
挙句の果てに、財務省の文書改ざんが知られるところとなり、大スキャンダルまでに発展した。
その反省を踏まえて「公文書管理ガイドライン」を見直したはずなのに、タイトルの「管理」とは名ばかりで、事実上「公文書廃棄ガイドライン」というのに近い内容になっている。
政府が「反省」したのは、「今後はきちんと記録を残そう」ではなく、「記録なんかがあるから改ざんしなければならなくなる。今後はきちんと廃棄しよう。」ということだった。
要するに、今後も官邸で何が行われているか国民は全く知ることが出来ないし、逆に言えば、どこまでもやりたい放題で、批判を受けることもないのだ。
そしていつものことだが、会見でこの件に関して質問を受けたスガ官房長官の回答がヒドい。
こうした対応で政策決定過程を記録できているかとの質問に対しては「できていると思っている」と語った。
(2019年06月03日時事)
「記録を作成していない」のに記録は「できていると思っている」とは、どういうことなのか。
デタラメ回答も甚だしいのだが、このデタラメを、デタラメのまま記事にする時事通信も相当のデタラメである。
みなさまのNHKはもっとすさまじい。
安倍総理大臣と各省庁の幹部との打ち合わせ記録について、菅官房長官は午前の記者会見で、各府省庁が必要に応じて作成・保存しているとしたうえで、行政文書の取り扱いに関する新たなガイドラインに沿って適正に対応しているという考えを強調しました。
(2019年6月3日NHK)
まず、見出しがスガ官房長官の「主観」である。
こんなコメントに、どんな価値があるというのか。
これはNHKがよくやる手法なのだが、要人が言ったことをそのまま記事にして、「真実を報道した」とする姿勢だ。その要人の言ったことが、事実か、ウソか、ということは、NHKにとってはどうでもいい。
NHKにとって「NHKはウソは報じていない」というところが最も重要なのだ。
また、質問の導入部分について「打ち合わせ記録について」としか説明していない点も大きな問題だ。
これは、「記録について」ではなく、「記録を作成していないことについて」の質問だ。
与党の「落ち度」をさりげなくニュースから削除する、NHKの意図的な書き方が忌々しい。
ツッコミが足りないものの、真摯に報じているのは、スクープした毎日と、朝日。
読売に至っては報じてすらいない。
NHKは、問題の焦点にわざとモザイクをいれて、視聴者はなんだかわからないまま「スガさんは、記録はちゃんとされていると言った」というところだけ鵜呑みにさせられる。
こういう環境にあって、国民がこの問題に意識を傾けるのは、確かに至難の業かもしれない。
メディアの影響は大きい。