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改ざん再発防止に文書廃棄が有効?毎日新聞のスクープ

毎日新聞がじわりと静かなスクープを放った。
「公文書クライシス」という題名で何回かのシリーズになっている。

毎日新聞が、安倍首相と省庁幹部の、面談に関する1年間の記録を、官邸に情報公開請求したところ、すべて「不存在」という回答を受けたというのだ。
さらに、官邸が記録の保存期間を、「1年未満」と設定していることも明らかになった。

それに関する官邸の「言い訳」というのが、
「記録は政策を担当する省庁の責任で管理すべきだ」
ということなので、
「それならば」と、今度は、請求した1年分の記録の中から、重要そうな16件を抽出し、それを「担当する省庁」側に請求したところ、

6件→説明資料なし、面談のテーマは?「答えられない」「記録がないので分からない」
10件→説明資料あり、議事録はなし

議事録がない理由として、「政策や事業方針に影響を及ぼす打ち合わせではなかったため」などとの回答を受けたというが、官僚自身が重要かどうか判断して廃棄できるのなら、お手盛りもいいところだ。
「担当する省庁の責任で管理すべき」という官邸の言い訳も、省庁での管理を本気で期待しているものではなく、「むしろ省庁でもさっさと廃棄してほしい」というのが本音だろう。

毎日新聞が、なぜこんな「試し」をしたかというと、加計問題で柳瀬官邸秘書官が、「記憶にない」と言った、あったはずの官邸での面会の件だ。
「今治市・愛知県・加計職員」が官邸訪問したときの記録を、官邸は「ない」と言い、今治市は「見せられない」と言い、愛知県だけが公開に応じて注目を浴びた。

ではいったい、「官邸の面会記録」というものは、どういうルールに基づいて保管されているのか、改めてお試し請求をし、官邸や各省庁がどう反応するか追ってみたのが、今回の記事だ。
これは、毎日新聞は、とてもいい仕事をしたと思う。

「1年未満」という保存期間は、いつから始まったルールなのだろう。
昔からそうだったとは、とても思えない。

そもそも、保存義務を規定するのに「未満」は、おかしいではないか。
まずは、このようなふざけた規定を、官僚らがお手盛りで変更できる、『行政文書の管理に関するガイドライン』とやらを変える必要がある。

公文書改ざんが、大きな問題となったので、「さっさと廃棄しましょう」と、ルールを変えたのだろうか。
文書を破棄してしまえば、のちに改ざんをする必要もない
まるで笑い話のようだ。

公文書に関しては、「ガイドライン」などという、ユルユルのものではなくて、きちんと法整備することが望ましい。
そうでないと、

菅官房長官「総理大臣は各行政機関から説明や報告を受けるが、これらの行政文書は、政府の『行政文書の管理に関するガイドライン』では、保存期間を1年未満とすることができるとされている」「官邸に説明を行った行政機関の責任において、適正に管理されている」(2019年4月15日NHK)

いつものスガ話法で
「法は守っているのだから適正だ」
などと、倫理を無視した言い分が通ってしまう。

こういう無法な政権が誕生した以上、担当者の「良心」に委ねられた、甘いガイドラインでは危ない。

この動きに関係してか、よく分からないが、こんなニュースもあった。

現在、原則午前0時としている最終動静の配信時間は、平日、休日ともに午後10時に前倒しする。
なんと、首相動静を「働き方改革」のために、「時短」にするというわけだ。
2019年4月14日週刊現代

官邸の動きはとにかくあまり知られたくない、という意思が現れている。

ここへ来て、下関北九州道路、世に言う「安倍・麻生道路」も浮上している。
この場合、「忖度」して利益誘導を図ったのが、官僚ではなく議員だったので、大家敏志参院議員は、その手柄を誇らしげに周知させたいあまり、「安倍首相からお言葉を頂いた」とブログに上げてしまった。
幸か不幸か、それが彼には裏目に出てしまった。

ただし、官僚がかかわった場合、当たり前だがこういう凡ミスは期待できない。
選挙を経ることのない官僚は、持ち場のごく近い人にさえ「よくやった」と思われれば、十分なのだから。

文書改ざんが問題となって以降、政府内部では「どんどん捨てろ」が主流になっている可能性もある。
後世の人が、この政権を検証する手立てが全くない、という事態になりかねない。

私たちが、未来の人々にどんな世界をバトンタッチできるか分からないが、少なくとも後世の人が、「なんでこんな風になったのか経緯も分からない」ような将来を引き継いではいけないし、そうさせない責任がある。

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