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金浦空港で泥酔し暴れた現役官僚を狂わせたもの

ヘンな事件が起きた。
3月19日午前、韓国の金浦空港で空港職員に暴行・暴言を加えたとして、泥酔状態の「ある日本人男性」拘束された。
というニュースが、韓国メディアを通す形で、日本で一部報道された。

それが、翌日20日になって、日本メディアが大騒ぎするところとなった。
その「ある日本人」が、現役の厚労省の課長だったからだ。

ただ、酔っ払ってやらかした、というレベルではない。

職員に物を投げつけ、英語で「俺は韓国人が嫌いだ」などと叫んだ。
(3月20日産経新聞)

嫌いなら、なぜ休暇を使ってまでして、韓国を旅行するのか、ちょっと意味が分からない。

現地警察に拘束された後も、反省する様子もなかったことがうかがえる。

トラブルを起こした当日の19日、自身のフェイスブックに
「なぜか警察に拘束されてます。殴られてけがをしました。
手錠をかけられ5人に抱えられ。変な国です」と投稿していた。(3月20共同)

この武田康祐氏の、最近の経歴を見ると、安倍政権の中心近くで、「一億総活躍」「働き方改革」に関わっていたようだ。
最新・最後の経歴が、今話題になっている「賃金課」というのは、ただの偶然だろうか?

2015年 内閣官房一億総活躍推進室企画官
2016年 内閣官房一億総活躍推進室内閣参事官、内閣官房働き方改革実現推進室併任
2017年 厚生労働省労働基準局賃金課長

これは単に「官僚が海外でやらかした」珍しい事件にすぎないのか?

官僚、なかでもとりわけ安倍政権の政策に深くかかわった官僚ほど、人としての感情が劣化している気がするのだ。
それは主に、国会中継の答弁を見ていても、よく感じる。

例えば、去年は立憲民主党の(当時民進党)小西議員が、現役の防衛官僚に唐突に路上で罵倒されるという事件が起きた。
これも小西議員だが、横畠内閣法制局長が、国会の答弁で「そんな声を荒らげて言うようなことでは」などと、自身の意見を陳述するという珍事が起きた。

一定数の官僚の中に、「アレは攻撃してもいい」といった、暗黙の了解が出来ているのではないかとすら思う。
実際、ネットには、小西氏は、「どう誹謗中傷しても問題ない人」と思いこんでいる人が一定数いる。

同様に、韓国についても、どんなことを言っても問題のない相手、と思いこんでいる人がネットには一定数いる。

いや、ネットばかりでなく、最近の政府にすらそういう思惑が見えるときがある。

先月、韓国で3.1運動の記念集会があるということで、外務省は日本人に対して「渡航注意」を喚起した。
これまで毎年行われている記念集会で、特に問題が起きたわけでもない。
まるで、折からのレーダー照射問題や徴用工問題でケリのつかない外交状況に行き詰まった政府が、国民の憎悪を煽る目的で出したとしか思えない「注意喚起」だった。

こんな風に、世論誘導のために外務省発の海外情報まで利用してしまう日本政府の劣化に、驚きを禁じ得なかった。

実際、異常とまで言える隣国に対する憎悪が今の政府には貫かれていて、それも込みで官邸を「忖度」しながら、日々の業務をこなす官僚は、いつ感覚がおかしくなっても不思議ではない。

日本政府という、小さなコップの中で官邸からキュウキュウに恐怖統治され、「忖度」を読み違えることに小心翼々としながら毎日仕事をしていれば、コップの中の「常識」が、外でも同じであると錯覚していしまうのも、無理はない。

だが実際にコップの外では、政府の嫌韓政策にもかかわらず、2018年に訪韓した日本人は前年比27.6%増の約294万8500人となっており、ネットなどで嫌韓発言が一定の人気を得ているものの、こういうバカげた憎悪は決してマジョリティではない。

ただ、そういう世間とは「価値観」「常識」が大きく違っている人たちが、国家運営の中枢を担っていることを想像すると、なんとも言えない不安感に駆られるのである。

さて、このやらかした武田氏は「更迭」されたと言うが、単に賃金課長の役職を外されたに過ぎない。
この事件で、左遷されるのか?
お咎めなし、か。
いや、安倍政権下では案外、出世するのかもしれない。

 

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