緊急事態宣言から10日目の4月17日、衆議院 経済産業委員会の田嶋要議員の質疑から、マスクの政府調達について現在どうなっているのか、その答弁から探ってみた。
この質問に対する橋本岳厚労副大臣の答弁から、マスクの調達がいかにノロノロしているかがよく分かる。
「どんなニーズがあるのか」リサーチ中らしいが、少なくとも政府内に「マスクチーム」を立ち上げたことを、スガ官房長官は3月10日に明らかにしている。
優に1か月が過ぎているのだが、この時点でまだニーズのリサーチをしているとは、なんという遅さだろう。
また、こういうニュースもあったのだが、
(2020年4月11日日経)
「プッシュ型支援」とは、災害時などに、被災地の自治体からの具体的な要請を待たずに支援物資を緊急輸送する方法を言う。
すると「ニーズをリサーチ」している橋本副大臣の仕事は、プッシュ型という首相会見で発表した政府の方針とは違うのではないか?
安倍首相の言う「1000万枚の医療用サージカルマスク」と、橋本副大臣が管轄しているマスクチームの調達とは、同じマネジメントライン上にあるのだろうか?
そうでなければ、政府内に、マスク調達・支給のルートが2本存在することになる。
政府内に、目的を同じくするプロジェクトが二つあれば、それは非効率と混乱しか招かいないだろう。
もし、安倍首相の言う「1000万枚の医療用サージカルマスク」が、橋本副大臣の説明しているマネージメントで支給されるなら、ニーズをいちいち聞いて回っている彼のやり方は、安倍首相が会見で言った「プッシュ型」とは明らかに違う。
生産ラインから政府が把握して物資を優先的に調達し、それを自治体に分配するのであれば、マネジメントラインは1本化する必要がある。
そうなってはいないのか?
実体がよく分からない。
橋本副大臣「出来るだけお示しできるように、考えて参りたいと思います。」
そして、橋本副大臣のシメの言葉がまたズレている。
努力をしているとか、頑張っているとか、政治においてはどうでもいい。
現場に届いていなければ、成果がなかったということだ。
大事なのは、政治家が頑張っているかどうか、ではなく、調達が足りないのならなぜ足りないのかを説明し、いま起きていることを明確に情報開示することだ。
それによって、民間から何かよい提案が出ることもあるかもしれないし、最前線の現場での納得感も全く違う。
橋本副大臣は、そこを勘違いして「やってる感が足りなくて反省しています」というトンチンカンな答弁をしている。
「やってる感」だけの安倍政権が7年も続いたせいで、多くの与党議員は、政治とは「やってる感を示すこと」というのが半ば常識になってしまったのかもしれない。