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官邸が分科会の結論に抵抗

 

日本国内の感染状況がこのようになっている中、気になるニュースがあったので取り上げる。

 

「対策強化の指標示せず 経済考慮し官邸が抵抗―新型コロナ分科会」
(2020年08月01日時事通信) リンク

 

まず、7月31日に行われた分科会の結論を受けて、西村大臣と尾身氏が共同で記者会見を行った。

 

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は31日、感染状況を4段階に分類し、次の段階に進む「予兆」が見えた時点で対策レベルを引き上げるべきだとする見解をまとめたが、予兆を見極めるための客観的指標は示せなかった。コロナ対策が経済の足を引っ張ることを懸念する首相官邸が抵抗し、事前の調整がつかなかったためだ。

 

この日の分科会では、状況を以下のような4つのステージに分け、それぞれのステージの間に「予兆」という項目を設けた。

 

感染ゼロ散発段階・・たまにちらほら感染が出る程度
予兆
感染漸増段階・・緩やかに増え、医療体制への影響が溜まりだす
予兆
感染急増段階・・急増し、医療体制への支障が発生する
予兆
感染爆発段階・・爆発的感染、医療崩壊、手の付けられない状態

 

とまぁ、こんな風だ。
各ステージの説明書きは、内閣府の資料の説明から筆者が分かりやすく書き換えた。
オリジナル文書のリンクはこちら。

 

会見で尾身氏が強調したのは、各ステージに状況が悪化してから手を打ったのでは遅い。
「予兆」が見えた段階で次のステージに行くのを食い止めるための対策を打つことが最も重要、と何度も強調した。
その顔には、これまでの尾身氏の話し方よりもいくらか強い切迫感があったように、私には見えた。
しかし、その「予兆」とは具体的になんであるのか?、そこに言及することはなかった。
解釈する側の主観でいくらでも変わり得る文学的な表現で、各ステージの境界線は判断されるのだ。
海外では当たり前の、「実行再生数」「陽性率」といった、客観的な数字の指標がそこにはない。
なぜ?
その理由が、記事の続きにある。

 

関係者によると、尾身氏ら専門家は会合前から、指標を数値の形で明示すべきだと主張。これに対し、官邸は数値化に反対した。感染拡大の勢いが止まらない中、具体的な数値を示せば政治判断の余地がなくなり、経済への深刻な影響を承知の上で緊急事態宣言を再び出さざるを得なくなる展開も想定されるためだ。

 

「官邸が数値化に反対」とはどういうことか?
有識者会議というのは、あくまでも専門的な知見から推奨、アドバイスをする立場に過ぎないのだから、そこには官邸が「同意」する必要などない。
彼らは議員でもなければ役人でもないのだ。
それを官邸が口出ししてまで「変更」させるというのは、筋違いも甚だしい。
分科会がどんな結論を出そうが、他のリスクと比較してそれを採用するかしないかは、その責任を負うとともに政権の判断となる。
「アドバイス」に口出しして変更させるということは、そもそも政府が下す決断の責任を、ハナから分科会に丸投げしようという意思に満ち溢れている。
しかも分科会には大勢のメンバーがいる。
決断が大きなマイナス結果をもたらした場合、メンバーは蜘蛛の子を散らしたように逃げ出すだろう。
責任を取ってもらおうとしたときは、「分科会」という中身が逃げ出した虚ろな箱が残るだけだ。
そして分科会の議事録を公表しない、ということは、分科会の話し合いの中身までがブラックボックス化するので、無能な政権にはどこまでも都合がよくできている。

 

現時点で、ことコロナに関しては、日本は無政府状態で一人一人が個別で危機に対応している状態だ。
国家が機能していないとは、こういうことなのだ。

 

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