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給付金10万円 政治家は返上より政治で解決を

収入の半減した世帯を対象にした給付20万円案が、岸田文雄氏の一押しでサプライズ的に30万円になったのは、つい4月3日のことだ。
その後、アベノマスクや貴族風コラボ動画などの官邸による失態が相次ぎ、与党の中であからさまに政局を反映しながら「一律10万円給付」が17日に決定し、一方で世帯30万円案は退いた。

 

この給付金に対して安倍政権は・・・

 

新型コロナ対策10万円給付金、全閣僚・副大臣・政務官辞退へ
(2020年4月21日TBS)

 

まぁ、別にそれはそれで構わないのだが、あまりそれを手柄話のようにひけらかされるのもどうかと思う。
ただ、この声を皮切りに、後追いをする声が政治から出始めた。

 

10万円給付 国会議員が受け取り医療現場へ寄付検討 国民民主党
(2020年4月21日NHK)

 

そんなことしなくてもいいと思うのだが・・・。

 

10万円給付 所属議員らから集め寄付へ 維新 松井代表
・・日本維新の会の松井代表は、記者団に対し、給付金は受け取ったうえで所属議員らから10万円を集め、生活に困っている人などに寄付する考えを示しました。
(2020年4月21日NHK)

 

維新まで。

 

玉木氏や松井氏が、個人的に寄付を行うのであれば、それを止める気はないが、組織を挙げてやることに違和感を感じる。
この事態に医療現場に資金が足りないのであれば、それは予算を以って解決すべき事案だ。
それが彼らの本分なのだから。
松井氏の言うように、生活に困っている人がいることを、知事として認識しているなら、行政として予算で解決するのが本来の彼らの仕事である。
「生活に困っている人」がどのくらいいるのか分からないが、維新の議員よりたくさんいることは間違いないだろう。
目先の寄付よりも、予算の執行という、誰でもできるわけではない彼らの権限をそこに使うのが、あるべき政治の姿だと思う。
また、議員が受け取った給付金を「寄付」するとなると、公選法にもいろいろと面倒なことになりそうだ。
つまり、公選法に制限されるように、政治家の寄付行為とは、そういう意味もあることを忘れてはならない。

 

そして極めつけはこれだ。

 

県職員の10万円 県の財源に“活用”検討 広島 湯崎知事
広島県の湯崎知事は記者会見で、県の職員が受け取る分は基金に積み立ててもらうなどし、今後の感染防止対策など県の政策の財源に活用できないか検討していく意向を明らかにしました。
(2020年4月21日NHK)

 

ここまでくると、前述の例など比でなく、かなり頭がおかしいと言っていいレベルだと思う。
何の権限があって、「職員から国の給付金をはぎ取る」、なんてことが合理化できるのか、理解に苦しむ。
感染防止対策など県の政策の財源が少ないのなら、国に要求すべきだろう。
これは広島県だけの問題ではない。
その点を騒ぎ立てることもなく、取りやすい職場の部下からからむしり取って、自身の手柄にしようという悪意すら感じる。

 

自身の収入が減少し、「公務員は、こんな事態でも給料が減るわけではない特権階級」とうらやましく思っている市民の一部には、これで「胸がすく思い」がする人もいるのかもしれない。
しかし、それは結果的に何の解決にもならない、ただのガス抜きにすぎないことを、冷静に見極めなければならない。
仮に、日ごろから「県職員の給与は高すぎる」という問題があるのなら、それはこういう非常時ではなく、平常時にきちんと議論して妥当な額を判断するべきなのだ。

 

こうしたことが「美談」のように広まると、ついには企業などで社員から給付金を回収し、社名でどこかに慈善寄付するなんていう倒錯したウツクシイ世界にならないとも限らない。

 

結論を言えば、閣僚だろうが国会議員だろうが、一律ならもらうべきなのだ。
そして、なんならそれを、いま困っている最高級の和牛やクロマグロにでも消費すれば、三方よしに収まるのだ。

 

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