在日コリアンの中学生をブログで中傷した、大分市に住む66歳の男性が侮辱罪で罰金の略式命令を受けました。ネット上の匿名者によるヘイトスピーチが侮辱罪で処罰された例は、初めてです。(籏智広太 @togemaru_k)
【New】在日コリアンの中学生を匿名ブログでヘイトhttps://t.co/hsYTV43ryp
— BuzzFeed Japan News (@BFJNews) 2019年1月16日
またしても中高年者・・・。
このニュースを見て最初に思ったのがそれだった。
なぜかというと、話題になった「弁護士大量懲戒請求事件」でも、嫌がらせ目的で懲戒請求を送った人の大部分が、同様に中高年者だったからだ。
嫌韓を煽るデマや差別表現を書き並べたブログを信じ込んだ読者たちが、愚かにもその言説に乗せられて、何の落ち度もない弁護士に単なる「嫌がらせ目的」で懲戒請求を送り付けたというものだ。
その差別に満ちた内容のブログ運営主もまた、70代と高齢だったことが後になって分かった。
それまでは、嫌韓・嫌中を軸に他人に嫌がらせや誹謗中傷の書き込みをする匿名の人たちは、「インターネット」「常識不足」という観点から、比較的若い人ではないかと思われてきた。
「若い人」には全く申し訳ない次第である。
ところが、この大量懲戒請求事件をきっかけに、こうした人々が想定よりもはるかに高い年齢で、本来なら常識も人生経験もあるべき年齢層の大人たちであったことがわかってきたのだ。
そして今回のこの事件。
中高年、オトナ中のオトナであるはずの66歳が、中学生の子供に対して実名入りの誹謗中傷をブログに書き散らしたというのだから、眩暈がするような話だ。
また、この66歳のブログ主は、「侮辱する意図で作成したものでもございません」などと言い訳をしているという。だったら、いったい何が意図だったというのだろうか。
こうしたネット上での誹謗中傷や攻撃的な書き込みが、人を「侮辱」することに当たるのはもちろんなのだが、その対象となった人は、日常生活で筆舌しがたい恐怖に苛まれることになる。
リアルの世界で、見えない「攻撃者」からの恐怖におびえる日常を送るというのは、場合によっては侮辱以上に耐えがたい苦痛であると言える。
裁判では、争点となった「侮辱罪」は認められたものの、科料9000円という、被害に対してあまりにも軽く、まるで釣り合いのとれないものとなった。
ブログ上のヘイトスピーチ、規制する法整備が必要
弁護士大量懲戒請求事件といい、この中学生少年への脅しといい、発端となったのはどちらも「ブログ」だった。
ツイッター或いはそこからリンクされたニュース記事をネット上の読み物のメインとしていた私は、あまりブログにはなじみがなく、実はここを立ち上げるにあたって、ブログ開設ハウツー系のサイトをたくさん見て研究をしていた。
そんな時、
「特化型ブログとしてあまり好ましくないテーマは政治。」
と解説しているハウツーサイトがあった。
「うーむ、日本人にとって、やはり政治の話はタブーなのだろうか」
と思い、読み進んでみると、意外な理由に導かれた。
「某国の悪口をたくさん書けば、ある程度のアクセス数を見込めますが、表現によっては人種差別と受け取られ、広告収入に支障が出る場合があります」
「某国」とは、言うまでもなく韓国や中国のことだろう。
その悪口を書くことで、一定数のアクセス数が確保できるという発想に驚いた。
解説している人には、かくたる統計根拠があるわけではなく、おそらくブログ運営を熟知しており、数ある経験をもとに体感で言っているようだった。
さらに、この解説でもう一つ驚いたのは、「政治ブログ=嫌韓ブログ」とカテゴライズしているところだ。
これはどういうことかと思い、ブログランキングサイトを覗いてみたら、政治カテゴリ上位100位のうち9割程度が嫌韓テーマのブログという惨状だった。
なるほど、「政治カテゴリ=嫌韓カテゴリ」と認識したハウツー解説者は、まんざら的外れでもなかったのだ。
ツイッターなどのSNSにも確かに嫌韓発言は多い。
ただ、運営が存在するので、その基準の甘さはさておき、表現があまりに酷いものには、一応アカウント凍結などの措置がある。
しかし、独自ドメインのブログで倫理的に問題のある表現を載せた場合、SNSのように問答無用で削除などはできない。
このような事態で被害者側が、ほぼ自力での対処の必要を迫られるのではあまりにむごい。
今後、外国から大勢の旅行者、労働者などを迎えようとしている日本が、こんなことでまごまごしているようでは、先が思いやられる。
早急な法整備と、人の尊厳に関する周知・教育を徹底する必要があると思う。