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東電の旧経営陣の無罪、あきらめない原発新設

東電の旧経営陣に原発事故の責任を問う裁判で、無罪判決が下された。

 

東電旧経営陣3人に無罪=巨大津波「予見できず」-原発事故強制起訴・東京地裁
東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長勝俣恒久被告(79)と、いずれも元副社長の武黒一郎(73)、武藤栄(69)両被告の判決が19日、東京地裁であり、永渕健一裁判長は全員に無罪を言い渡した。検察官役の指定弁護士側は3人に禁錮5年を求刑していた。
(2019年9月19日時事)

 

最近では「上級国民」などという言葉も使われるようになったが、国家権力に近い人物に不利な判決がでることは、この日本では本当になくなった。
政治家にきわどい汚職疑惑が持ち上がっても、当局が調べるようなそぶりはない。
この国の司法は、完全に政府の一部となってしまっている。

同日の首相動静には、ちょっと気にかかる記述がある。

 

首相動静(9月19日)時事通信
午前9時35分から同50分まで、大谷直人最高裁長官

 

世界すら見守る大きな裁判の判決が出る日の朝に、最高裁長官が官邸を訪ねたというのは単なる偶然なのか。
想像することしかできないが、これまでの政権のやってきたことを考えると、嫌な感じしかしない。

 

ところで「東電」と言えば、千葉県の大規模停電がまだ完全復旧の途中であるが、某ラジオ放送で二木啓孝氏が興味深い話をしていた。
以下は、その一部を書き起こしたものだ。

 

二木氏「東京電力が、原発の事故で経営が厳しくなったおかげで、送電関連の設備費用をおさえてるんですね。1990年代っていうのは、送電設備は年間9000億円だったんですが、2015年、原発のあとですね、2000億円、8割減になっているわけ。送電線の大きな鉄塔が台風で倒れたんですが、これが実は70年前のやつなんです。(ここで聞き手も『ええっ?!』と驚きの声)電柱がバンバン倒れたんですが、電柱の耐用(強度)がどのくらいかっていうのは、1970年代に当時の通産省が定めた規定で、風速40mに耐えられればいい、となっていたわけ。」

 

当然メンテナンスはされていたのだろうけど、それにしても70年前とは驚いた。
原発事故で経営が厳しくなったのは分かるとしても、高度成長期に導入されたインフラは、これからどんどん老朽化の問題が出てくると予想される。
多少経費を削減するのは分かるとしても、「8割減」というのは、ちょっと尋常な減らし方ではない。
きちんと安全とのバランスを保ったうえでの削減なのか気にかかるところだ。
くだりのラジオ番組では、こうした費用を通常に戻すには電気料金の値上げや、原発の再稼働が伴う、というような話をしていたが、本当にそうだろうか。
実は、過去にこんなニュースがある。

 

原発専業会社の日本原子力発電が再稼働をめざす東海第二原発(茨城県)をめぐり、電力各社による資金支援の計画案が明らかになった。安全対策工事費が従来想定の2倍近い約3千億円に膨らむとし、東海第二から電気を受け取る東京電力ホールディングス(HD)が3分の2に当たる約1900億円を支援する。
(2019年3月2日)

 

国から公的援助まで受けている会社が、日本原子力発電という他者を援助するとはどういうことなのか。
また、同じ2019年3月には東電が「企業版ふるさと納税」を使って、東通村に4億円を寄付するという発表をしている。
青森県の東通村とは、言うまでもなく、東電が新原発を計画している地だ。

 

東電は、起こした大事故の責任を追及されるわけでもなく、電気利用者に影響が出やすい設備費を大幅に減らしながら、いまだに原発関連団体に援助や寄付を継続しているという殿様ぶりを発揮しているのだ。
こと原発の問題に関して、日本の司法が公正な立場で判決を出すなどということは、もはや微塵も期待できないが、やはり東電の国をバックに付けた傍若無人な有り様は、知れば知るほど腹が立つ。

 

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