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日立中西会長「全員が反対する原発を無理やり作るのは民主国家ではない」と「どんどん再稼働」の二極発言

1月1日、経団連会長であり、原発メーカー日立製作所会長でもある中西会長は、年頭会見で、今後の原発政策について、

「お客さまが利益を上げられない商売でベンダーが利益を上げるのは難しい。どうするか真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やり作るということは、民主国家ではない

と発言し、世間を驚かせた。

原子力ムラのど真ん中から出たこの発言は、原発反対の人たちには、にわかに信じられないレベルの発言だ。

ちょうどその頃日立は、安倍首相が英国に売り込んだ原発建設計画が、かさむ建設費により採算が取れないことが見通され、3000億円近い損失を出しつつも、ここで撤退するか否か、という瀬戸際に立っていた。

前年の暮れには、中西会長は「追い詰められた状態にある」と記者に漏らすほど、事業は苦しいものとなっていた。
英原発計画が、よほど日立の負担となっていたのだろう。
しかし安倍首相自らが「トップセールス」と鳴り物入りで売り込んだこの事業は、たとえ日立でも「採算が取れないのでできません」と簡単に撤退することができない、政治的事情が背景にあったに違いない。

そして同月11日、英原発計画が凍結されることが、正式に発表された。
日立製作所の株は大きく値を上げた。
損得の原理で動く、市場は正直だ。
利益が見込めない事業から撤退したことが、高く評価されたと言っていい。

その4日後のことである。
15日、同じ中西会長の口から、驚くような発言が出た。

私は再稼働はどんどんやるべきだと思います

オイ、待て。
この間の発言はなんだったのだ。
「みんなが反対するものを無理やりやるのは民主国家じゃない」と言った、あれは確かにアナタだったぞ。
それもたかだか2週間ほど前だ。

引き続き引用すると、

「ただ自治体がイエスと言わない。これで動かせない。これが事実なんです。正直言ってフクシマ以降、原子力に関して真正面からの議論が不足しているんじゃないでしょうかね。みなさん、それ言いだすと選挙に落ちるっていう・・へっへっへ」

こんなかんじだ。

「原発のことを言うと選挙に落ちる議員」とは、主に原発賛成派の議員だ。
反対の立場に立っている議員は、それが原因で落選することはおそらくないし、むしろ候補としては売りになる。

中西会長の真意はどこにあるのだろうか。

「どんどん再稼働すればいい」を聞いたときは、「なにをー」と思ったが、年頭会見の話とあわせて解釈すると、原発政策に白黒つけようという挑発に聞こえなくもない。

安倍首相のトップセールスで建設計画を売り込んだベトナム、トルコがすでに凍結し、英国は唯一残った最後の砦だった。
これも凍結が正式に決まったこのタイミングで、日立会長からこういう発言が出るのは偶然ではない。

原子力ムラにどんな変化が起こるのか、今年は注目すべき年になるかもしれない。