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日ロ外相会談、「北方領土はもうダメだ」という予感しかしない外交センス

1月14日、ロシアのラブロフ外相と河野外相がモスクワで会談した。

会談後、共同会見するのはやめましょうと日本側が事前に申し入れしたことが、ロシア側の暴露で炎上したのは昨日のことだ。

日本政府、外相会談後の共同会見をしないよう要望するも、ロシアに暴露される
13日、タス通信よりこんなニュースが報じられた。 14日にモスクワで予定されている日ロ外相会談の後に共同記者会見を行わないよう、日本の外務省側から要請があったということを、ロシアのザハロワ外務省広報官がロシアのテレビ番組で暴露したとい...

そして会談は終わり、予定通り共同会見は行われることはなかった。
報道は、ラブロフ露外相が単独で行った記者会見の内容と、記者が河野外相から漏れ聞いた話をパッチワークにつなげる妙なものとなった。

安倍首相は今日は、のんびりゴルフである。

この話の前提として知っておかなければならないのは、今進んでいるロシア外交は、外務省によってではなく、官邸とその取り巻きである経産省が牽引しているという点だ。

これは、すでに複数の識者が色々なところで解説しているので、別段真新しい見解ではない。
しかし、どういうわけかこの点に深く触れるマスコミの報道はあまり見ることがない。謎である。ここが肝なのに。

時間を少し巻き戻して、2018年9月12日、安倍首相はウラジオストクでプーチン氏と会談した。
自民党総裁選告示後で、おそらく安倍首相の頭はそのことでいっぱいだったろう。
支持率確保のためには、どうしても大物プーチン氏との、お得意のツーショットが必要だったはずだ。

そして会談後、共同会見をした時だった。
プーチン氏が急に思いついたように畳みかけた。

前提条件はナシで、まず年末までに平和条約を結ぼうではないか

安倍首相のイヤホンからはどんな同時通訳が流れていたのか知らないが、面食らった司会者も、テレビカメラも驚いて安倍首相の顔に視線を移すと、彼はうつろな目で「ウンウン」と頷いていた。

あの時から流れが変わったように思う。

11月の首脳会談では、日ソ共同宣言を下敷きにすることに両者は合意し、交渉対象は事実上4島から2島になった。

12月に入り、今度はアルゼンチンで日ロ首脳会談が行われた。
そこでは「平和条約締結のための新しい枠組み」として、河野外相とラブロフ外相が交渉責任者にすることで一致したのだ。

経産省牽引のロシア交渉に、なぜ外相を引き出しただろう。

自ら交渉した方が、インスタ映えがするのに。
こんな提案に、了解したいきさつがよく分からないのだが、これはうまいこと丸められたのかもしれない。

同日、日本のマスコミに、ロシアのウシャコフ大統領補佐官は、
この枠組みでは、島の引き渡しは議論しない
とはっきり言い切った。そんなことだろうと思った矢先だった。

つまりこのときロシア側は、領土返還にはあまり乗り気でない外務省を、平和条約締結の交渉相手に据えることで、領土問題と平和条約問題を分離することに、半ば成功したとは言えないだろうか。

交渉対象はこれで、2島から0島になったも同然だ。

そして今回ロシア側は驚いたことに、
『北方領土』という日本の名称が気に入らない。
とまで言い出した。

特にそれに反論したようでもない日本は、さらにじわりと後ずさりした形に近い。

これは、6月の首脳会談まで吹っ掛けるだけ吹っ掛けて、参院選直前になれば、また安倍首相が「ウラジミール」と親しげなツーショットを国内向けに欲しがることが計算に入っているのかもしれない。

 

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