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「毎週金曜日、福岡市役所で拍手」の本当の目的

気持ちの悪いニュースをひとつ紹介する。

 

医療関係者に感謝の一斉拍手 毎週金曜正午 福岡市役所
福岡市の職員が、新型コロナウイルスへの対応に最前線であたっている医療関係者らに感謝の気持ちを伝えようと、10日正午、職場から一斉に拍手を送りました。・・
取り組み初日の10日は、市役所で正午を知らせるチャイムが鳴ると、各階のバルコニーに高島宗一郎市長をはじめ、職員およそ250人が出て一斉に拍手を送りました。
福岡市はこの取り組みを庁舎内のエレベーターや電子掲示板で周知しているほか、市内の企業などにも広く呼びかけていきたいとしています。
(2020年4月10日NHK)

 

イタリアで医療崩壊が起こったとき、現場で限界を超えて働く関係者に感謝の意を示す行為として、どこからともなく始まったこの行動は、すでに多くの人がご存知だと思う。
少し遅れて深刻な局面を迎えることになったイギリスでも、同じことが起きているという。
医療現場とあっては素人が手伝いに行けるわけでもなく、人との接触を極力避ける生活が続く中で、周辺の人々との連帯感を確認するという心理も働いているに違いない。
いずれにせよ、これらのムーブメントは、どこからともなく自然と沸き上がり広がったものだ。

 

さて、話は本邦に移る。
福岡市が、行政としてこのムーブメントを猿真似するという。

 

バカなのか?

 

と言いたい。
前に述べたように、ヨーロッパで起きたこのムーブメントは、権威や権力のある人が牽引して流行らせたわけではない。
それではなんの意味もないのだ。

 

レミゼラブルの民衆の歌のように、少数の人から自然に広く伝播していって、最後は途方もない大人数が参加するところに感動があるのだ。
市長が指揮棒を振って「みなさん、さん、はい」とやったのでは、それがどうしたという話になる。

 


ご丁寧に横断幕まで用意している。

 

そんな簡単なことにも気づかずに、市役所の職員を駆り出し、市長自ら窓辺に出てパチパチとやる。
さらにそれを、市内の企業などにも広く呼びかけていくというのだから、呆れて言葉が出ない。
経営者が職員を動員し、さん、はい、パチパチとやるのか?
これを、地方のホカホカニュースみたいに報じてるNHKのセンスにも猛省を促したい。

記事にも出てくる、このイカレた市長、高島宗一郎氏は、実は安倍晋三に非常に近い人物だ。
あ、そういうことか、と察しのいい方はすぐに思うであろう。
メディアによっては、安倍氏の元秘書で現下関市長の前田晋太郎氏よりも、さらに近い存在と書かれるほどだ。

 

安倍首相は、緊急事態宣言を発令した4月7日の総理会見で、冒頭からこんなことを言っている。

 

安倍首相「まず冒頭、全国各地の医師、看護師、看護助手、病院スタッフの皆さん、そしてクラスター対策に携わる保健所や専門家、臨床検査技師の皆さんに、日本国民を代表して、心より感謝申し上げます。」

 

なぜここで、日本国民を代表しなければならないのか、非常に違和感を感じた。
ありがたいと思うなら、まずは自分の言葉で素直に述べればいいのだ。

 

安倍首相は、自身の政権の無策ゆえに負担が大きくなっている医療現場に対して、「感謝」することで誤魔化そうとしている。
首相として真っ先に対応しなければならないのは、「感謝」などではない。
行政の長として出来る仕事もせずに、「感謝」を送られても、医療現場ではなんの足しにもならない。

 

しかし、安倍氏に近い福岡市長には、なにか共鳴するものがあるのだろう。
早速、市の運動として、取り入れてみたわけだ。

 

このニュースを見たとき、官製の、ヤラセ的な、押しつけ感動の強要という不快感が、まず沸き上がったものの、彼らの動機に改めて想像を巡らせてみると、実はそれほど奥の深いものではない気がしてきた。
なぜ、安倍晋三界隈で、こういう行為が好まれるのか。

 

それは、カネがかからないからだ。

 

コロナ対策で、安倍政権の態度は一貫している。
国民に使うカネは、一円でも減らしたい、という異様なまでの執着だ。

 

行政が、今、医療現場にしてあげられること。
それは、十分な医療物資の物流管理、医療人材の獲得、金銭的手当て、が主なものであろう。
どれかひとつ行き届いただけでも、現場は助かる。
しかし、安倍首相の思想に近い秘蔵っ子の市長は、「拍手を送る」という奇策に出た。

 

なんせタダなんだから。

 

国の行政がこれをやりだす日は、そう遠くないかもしれない。

 

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