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「鯛は頭から腐る」首相のするべきことは「自身の幕引き」

2020年2月12日の衆・予算委、待ってました辻元議員。

 

本日、あちこちで報じられたのは、この出来事。

 

12日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が立憲民主党の辻元清美幹事長代行の質問が終わった際に、「意味のない質問だよ」とやじを飛ばした。主要野党の猛反発で審議が約10分間ストップしたが、首相は自身の発言について謝罪、撤回しなかった。
(2020年2月12日朝日新聞)

 

よほど腹に据えかねたのだろう。
この後、質疑に立った逢坂議員にこの「ヤジ」を咎められると、

 

首相は続く野党議員の質問に対し、自らのヤジであることを認めた。「私に言わせれば、質問ではなく罵詈雑言の連続。反論の機会は与えられずに(質問を)終えられた。こんなやりとりでは無意味、と申し上げた」と自身の正当性を主張した。
(2020年2月12日朝日新聞)

 

罵詈雑言?
そんなところは一つもなかった。
ただ、安倍首相の急所とも言えるとこを鋭くえぐったのは事実だ。
憎まれ口の一つも浴びせてやらなければ、腹の虫がおさまらなかったのだろう。
ただ、これは居酒屋の話ではない。
国家の最高機関の国会で、内閣総理大臣が発した言葉だというところに、この国の末法感が漂う。

 

辻元議員は、まず正面切って、棚橋委員長に厳しく抗議する。

 

辻元議員「北村大臣の答弁が不安定ということで、答弁のフォローをする官僚は、採決をしてまでも、私たち質問者が呼んでもいないのに呼んで。私は今日、問題になっている和泉補佐官を参考人として呼びたいと言ってますが、これは採決もせずに、闇に葬るように、呼べない。これは、不公平、不公正な委員会運営だと思いますよ。」

 

やはり呼んでいるのか。
こういう風に、議会で言ってもらわなかったら、北村大臣のヘルプが出席している経緯や公私混同出張問題の当事者、和泉補佐官がまるで出てこないわけは、一般国民には分からない。
こうして説明してくれることは、ありがたい。

 

そして、話は憲法改正に入る。
自衛隊を憲法に明記するという憲法改正の理由として、「多数の憲法学者が、自衛隊は違憲と言っている」から、という根拠を挙げている。
安保法制の時には、法案が違憲だと言った憲法学者が9割、合憲だと言った憲法学者はたったの3人だった。
ところがその時、スガ官房長官は「憲法学者の数じゃない。」と言った。
また、元最高裁判所長官も「安保法制は憲法違反」という考えを表明していた。
それに対しては「一私人の言うこと。政府が合憲と言っているのだから関係ない」と耳を貸さなかった。
このスガ官房長官の理屈に一貫性を持たせるなら、仮に民間の私人に「自衛隊は違憲だ」という人がいようがいまいが、この理屈から言えば関係のない話で、「政府が自衛隊は合憲という見解であるので、自衛隊は合憲なのだ」という考えを、貫くべきだ。
なぜ都合のいい時ばかり、それもあるか分からないような民間の声を拾い上げ、「自衛隊を合憲にするために憲法改正」などをやるのか、と迫る。

 

いい切り口だ。
これに対して、スガ官房長官は「改憲は自民党の党是だから」というよく分からない答弁をする。
辻元氏は、国民は全員自民党員ではない、とはねつける。
さらにもう一点。

 

辻元氏「今は自衛隊明記にご熱心なんですが、ついこの間まで96条に夢中になってましたよね。改正の条件緩和です。総理、本会議場の施政方針演説で条文まで上げて、私は96代の首相で96条を変えたいなど、96条、96条と山のように発言している。なぜ今度の自民党の改正4項目に96条は入ってないんですか?」
安倍主要。「あのーワタクシ内閣総理大臣としてここに立っていますので・・」
辻元氏「イヤイヤ、本会議で言ってんだよ!」

 

安倍首相も初期のころは、改憲を言うのに「総裁として」と「総理として」を使い分けていたが、昨今ではそんなことは一向にお構いなしだ。
そして私たちも、内閣総理大臣が「憲法を書き換える!」とぶち上げるという、派手な憲法違反に慣れつつある。
危ない話だ。

 

辻元氏「結局ですね、なんでもいいんですよ。出来そうなトコないかしら?って探してるんじゃないですか?衛藤大臣!ブツブツ仰ってますけど、日本会議言い出したでしょ?衛藤大臣、公明党とかに走り回ったんじゃないですか?伊藤さんという政策委員が言い出した。そうでしょ?」

 

ドサクサでいろいろ言いにくいことを入れてくる辻元氏。

 

辻元氏「なんでもいいんです。ある時は96条、ある時は緊急事態、ある時は9条、また稲田幹事長代行がこう言ってます。14条を改正してクオーター制を入れるべき、と。唐突に数日前に。こんなこと言わなくても、自民党が男女同数の候補者を出す、そういう努力をすればいい。この間の参院選、自民党の女性候補者は14.9%、立憲は45%ですから。もうやってんですよ。自分たちが足元の努力もせずに、憲法改正の道具を探して使っている笑止千万です。」

 

自民党総裁3期目も期限が見えてきて、もはや改憲くらいしか言うことがない、今の安倍首相の唯一の虚ろな旗を、こうも派手にビリビリにされたのだ。
穏やかならぬ内心だったと想像するが、安倍首相よ、これが現実だ。

 

さらに話題は、和泉補佐官の女性官僚同伴出張の問題に移る。
事柄のあらましは、下の記事で。

 

何も答弁できず、北村大臣の失態☆「和泉補佐官💓大坪次官」の同伴出張疑惑
2020年2月7日、衆院予算委員会は途中で散会となった。 なぜかと言うと、内閣地方創生担当大臣の北村誠吾氏の答弁ひどく、議論が続行不可能と判断されたからだ。 北村大臣については、すでに1月31日の山添議員の質疑の時に、やらか...

 

この官僚に、相当の処分を下せと迫るが、もちろん肯定的な答弁は得られない。
これについて、辻元氏はこう吠えた。

 

辻元氏「この人、加計学園の疑惑の渦中にあった人ですよね?なんか弱みでもあるんですか?加計学園の真実を知っているから、厳しく処分できないんじゃないですか?」
安倍首相「そういう関係ないイメージ操作はやめてください。」

 

これは痛い指摘だよ。
誰もここまで言わないけど、多くの人がそうだろうと思ってるよ。
この辺から、安倍首相のアタマの血は沸騰し始めていると想像する。

 

辻元氏「『鯛は頭から腐る』という言葉をご存知ですか?総理が疑惑まみれと言われているから、それに引きずられるように、官僚の示しがつかない。子供の教育にも悪いです。長期政権だから、じゃないですよ。最初からやってるんですから。こうなると、原因は『鯛のアタマ』。私の手で憲法改正を成し遂げたい、と・・総理の手で成し遂げるのは『総理自身の幕引き』だと思います。ということを申し上げて終わります。」

 

「意味のない質問だよ!」

 

こうしてこの安倍首相のくやしまぎれのヤジは、退席する辻元議員の背中に向けて発せられたのである。
いらだった気持ちは分かるが。
残念ながら、まるっとその通りなのだよ、安倍首相。

 

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