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憲法改正以外には興味のない首相

安倍首相が、櫻井よしこ氏が主宰するインターネット番組に生出演して、選挙前にいろいろ思うところを語ったという。
まぁ、そんな一部の人間しか見ないネトウヨ番組で、安倍氏が、「一番大きな仕事は憲法改正」などと言ったことを、いちいち報道するのは、産経くらいのものだろうと思っていたが、NHKまでが、朝のニュースで伝えていたと知って驚いている。

 

それにしても、選挙直前になって、これまで順調だと世論が思い込まされていた経済問題、外交問題、などが徐々にほつれを見せ始め、大衆の年金への不安もピークに達しているというのに、そうしたことには何の回答も示さずに、「選挙の争点は憲法改正」なのだそうだ。
バカバカしいと思いつつも、一応産経の記事に目を通してみる。

 

夏の参院選について、首相は「ただただ立ち止まって議論しない政党か、正々堂々と議論する政党かを選ぶ選挙だ。そのことを強く訴えていきたい」とも語り、選挙戦で改憲議論を阻む野党の姿勢を争点化する考えを明言した。
・・・「予算委員会のようにテレビ中継があり、政府を追及する華々しい場面はないが、議員が憲法について見識をぶつけ合い、真剣にどういう国を造っていくか議論しないのは残念だ」とも述べ、衆参の憲法審査会で改憲議論に応じない野党第一党の立憲民主党の対応を批判した。
改憲には最終的に国民投票で過半数の賛成を得る必要があるが、首相は「その国民の権利すら奪っていると思う」とも語った。(2019年6月22日産経)

予算委員会から逃げ回っている安倍首相が、「議論しない政党か、正々堂々と議論する政党かを選ぶ選挙」って、いやもう、すさまじいという他ない。
「オマエが言うか」という言葉でも、ちょっと思いの丈を表現しきれない。
なんていうか、甘利さんに快適睡眠術をレクチャーされるような、そんな気分だ。

 

「国民の権利を奪う」とも、よく言ったもんだ。
法で定められた野党の要求を無視して、党内の圧力でと予算委員会を拒否するのは、国民の権利を奪っているとは考えないのか?
この人にとって「国民」とは誰のことなのだろう。
憲法改正したい人たちか?

 

このしょうもない記事を読んで、やはり思うことは、安倍晋三という人は憲法改正以外にやりたいことがないんだな、ということだ。
日本が抱える経済・産業の問題とか福祉・少子高齢化の問題、知恵を出して乗り切るべき課題はたくさんあるけれど、この人は、たぶん興味がないのだ。
ただ、憲法改正するには、3分の2の議席が必要だから、票固めには熱心だ。
その票を集めるために、国の権益や富を、まるで身銭を切るかのような顔をして、身内に大盤振る舞いする。
国家戦略特区やモリカケ問題などの根っこにあるのは、そういうことなのではないか。

 

そうやって安倍氏が集めた票の恩恵で、どうにか議員でいられるような人が自民党内に増えているのかもしれない。
昨今の、あまりに質の低い大臣たちを見ていると、そんな想像とも符合する。
そういう議員に、党内で「物を申す」なんてことが、できるはずがない。

 

そういえば、先ごろ見た国民民主党の玉木氏と三橋貴明氏の対談で、玉木氏が興味深い話をしていた。

消費増税が、増大した低所得者層を痛めつけることと、それに対する景気対策が、全くそういう人たちに行き着く制度になってないことに触れた折に、
三橋氏「なんでそんなことになっちゃうんですか?安倍政権の思想的な話ですか?なにかイデオロギー的な?」
玉木氏「誰が考えてるんですかねえ・・?」
三橋氏「笑 誰がって、国会議員に違いないでしょ」
玉木氏「それが、おかしいのがね、自民党の先生を捕まえて『こういうのってやっぱり良くないんじゃないですか?』って言うと、『いや、おれも良くないと思うんだよね』って」
三橋氏「ええええ」
玉木氏「それで、みんなに言ったら、みんな良くない、良くないって言うのに、なぜか決まっていっちゃう。これ、怖いなーと思うんですよ。」
三橋氏「怖いですよ」
玉木氏「『安倍さんに言ってよ』って言うんですけど、・・・なんか言うと、大臣になれなかったりするんですかねえ。」

それもあるだろうが、大臣ポストばかりでなく、政党助成金の分配とか、比例リストの順位、公認の是非など、議員生命に致命的なものを握られているのだろう。
「なんでもいいから議員でいたい人」には、厳しい注文かもしれない。

 

おかしいと思いながら、賛成に回るというのは、時として国を危険な方向に導く。
敗戦後、物が言えるようになったら、「実は自分も、この戦争はおかしいと思っていた」などと、後出しジャンケン的なことを言う人が国家の中枢にたくさんいた、という話を聞いたことがある。
今、世の中には「なにかおかしい」と感じている人は、きっとたくさんいるはずだ。
今のうちから「おかしい」とはっきり言わないと、あとになって大きな後悔をすることになるかもしれない。

 

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