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予算委員会をイヤだとむずかる安倍首相の「権力天国」

安倍首相の在職日数が2720日となり、初代総理大臣の伊藤博文に並んで歴代3位となったのだそうだ。
本当にどうでもいいニュースだ。
各マスコミは官邸までお祝いに駆け付け、コメントを取り記事にするという、いとも情けない幇間取材に勤しんでいる。
連日のように安倍首相は、吉本のお笑い芸人や地方のキャンペーン娘などの表敬を受け、プロモーションに余念がない。選挙が近いからね。

 

そんな状況の中、実は、3月から衆院予算委員会が長期にわたって開かれていないことが問題になっている。
野党の再三の要求にもかかわらず、与党がこれを拒否しているのだ。

与党は、なぜそんなに予算委員会を嫌がるのか?

一口に「国会」と言っても、いろんな委員会がある。
それぞれの省庁に特化した、「厚生労働委員会」「文部科学委員会」など、小さな委員会は通常通り開かれている。
では、予算委員会というのは、なにが特別なのだろうか。

WIKIで、予算委員会を調べてみる

予算の内容に限らず、広くその執行主体である内閣の政策方針や行政各部の対応さらには閣僚の資質の問題などが問われることになり、結果として予算委員会では国政のあらゆる重要事項についての審議が行われる。・・・
国会審議の花形として広く認識されており、他の委員会に比べテレビ中継が行われる機会が多い

大相撲で言えば、序の口、序二段と取り組みが進んだところで、「幕内の取り組みなし」みたいな事態に等しい。相撲ファンなら怒り狂うところだ。

予算委員会では与野党の重鎮が出そろい、「国政のあらゆる重要事項について」ケンケンガクガクとやりあう。
本来なら、国会のメーンイベントである。

 

なぜ、与党はそんな予算委員会を拒むのか。
それは、テレビ・ラジオ中継にさらされた上で、質問を受けると困るような事案をたくさん抱えているからだ。

議員でもない私が、ざっと考えても、

・これまでの方針を翻し、無条件で会談しようと言い出した、対北朝鮮外交に関する政府の意思
・2島返還が、「北方領土と呼ぶな」まで後退した対ロシア外交の今後の対策
消費増税決行と景気の悪化に関して
・8月にビッグな結果が出るという、対米貿易交渉の行方
イラン訪問の意図

これだけ多くの事柄に関して、安倍政権のラスボスたちから、何らかの見解を聞きたいと、個人的に思っている。
言うなれば、野党議員はそんな私の欲求を代行してくれているのだ。

 

そして、与党の審議拒否を報じるマスコミの論調は、どこかズレている。
アマアマの見出しの表現をいくつか紹介しよう。
「与党ペースに焦り」毎日
「予算委は休眠中」テレ朝
「予算委、休業中 」朝日
読売に至っては、報じてもいない。

マスコミの中の人たちに聞いてみたい。
予算委員会が開かれないと、困るのは誰ですか?」と。
ひょっとしたら「野党議員」と回答する人が、本当に現れそうでドキドキする。

 

国民に見せたくない文書は片っ端から廃棄されている状況で、国会を開かなければ、野党からのツッコミも受けない。
こんな状況が続いたら、最も困るのは誰か?
野党議員ではない。
政治とあまり関係のないようなつもりでいる、一般の国民たちだ。

 

先日、「政治評論家」という肩書の人が、ラジオでこんなことを語っていた。

「選挙が近いですからね。与党は予算委員会を開いて、野党から困った質問を投げつけられ、それをNHKの中継で全国に流されるのは困るんでしょうねぇ。野党としても、選挙前にいいところを見せることが出来ないわけですし。」

 

この人には、今後は「政局評論家」と肩書を変えていただきたい。
いや、日本では、「政治評論家」と自認している人たちのほとんどが、こんな体たらくだ。

 

官邸や省庁が、さまざまな文書を「ガイドライン一年未満」を盾に、バンバン廃棄している中で、さらに、野党からなんのツッコミも受けないで済むのなら、これはまさに「やりたい放題の権力天国」だ。

 

予算委員会も開かずに、よしもと芸人と戯れている総理大臣を見て、多くの国民はどう感じているのだろうか。
まさかこれで本当に好感度がアップしてしまったりするのだろうか。

不思議な国民性としか言いようがない。

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