スポンサーリンク

中身のない施政演説、国民が忘れるのを待つ与党と、国民のことを忘れている野党

2020年1月20日、通常国会の召集があり、冒頭で安倍首相による施政演説が行われた。
スピーチライターが書いたものを、安倍首相が情緒的に朗読するだけのつまらない演説だが、どのくらいくだらないか確認するという意味で、この罰ゲームにも似た苦行に挑んでみた。

 

想像通りの内容だったが、その内容にひとつ、ちょっとしたハプニングがあった。
問題となったのは以下の部分だ。

 

原田真宜(まさのり)さんは、パクチー栽培を行うため、東京から移住してきました。農地を借りる交渉を行ったのは、市役所です。地方創生交付金を活用し、起業資金の支援を受けました。農業のやり方は地元の農家、販路開拓は地元の企業が手助けしてくれたそうです。
「地域みんなで、手伝ってくれました」
地域ぐるみで若者のチャレンジを後押しする環境が、原田さんの移住の決め手となりました。
「地方にこそ、チャンスがある」。そう考え、地方に飛び込む若者を、力強く応援してまいります。
(2020年1月20日首相官邸サイトより)

 

そして、これのどこが問題かというと・・・。

 

安倍晋三首相の20日の施政方針演説で地方創生の好事例として若者の起業支援による移住対策を紹介する中で取り上げられた島根県江津市の男性は、昨年末に県外へ転居していた。市は、国から事前にデータ照会を受けたが、男性のことが演説に盛り込まれているとは知らなかったという。
(2020年1月20日中國新聞)

 

この事例を内容に盛り込むにあたって、首相のスピーチライターは、少なくとも本人に了承を取るということはしなかったようだ。
本人の了承さえ取っておけば、このようなマヌケな結果は招かなかったろうに。
いい加減な事例を織り込むことで、いくら補助金を受けて地方で起業しようにも、現実はそうは甘くないということを再確認する事例となってしまった。

 

演説では、いつもの通り「成長戦略」「地方創生」「一億層活躍」と言った言葉が空しく空回りする。
話だけ聞いていると、いろいろな政策がうまくいっているかのような勇ましさにはあふれているのだが、実態がどうかということは、今そこで生活をしている人々が一番よく分かっているのではないだろうか。

 

高齢者のうち、八割の方が、六十五歳を超えても働きたいと願っておられます。」というくだりもあった。
高齢者が、「働きたいと願っている」のだそうだ。
政府はその願いをかなえてくれるのだという。
なんてふざけた言い草だろう。

 

失われた年金を「最後のおひとりまで」と、かつて言った口が、これを言ってるのだ。
「高齢者の方、申し訳ありませんが、年金原資が逼迫しております。動ける方はもう少し頑張って現役を続けてください。」と頭を下げるくらいが道理なのではないだろうか。

 

頭を下げると言えば、度重なる不祥事による大臣辞職や逮捕者が出たこと、カジノ法やもちろん桜を見る会に触れることもなく、しれっとテーマ改憲で演説は締めくくられた。

 

この政党にとって「説明責任」とはいったいなんなのか。
トップの総理大臣が「桜」の話題から逃げ回り、まだかまだかと国民がこの話題に飽きるのを待っている。
菅原氏や河井夫妻もそれに倣っているのだろう。
今の日本で、「説明責任」とは、アレコレ理由をつけてそれについては語らず、国民が忘れて辛抱強く待つことを意味する。

 

悲しいことに、それで大成功した自民党幹部もいる。
甘利氏や下村氏だ。
まるで自分のことは、シュレッダーで跡形もなく刻まれてしまったかのように素知らぬ顔をして、こともあろうかメディアなどで、菅原氏や河井夫妻に対し「説明責任を果たすことが肝要です」などと言ってのける。

 

政権界隈がこんなメチャクチャなことになっているというのに、この日、立憲民主党と国民民主党の合流は物別れに終わった。
選挙が近くないことが、はっきりしたからだろう。
安倍政権の悪政下で国民が苦しんでいるときに、やれ党名をどうするとか、合流後のポジションがどうとか揉めているのだ。
この人たちは何をしているのだろう。

 

「桜を見る会」では、野党議員の一人一人は、とてもよく働いてくれている。
これを見ていると、心から応援したいと思う。

 

が、政党になるとなぜこうなってしまうのか。
このやりたい放題の安倍政権を批判し続けるのが、生涯の仕事だと思っているのだろうか。
いい加減にしないと、本当に国民が疲弊してしまう。
党利党略もある程度は仕方ないが、必要としている無党派層の国民がいることも、少しは思い出してほしい。

 

にほんブログ村 政治ブログへ