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【森友問題】野党合同ヒアリング #1

森友事件が再燃した。
理由は言うまでもないが、財務省近畿財務局の自殺した職員の「暴露」とも言える手記が公表されたことによる。
3月18日、野党4党で再追求のための合同チームが結成され、19日、第一回目のヒアリングが行われた。

 

ヒアリングは国会と違って話が明快だ。
予定調和がないことと、議論を妨害するヘンな委員長がいないことで、話の流れが国会よりもスムーズだ。
そして、今回の「森友ヒアリング」を見ていると、以前この問題を追及していた2017年頃に比べて、まだ野党議員たちには、官僚を「常識を持つ人間」扱いをしていた、甘さがあったと改めて感じる。
30回以上に及んだ「桜を見る会」ヒアリングを通して、野党議員、そしてそれを視聴してきた私たちは、大きく変わったと思う。
今の官僚というのは、政権を守るためなら「平気でウソをつく」人間であることをイヤというほど酒田課長に教えられてきたからだ。
情けない話だが、「桜を見る会」ヒアリングをイライラしながら毎回視聴し、まとめてきたことは、ひょっとしたら、この森友問題に再度取り組むためのトレーニングとして与えられた試練だったのかと思ったりもする。
また、以前この改ざんを追求していたころは、民進党の時代だったので、今のように野党が横に協力することもなかったし、ネットでオープンにされることもまだなかった。
今回の野党議員たちに、以前、森友問題に向き合っていたころよりも強さを感じるのは、気のせいではないと思う。

 

まだこの「手記」を読んでいないという方は、NHKがいいまとめをしているのでリンクを貼っておく。(リンク

 

本題に入ろう。
改ざん発覚後に財務省が「自ら」調査報告をまとめ、それをもって一連の事件は強引に幕引きされた。
それに関するなんの資料も持たない国民側は、その財務省の「お手盛り報告書」を鵜呑みせざるを得なかった。
しかし、今回この手記が公開され、その内容が、財務省の「お手盛り報告書」と食い違う部分が何点か出てきた。
これに関して、野党はヒアリングで「再調査」を求めるのだが、安倍総理はもとより麻生大臣、そして財務省は「すでに報告した通り」と、この態度を崩していない。
今回のヒアリングでも、そういうやり取りが前半、繰り返された。

 

「決裁文書の修正(差し替え)元は、すべて佐川理財局長の指示です。局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。」(手記より)

 

この部分にあるように、佐川理財局長理財局長(当時)からは、おそらくメールで指示があったと思われる。
そのメールを開示するように原口議員は要求するが、官僚がそんな話を簡単に飲むわけがない。
が、「桜」で見せた執念で、開示に至るまで食らいつき続けてほしい。

 

柚木議員からは、今後大きなテーマとなりそうなポイントが示された。

 

2月17日 首相答弁「私と妻が関わっていたなら、総理も議員も辞める。」
2月22日 菅官房長官、佐川氏、太田充氏、中村稔氏を2度にわたって官邸に呼ぶ
2月24日 スガ氏、決裁文書を見れば昭恵夫人が関わっていないのが明らかだ、と断言
2月26日 故赤木氏が、改ざんを手伝ってくれと、登庁を指示される

 

こういう時系列があるそうなのだが、22日、スガ氏が財務省の幹部3名を呼んでなにを話したのか、国会で説明しろと要求した。
この改ざん問題、誰のためでもない「安倍首相」を守るために多くの人が動いていたのだが、その司令塔となったのは、どうやらスガ官房長官であるようだ。

 

もう一つ、大きなテーマになりそうなポイント。
相手は会計検査院。

 

「応接記録を始め法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さず、検査院には『文書として保存していない』と説明するよう事前に本省から指示があった」(手記より)

 

これだけ見ると、検査院も騙された被害者と言えなくはないのだが、今日のヒアリングでは、その検査院の態度もおかしい。
再調査に対して腰が重いのだ。
「会計検査院に資料は出すな」という指示が当時出ていたということが、この手記によって明らかになっているにもかかわらず、「あれは財務省のうっかりだった」という当時の見解に、なぜかしがみつこうとするのだ。
この機関が、内閣から独立しているというのは、もはや国民の幻想にすぎないのだろうか。
ガッカリする。

 

途中、大門みきし議員から、問題の本質を突いたいい発言が出たので書き留めておく。
この手記が公開されても、「新事実は出てきていないので、再調査はしない」という頑なな財務省官僚に言った言葉である。

 

大門議員「大前提としてね、皆さんの報告書というのは、いろんな方にヒアリングをしてその上で作ったものですよね。そのヒアリングに、改ざんの一番の当事者であった赤木さんのヒアリングがないわけですよね。赤木さんの現場の証言が、明らかになったわけですよ。皆さんの報告書からは、一番大事な当事者の証言が抜けているから、この報告書は改めて再検証すべきではないかということを麻生大臣に聞いたところ、しません、ではなくて、検討します、という回答にまでなっている。みなさんの報告書は不完全だという認識をもって、答えてもらいたい。」

 

手記が公開された翌日なので、官僚側もまだ未確認の事柄が多いのと、野党側もどの点を重点的に掘り下げるか定まっていないこともあって、中身は少しバラバラ感があったが、今後、国会質疑と並行して、さまざまな視点から資料を開示させるよう要求を出すことで、崩れてくる部分が出てきそうだ。

 

気がかりな点としては、現時点で野党側は財務省に「再調査」を求める姿勢でいるが、これはどうかと思う。
現時点での戦略なのかもしれないが、二度目の「お手盛り報告書」にそんなに意味のあるものが出てくるとは到底期待ができない。
ここは思い切って「第三者」の調査を入れるのが筋だと思う。
しかし、それには大きな世論を作っていく必要があるだろう。
赤木氏への同情で終わらせるのではなく、政府に対する厳しい姿勢を多くの国民が示し、改ざん問題の本質を明らかにすることが、故人への最大の供養になるのではないだろうか。

 

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