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「桜を見る会」首相と官房長官に虚偽説明の疑い#22前編

2020年1月14日、「桜を見る会」野党追及本部ヒアリング22回目である。

 

今回メインの問題は、やはり2013年~2017年までの5年間分の招待者名簿が、「行政文書管理ファイル」に記載されていなかったことである。
これは「名簿の廃棄記録がない」というガイドライン違反に、「行政文書管理ファイルに記載がない」という法令違反が加わり、この問題がさらに深刻になったことを意味する。

 

ここまでに関しては前回のヒアリングまとめに詳しくある。

 

「桜を見る会」2013年~2017年の名簿が行政文書ファイルに存在しない!
2020年1月9日、第21回目の「桜を見る会」野党追及ヒアリングは、出だしからこれ。 黒岩議員「なかなかこのヒアリングに出てこない『人事課長』につきまして、おととい(7日)酒田総務課長を通じてお願いをして、昨日11時に私の部屋に来...

 

付け加えると、前回のヒアリングでは、「行政文書管理ファイル」に名簿の存在が記載されているか「分からない」と内閣府は答えていたが、その後、1月10日(前回ヒアリングの翌日)になって、スガ官房長官が「記載なし」と定例会見で認めたのだ。

 

これについて、野党が説明を求めた。

 

酒田総務課長「(要約)中止になった2011年と2012年の名簿も「文書管理ファイル」には、途中まで名簿を作る工程があったのに記載がなかった、これは当時の担当者の認識が甘かった。2013年以降は、その「不記載」を漫然と踏襲してしまった。」
山井議員「11年12年は、桜を見る会は行われなかったんですよ。名簿は最終的になかったんですよ。これを管理簿に載せなかったのは違法じゃないでしょ?」
酒田総務課長「(要約)途中まで作りかけた名簿も公文書として「管理ファイル」に載せるべきだった。」

 

中止になった年は、たとえ途中まで名簿作成の作業があったにしても、開催していないわけだから名簿は完成してるはずがない。
それを、中止の年も管理ファイルに保存すべきだったと、酒田課長は主張する。
要するにコイツらは、「中止になった民主党政権下での名簿管理を踏襲したにすぎない」と暗に言ってるわけだ。
そして民主党政権時代に、中止になった2年間の招待したわけでもない「途中までのリスト」が、管理ファイルになかったことをも、文書管理違反に問うことで、自分たちの仕出かした罪を出来るだけ軽く見せようとしている。
これは官僚の答弁というより、官邸で政治家が書いたシナリオに違いない。

 

宮本議員「招待者名簿は2010年までは完成して総理決裁も取っていたわけですよね。11年、12年については名簿は出来上がってもいない。2013年(安倍政権になって)からは、決裁も取っていなければ文書管理ファイルにも載せなかった。招待者名簿の取り扱いについて、11年、12年を引き継いだってのは、全く成り立たない説明ですよ。そんなオカシナ説明を官房長官にしちゃだめですよ。」
酒田総務課長「(要約)中止になった年も、招待者名簿を管理ファイルに載せるべきだった。それをしなかった担当者は文書管理の認識が薄かった。」

 

ここで少し気になるのは、「管理ファイル不記載」が、あくまでも「担当者の文書に対する認識の薄さ」という主張を、酒田課長が、ここまでにすでに何度もくりかえして言っているところだ。
この法令違反行為を、全部「現場」に押し付ける気満々なのである。
そもそもこの名簿は、安倍首相が「なくなっちゃえばいいのに!」と願ってやまない書類だ。
それを「現場の認識の薄さ」のせいにする、この人たちには良心のカケラもないのか。

 

山井議員「12月9日に安倍総理は記者会見で『招待者名簿については内閣府があらかじめ定められた手続きに則って適正に廃棄しているところであります』と、言ってるわけですよ。とういうことは、安倍総理は記者会見で虚偽の説明をされたということですか?」
酒田総務課長「(要約)2019年の名簿については、適切だったということだったのではないか。」

 

そんなはずないのだ。
この日の記者会見の全文掲載を見に行くと、「桜を見る会に関しては昭和27年以来、内閣の公的行事として・・」とはじまり、その流れで「また招待者名簿については、・・」と繋がっている。
手続き通りに廃棄されていると説明したのは2019年分についてだけ、という説明には無理がある。

 

山井議員「2019年の招待者名簿は適正に廃棄しているけれど、それ以前は違法行為をして、管理簿にも載せていなかったということを知ってて、その違法行為には触れずに、2019年分についてだけ仰ったんですか?それだって国民にウソをついたことになりますよ。」
酒田総務課長「(要約)その辺の総理の認識は分からないが、おそらく総理は2019年についてだけ言ったのだろうと思う。」
山井議員「スガ官房長官だって、これまで何度も『適正だ』と仰っていた。国民に虚偽の説明をしていたということですか?スガ官房長官はこの一か月、毎回『適正』と仰ってましたよ。」
酒田総務課長「(要約)直近では、きちんと対応してきた。」←は?
山井議員「おかしいんですよ。こんなことは現場の職員とファイルを見れば、廃棄簿にもない、管理簿にもないなんてのは一日で分かる話ですよ。それをなぜ一か月間の間、隠すだけでなく『適正に廃棄した』とウソの説明を続けてきたんですか?分かってたんでしょ?違法行為だと気づいたのはいつなんですか?」
酒田総務課長「(要約)管理簿に記載がないと気づいたのは、つい最近のことなので、説明できなかった。」
宮本議員「ウソでしょ。私は質問主意書で12月の4日付で出しましたよ。2013年から2017年分の廃棄はいつですか、と。それについて『廃棄の日は分からない』と17日に返ってきました。すぐに私はおかしいと思い、廃棄記録がないとはどういうことかと人事課の方々に聞きましたよ。公文書管理課にもお話をしましたよ。その時点で分かってたはずじゃないですか?違法行為があったと。」
酒田総務課長「(要約)それについては担当者に確認をして、経緯を調査してからでないと違法行為があったとは断定できない。」

 

文書の廃棄記録がなければ、大元の管理簿の方に当たるのが普通だろう。
管理簿に記載すらないことは、質問主意書を受け取って調べた時点で、すぐに分ったはずだ。
しかし、その事実を隠しながら、首相や官房長官は、この間ずっと「適正だった」と説明しているのだ。

 

山井議員は、総理はもう一度記者会見をやり直すべきだと主張する。
2013年から2017年までの法令違反を知りながら、「適正な廃棄だった」と首相が国民に向かって説明したことは、国民を騙したと言っても過言でない。
後になってから、「それは2019年分に限った話でした」などと、そんな言い訳は官僚としては通じても、「総理大臣」が国民に向けた説明としては、とてもじゃないが通用しない。

 

国会開幕を目前に、「虚偽答弁」という新たなツッコミどころが出てきた。

 

実は、この一連の「虚偽答弁の話題」のあいだ、もう一つ別の問題が挟まれ、テーマが行ったり来たりしていたので、分かりやすくするため、「虚偽答弁」に関するやり取りだけチョイスしてまとめた。

 

これと並行して質された問題は、「内閣府の聞き取り調査メモ」に関する話である。
こちらにも興味深いやりとりがあるのだが、かなり長いので、次回に回すことにする。

 

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