スポンサーリンク

安倍政権は終了するのか

自民党内で激しい政局の動きがあるようだ。
政治問題を追及するのには、いまいち精細さに欠ける日本のマスコミだが、政局には敏感だ。
まぁ、普段から現場に出入りしていれば、一般人より敏感なのは当然のことかもしれないが。

 

首相の総裁任期は2021年9月まで。党則は「総裁が任期中に欠けた場合」で「特に緊急を要するとき」に、党大会に代わる両院議員総会で後任を選ぶことができると規定している。党内には、首相が任期途中に退陣し、総裁選を国会議員による投票で選ぶことで、首相に近い岸田文雄政調会長への事実上の「禅譲」を図るのではないかという見方が一部にある。
石破氏は「途中で辞め、緊急事態だから党員投票をスキップしようというのはおかしくないか。党員は総裁を選ぶ権利がある。その権利を奪って国会議員だけで決めることを正当付ける理由がどこにあるのか」と主張。
(2019年11月17朝日新聞)

 

前の自民党総裁選では、国会議員票はあまり振るわなかった石破氏だが、地方党員の支持は安倍首相を追い込むほどだった。
安倍首相が首相を辞任することになった場合」、というこれまでは口に出せないシチュエーションを前提としただけでも、この話は注目に値する。
国会議員だけで投票したのでは結果がどうなるか分からないが、一般党員を含めた総裁選を行えば、岸田氏なんぞ吹き飛ぶだろう。
これをわざわざテレビでコメントする石破氏からは、すでに掴みに行ってる感が伝わってくる。

 

《悲願の憲法改正を次に渡すのか 「疲れた」首相が秘める終わり方の真意》
田原総一朗氏が安倍晋三首相に、こう忠告した。「総裁4選なんてしたら自民党はガタガタになる。駄目ですよ」。首相は「分かってます。4選はしません」と明言した。
(2019年11月17毎日新聞)

 

こちらは毎日新聞。
これを首相が語ったのは、10月30日の話。
そういう話があったということは、別の政治ジャーナリストが引用しているのをどこかですでに聞いたことがあるが、半月以上も経った今、このエピソードを今頃引っ張り出してくる意味はなんなのか。
そして「疲れた」という見出しもインパクトがある。

 

菅氏の“辣腕(らつわん)”ぶりが、「今回の人事は、菅氏の独り勝ち」(岸田派幹部)との指摘にもつながり、影響力もさらに拡大したかに見えた。
しかし、「政界は嫉妬の海」とされるだけに、党内で菅氏の実力者ぶりへの水面下での反発が広がり始めた途端の側近2閣僚のスキャンダル辞任で、「一番責任があるのは菅氏」(自民若手)との“菅批判”が一気に表面化した。
(2019年11月17時事通信)

 

菅氏は所詮、安倍氏あっての存在なのだろう。
上の記事はすべて、現政権の「落日」を強く予感させる。
週が明けて20日には、歴代政権の中で安倍政権が、桂太郎内閣を抜いて最長になる記念すべき日なのだそうだ。
この日の前後になにか起きそうな気がしなくもない。

 

そんなことを思いつつ、日曜日を過ごしていると、その日の地方選挙の結果が流れて来た。
11月17日、長門市長選だ。
長門市と言えば、安倍首相の選挙区、山口4区下関・長門市の一つである。
当然ながら、この地域では、安倍晋三の影響が絶大であることが容易に想像できる。
そんな場所で行われた結果が実に意外なことになっていた。

 

 

総理大臣の地元で、現職の市長が、自民・公明党本部から推薦をもらって出馬するというのは、これ、本来は絶対に負けない選挙と言えるのではないだろうか?
現職の大西市長は、安倍夫妻がお盆に山口県入りしたときには、自らアテンドをするほどの親密な関係にある。
この選挙の事務所開きには、安倍首相から祝文が贈られ、事務所の神棚の真横にはデカデカと「祈必勝・安倍晋三」の為書きが飾られている。(個人のブログで確認したものなので、写真やリンクは引用しない)

 

こういう地の利で対抗馬が当選する、というのは一体なにがあったのか。
当選した新人の江原氏は、無所属だが自民党の流れをくむ。
いわゆる地方の保守分裂選挙だ。

 

(江原氏は)市役所新庁舎などの「ハコモノ行政」を進めた大西市政を批判。
市内で9月にあったラグビー・ワールドカップのカナダ代表のキャンプの経済効果に疑問を示し、来年の東京五輪・パラリンピックのキャンプ地誘致は「ラグビーキャンプの費用対効果を検証した上で見直す」と主張して支持を広げた
(2019年11月17日毎日新聞)

 

地方が中央で決めた政策に乗っかり、なんとかそこから「おこぼれ」に授かろうというやり方は、安倍政権の「地方創生」政策そのもので、それにより5年以上の間、待ちぼうけで結局なにも得られなかった地方は実に多い。
長門市もその一つだったのかもしれない。
そうした政治にピリオドを打とう、と地方が自ら考える主体的な政治を長門市民が選んだことが、この選挙の結果をもたらしたのか。
それとも、大臣辞任や英語入試、果ては桜を見る会、と不祥事が続いた安倍首相の求心力の低下がこの結果をもたらしたのか。
またはその両方か。

 

興味深いことに、1週間後(11月24日)に投開票になる、高知県知事選にも同じような構図が出来ている。
中央のおこぼれを少しでも多く、というカジノ派、自公推薦の浜田省司氏と、
地方による主体的な政治を主張する、野党共闘の松本顕治氏が対決している。
長門市の結果を踏まえると、こちらの選挙も、自民党にとってはなかなか厳しい戦いになりそうだ。

 

週が明ければ、長門市長選の結果を受けて、政局が動き始めている自民党では、各派閥の動きも活発になってくるだろう。
また、「桜を見る会」は、金曜日に安倍首相が「ぶらさがり」で一方的に説明をし、週末を挟んでなんとか問題をクローズしようという態度がありありと見えたが、すべてが一方的な「口だけの」説明で、文書等で示されてクリアになった部分は、実はまだ一つもない。

 

今回ばかりは安倍政権も逃げられそうにない気がするのだが・・・。
果たしてどうなるのか。

 

にほんブログ村 政治ブログへ