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【国家戦略特区】公文書上から消える、不都合な事実ー森ゆうこ議員質疑

森議員「副大臣、国家戦略特区の議事録の隠ぺい・改ざんはないということでよろしいですか?」

 

11月7日の参議院農林水産委員会、森ゆう子議員は、質疑に入る前に唐突にこんな質問をした。

 

大塚拓内閣府副大臣「えーと、ちょっと・・どの特定の議事録のことを仰ってるのか・・よく分からないところがありますけれど・・」

 

「どの議事録か・・」って、ものによってあったりなかったりするものなのか??
イヤイヤ、ちょっと待ってよ、市民としてはズッコケる。
「は?改ざん?そんなのあるわけがないじゃないですか!」
と、即答するのが通常ではないだろうか。

 

官僚が出てきて、事務手続き的な事情を説明申し上げます、云々カンヌンと。
これは衝撃だ。
国会内で用いられる公的文書について、閣僚や官僚が「改ざんされていない」と断言できないところにまで、この国の最高機関は堕ちてしまっているのだ。

 

で、森議員の言う文書とは、いったいどんなものなのか?

 

平成28年11月24日、国家戦略特区ワーキンググループが関係省庁等からのヒアリングをするということで行われた会合の議事録。
森議員の詳しい説明はなかったが、この会合には国家戦略特区の複数の提案があり、それを各関係省庁とすり合わせるためのものだったようだ。

 

森議員「提案者は外国人雇用協議会の皆様、八田座長だけが提案者からヒアリングを行っていると、冒頭に書かれている。・・ということは、原英史さんは出席していませんね?

 

原英史氏、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理という立場で、外国人美容師解禁をめぐり、美容学校から200万円のコンサル料をもらうなどの癒着があったのでは?と毎日新聞に取りざたされた人物だ。

 

国家戦略特区 政府ワーキンググループ委員関連会社 提案者から指導料200万円、会食も
毎日新聞記事へのリンク

 

森議員、唐突に何を言い出すのだろう、と理解ができなかった。
ところが、それに対する官僚の回答を聞くと、右にひねった首をさらに左にひねらねばならないものだった。

 

官僚「ご指摘のあったヒアリングには、原英史氏は正式な出席者としては出席しておりません。」

 

正式?

 

森議員「続きであります。確かに原さんの発言はないんですよ。しかし、最後のほうに八田座長が『今、原さんがおっしゃったように、日本人の対応もできるという最低限のところの試験をしたいということですね。ではだいたい骨子は分かりました。』と。
原さん、出席してるじゃないですか。
どんな発言があったんですか?
なぜ、消したんですか?
なぜ、いないことにしてあるんですか?」

 

どうなっているのだ。
いないはずの原氏が「おっしゃったように」とは、何のことなのだ?

 

官僚の申し開きによれば、原氏はこの別のテーマのヒアリングに出席するために来場していたが、この当該テーマに関しては正式な出席者ではない。
オブザーバーとして部屋にはいたが、正式な出席者ではないので、正式な発言としては記録に残らない、とのこと。

 

とはいえ、正式な出席者である八田氏が、正式な発言として「いま、原さんが仰ったように」と引用しているではないか。
いったい、なにを「おっしゃった」んだよ?
国家戦略特区の正式な委員が、立場を明確にすることもなく、非公式でその場にいたとは一体どういうことなのか。

 

なるほど、議事録を改ざんしていたのだ。
そりゃあ、冒頭で「改ざんしていませんか?」と聞かれて、「ウッ」となるはずだ。

 

森議員「こういうことを聞きたいから、原さんの参考人を要求してるんですよ。」

 

その参考人招致の要求にからんで、内閣府が事前に質問通告を気軽に本人に伝えてしまったのが、この事件である。

 

質問通告漏えいから見える、国会の荒廃
先日のブログでも触れた、森ゆうこ氏の質問通達が事前に政府から漏れていたという事件、掘り下げるほどに、これまで見えなかった別の問題が炙り出されてきた。 「これまでのあらすじ」は、下の記事を参考にして下さい。 1...

 

なぜ議事録は、原氏をその場に「いなかった」ことにしたかったのか。
それには理由がある。

 

森議員「この特区ワーキングで提案した団体は、外国人雇用協議会。原英史氏は、この団体の代表理事であります。」

 

外国人雇用協議会の主たる事務所は、原氏が代用を務める「株式会社 政策工房」と同住所にあるという。
(ちなみに、政策工房の公式サイトを覗いてみたら、トップページがツイッターの窓で、そこには高橋洋一氏の森議員をディするツイートが流れていた。どんな会社だよ。)

 

これまでの話をまとめると、国家戦略特区に自社の提案をし、国家戦略特区のWGメンバーとして検討し、省庁とのすり合わせには、議事録上からは姿を消しステルスで発言する。
これを追求しようとしている森議員に対して原氏は、
「国会議員が私人を名指しで誹謗している」
などと、訳のわからない理屈をネットにばらまき、さらに、森議員を懲戒するための署名をネットで呼びかけているという、もはや正気とは思えない行動に出ているのが、今現在だ。

 

ここまで国策に関わって、「私人」ってことはないだろ。
ああ、そういえば、国を動かす力を発揮していた女性が、その責任を逃れるのに「私人」と閣議決定して逃げ切った一件があったな。
あれを模倣する気なのだろうか。

 

最後に、参考までに付け加えておくと、皮肉にも同日に、類似の事案が報道された。

 

政府が9月に開いた全世代型社会保障検討会議の初会合を巡り、有識者メンバーとして政府方針と異なる意見を述べた中西宏明経団連会長の発言の一部が、公表された議事録に記載されていないことが7日分かった。
(2019年11月7日共同通信)

 

政府が出してくる「有識者会議」の議事録は、省庁や議事案件に関係なく、信用ができないということになる。
こういうのを、国の崩壊というのではないだろうか。

 

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