日韓GSOMIAを韓国政府が破棄を発表、というニュースが急に飛び込んできた。
GSOMIAとは、「軍事情報包括保護協定」のことで、漢字で書いたほうがぼんやりと意味が見える。北朝鮮や中国、ロシアなどの国々に関する軍事的な情報を共有できるよう整えられた約束事だ。
私がこの言葉を少し前に見かけたのは、次の記事だった。
(2019年7月29日朝日新聞)
7月の時点ですでにこんなことを言っていた金正恩氏は、今ごろ「イエス!」と、ガッツポーズをしているかもしれない。
記事末尾には、「米国は神経をとがらせている。」とある。
少なくとも、この協定破棄を米国が望んでいないことが窺える。
では、果たして、韓国独断によるヤケクソの行為なのだろうか?
実は、8月24日にGSOMIAがの協定が自動更新されるにさきがけて、23日まで米国のスティーブン・ビーガンという人物が韓国を訪れている。
この人物をWikiで見ると、「2019年現在、ドナルド・トランプ政権下でアメリカの北朝鮮政策特別代表。対北朝鮮との窓口で実務担当を担う。」とある。
このビーガン氏と、韓国大統領国家安全保障局のナンバー2であるキム・ヒョンジョン氏が、GSOMIAについて22日に協議を交わしたという。
ふつうに考えて、対日本の話が出ないはずがない。
つまり、この件に関して米国は、なんらかの理解はしているということではないか。
ここらへんの事情は、日本のメディアには一切流れていない。
一方、韓国の発表が報道されると、政府内の動揺の声が各社で報じられている。
官邸関係者「もう頭がついていけない」
防衛省幹部「信じられない」「想定外」
韓国大統領府がこれを発表したのは、午後6時20分。
その直後、安倍首相が官邸から足早に現れ、待ち構えていた報道陣に「GSOMIA破棄について」といった問いかけをされると、それに答えることもなく、足早に官邸を後にした。
そんなに急いでどちらへ?と思い、調べてみた。
午後6時33分、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ着。同ホテル内の日本料理店「千羽鶴」で経団連の御手洗冨士夫、榊原定征両名誉会長、三村明夫日本商工会議所会頭、桜田謙悟経済同友会代表幹事ら財界人と会食。
(2019年08月22日時事通信・首相動静)
ちょっと驚いた。
事態の深刻さを分かっていないのか、蚊帳の外なのか、それともよほど重要な会合なのか。
意味が分からない。
意味が分からないと言えば、これに対して表明した河野外相の談話もかなり意味不明だ。
(2019年08月22日産経)
半導体製造の材料を、「北朝鮮に横流ししている」などとして、ホワイト国から除外したのは日本政府ではないか。
つまり安全保障として信用がならないから、輸出優遇を取り消すというものであったはずだ。
それほど信用が出来ないというなら、北朝鮮に関する軍事情報共有もやめましょう、というのは、残念ながら向こうの筋が通っている。
「次元の異なる問題」というのは、かなり苦しいクレームだ。
それにしても、河野外相になってからの外交がヒドイ。
どんだけ韓国との溝を深めたのだろう。
拉致問題解決も、これで相当遠のいたし、さらに深まる韓国との溝で、徐々に産業も影響を受け始めるだろう。
そんなにイキがって、現政権はいったいどこを目指しているのか。
いい加減に国民がそろそろ政治を気にかけないと、日本はどんどんとんでもない方向に行ってしまう。