スポンサーリンク

電撃演出の米朝会談、「蚊帳の外」と嗤ってる場合じゃない

6月30日、日曜日の朝(ドイツ時間)ゆるりと起きて、ツイッターを開くと「4分後」というワードが、トレンドに上がっていた。
「トレンド」とは、ツイッターで、一定時間内に最も多く使用されたワードのことだ。
調べてみると、NHKが「トランプ大統領が金正恩氏と、4分後に対面する」と速報を打ったものに、多くの人が反応し、「4分後」という言葉の頻度が爆発的に上がったらしい。

 

実際には、4分以上の時間がかかったが、その「対面」は、瞬く間に世界に中継された。

まず、SPも周りに置かず、全くの無防備な状態で国境まで一人で歩いて行くトランプ氏の映像は衝撃的だった。
仮にも、ミサイルを向けあい、ついこの間まで戦争状態にあった国の首脳同士である。
この映像だけでも、世界に米朝の和平をイメージづけるのに十分な説得力がある。

 

トランプ氏によれば、前日に彼が「会いましょうよ」とツイートしたことがきっかけで、「うん、いいよ。」と、話が進んだということになっているが、いくらなんでもそんなバカな話があるだろうか。

 

NHKも今回の出来事を報じるのに、こんな見出しを使っている。

それはツイートから始まった “電撃” 米朝会談ドキュメント
(2019年6月30日NHK)

NHKをはじめとしたマスコミは、あくまでこの「対面」が、前日のトランプ氏のツイートから、急に起こったことにしたいようだ。
そこに疑念を挟む報道はほとんどなく、一部の知識人が「そんなわけあるか」とコメントしていることにとどまっている。
その意図は、マスコミというより、そういうことにしておきたい日本政府の意思を、マスコミが忖度した結果なのかもしれない。
今回、総理や閣僚はもちろんのこと、外務省までがまったくの不意打ちを食らった。
G20が終わってから、一つのツイートによって突然成立した「対面」であったほうが、かく恥も少なくて済むというものだ。

 

6月12日、すでにこんな報道があった。

《トランプ大統領、金委員長から親書 3回目の米朝首脳会談に前向き》
ドナルド・トランプ米大統領は11日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から親書を受け取ったと明らかにし、3回目の米朝首脳会談の開催に前向きな姿勢を示した。
トランプ大統領はホワイトハウスで、「素敵な手紙」だったと述べた。親書の内容は明らかにしなかった。
(2019年6月12日AFP)

遅くとも、この頃から、サプライズの計画は水面下で進んでいたとみるのが妥当だ。
トランプ大統領は、この「親書」に対して、きちんと返事まで出している。

 

《金正恩氏、トランプ氏から「素晴らしい」親書受け取る 「並外れた勇気」と称賛》
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、アメリカのドナルド・トランプ大統領から親書を受け取った。北朝鮮の朝鮮中央通信が23日、伝えた。
同通信によると、金氏は親書を「素晴らしい」と称賛。「興味深い内容について真剣に検討する」と述べたという。
(2019年6月24日BBC・NEWS JAPAN)

この「興味深い内容」というのは、トランプ氏のサプライズ計画だったのではないか。
もちろん後付けの憶測に過ぎないのだが。

 

G20が始まってからは、こんなことも起きている。

文大統領 G20で仏大統領と急きょ会談
当初の予定にはなかったが、フランス側の要請を受け急きょ開催されたという。
(2019年6月28日聯合ニュース)

フランス政府は、秘密計画をつかんだのではないだろうか。

 

そんな中で、我ら安倍首相の動きはというと・・・。

 韓国政府は、「現場で日本側が会おうと言えば、いつでも会う」(大統領府高官)との立場で、土壇場での会談実現に期待をつないでいた。しかし、首相は、28日のサミット開幕と同日夕の文化行事で各国首脳らを出迎えた際、文氏と数秒、握手を交わしただけで、同日夜の首脳夕食会でも、文氏に自分とは別のテーブルを割り当てた。偶発的な立ち話もなかったとみられる。
(2019年6月30日読売新聞)

すり寄る文大統領に肘鉄一撃とばかりの、勇ましい対応。

 

この翌日、トランプ大統領は、次の訪問地韓国に向かう。
冷静に考えれば、文大統領とはすでに大阪で会っているわけだから、その後わざわざ韓国に赴くというのは、文大統領との面会以外に、何か別の目的があったことは、すでに想像がつくのだ。

 

結果的に、日本政府の「蚊帳の外」疑惑を大々的に肯定するような仕上がりになってしまった。

極東に和平が訪れたとき、かつて極東の経済ナンバーワンだった国が、なんの影響も与えられない存在と化していくのが、心底残念である。
経済規模では中国に抜かれたといえ、小さな島国が、第二次世界大戦後から急速に経済発展して、いち早く先進国の仲間入りをした見識を示すこともできず、選挙前に首相の支持層である、嫌韓の人々を気持ちよくさせる行為にばかりに没頭して、その実、諸外国からは本気で相手にされなくなっていく。

 

そんな心配もよそに、日本政府はさらなる肘鉄を韓国に食わせようとしている。

半導体などの原材料 韓国への輸出規制強化
経済産業省は、韓国に対して、安全保障上の友好国に与えている輸出管理の優遇措置を見直す方針を発表しました。
合わせて、高純度のフッ化水素、フッ化ポリイミド、それにレジストの3品目について輸出の際の規制を強化します。
(中略)今回、輸出の規制が強化されるのは「高純度のフッ化水素」、「フッ化ポリイミド」、それに「レジスト」の3品目です。
メーカーなどによりますと、これらはデジタル家電向けの半導体の製造などに広く使われています。
(2019年7月1日NHK)

 

これが、どういう事態を招くのか。
私には知識がないので、知識のある方のツイートを拝借する。

 

これは怖い。
粗悪な情緒を優先して、こんな外交をやっていたら、単に市場を失って終わるだけの話だ。
韓国が困るとしても、それは一時の話だろう。

 

話は「蚊帳の外」と、安倍首相を嗤って終わる話ではない。
早急に、マトモにディール出来る人物をトップに据えないと、遅かれ早かれ日本はどんどん堕ちていくだろう。

 

にほんブログ村 政治ブログへ