スポンサーリンク

「コロナ危機対応」そして「定年問題」、デタラメすぎる安倍政権

コロナウィルスの感染者が毎日カウントされていく中で、発熱等の症状が出ながら「保健所が検査をしてくれない」と訴える人が多くいるようだ。
なぜ検査をしないのか?
五輪に向けて感染者数の実績を増やさないために違いない、とか、検査にかかる費用を国が惜しんでいるためだ、とか、いろいろな憶測がささやかれる。
いずれにしても、現政府の危機に対するあまりの無能さが、今回の件で明らかになったのではないだろうか。
そういう意味でも、一度「国家的危機」を官房長官として経験したことのある、2月26日の枝野氏の予算委質疑は圧巻であった。

 

コロナウィルス対策に関する政府が発表した「基本方針」について。

 

枝野氏「基本方針と称されるものが出ましたが、国民の皆さんをはじめいろんな皆さんに、御協力をお願いしたいと、さまざまなところにお願いをしなければならないのは間違いないのですが、政府がなにをするのか出てこないんですね、特に政府の持っている資源や権限をどう利用するのか。基本的に皆さんにご協力をお願いするだけで、政府の持っている権限と財政なども含めた資源を使って、昨日の対処方針で何かすることを書いてあったんですか?」

 

これね、実は私もものすごく気になっていた点。
2日もかけて練り込んだ政府の「基本方針」のはずなのに、自治体や企業、国民に「ああして下さい、こうして下さい」と呼びかける文章ばかりで、政府がなにをするのかが明確に書いていない。
書いてあるのは、「しっかり」「十分に」のような形容動詞ばかりで、政府が具体的になにをするのかがほとんどない。
これを読んだとき、私も同様に「政府の無能」を感じた。

 

枝野氏「政府全体の危機意識が足りないのではないか。この問題に対する政府の対策本部は1月30日からスタートして、基本方針を決めた昨日は長かったようですが、それ以外は10分程度、それで間違いないですか?」
スガ氏「15分を超えたときも何回かあった。」

 

ここから、国家的危機を経験した元官房長官としての指摘がはじまる。

 

枝野氏「政府の対策本部というのは閣僚が顔をあわせるが、そこで実質的議論が出来るかと言えば難しい。とは言え、各省大臣が集まって会議をするには、事前に各省間が調整して、全体で概ね出来るよね、となったことが、そこで確認をされて政府方針になる。ところがこれについて、(資料を出したのは)出入国管理以外はほとんどが厚労省だけ。他の役所は他人ごとなんですよ。東日本大震災では、毎回のように異なる省庁から状況報告があった。例えば学校なら文科省、経済の影響なら経産省、いろいろな役所に出来ることがある。厚労省が人手不足なら、例えば直接医療に関わる業務は無理だが、地方から情報を集めて、何件検査が出来たかまとめる、こうしたことは他省の職員でもできる。大震災の時は、地方自治体に他の自治体から行ってもらったり、中央からも行っていただいた。そういったことを、なにかこの対策本部でやったんですか?」

 

これに対する安倍首相の答弁は、首相の指示が対策本部で発せられると、内閣府の連絡会議に集まっている担当者が実務をとる、というもの。
まぁ、要するに現場レベルでやっているというような答弁なのだ。

 

枝野氏「みんな厚労省押し付けで、政府を挙げてやっているという感覚が足りないんじゃないですか?だいたいそもそも、昨日政府の基本方針が出されました。それ会見したの誰ですか?厚労大臣じゃないですか?これ、総理や官房長官がやるべきじゃないですか?対策会議を開いて、全省庁を挙げてやっている。まさに答えるべきは、安心してください、ここまでやってますよと、言う責任があるのは、総理や官房長官じゃないですか?」

 

たしかにそうだ。
国家的危機と言われるほどの状況で、担当相が「政府基本方針」を発表するというのはおかしい。
日本人がノーベル賞を受賞したとか、総理とは関係のない「慶事」ではなにかと出たがる安倍総理だが、こうした面倒なものには、一切顔を出したがらない。
外国紙に「Where is Abe?」と揶揄されるのも無理はない。

 

さて、枝野氏からは「検事長定年延長」問題に関しても質疑が出た。

 

この問題に関する矛盾する時系列はこの記事を参考に。

 

「検事長定年延長」問題、閣議決定に必死で寄せる大臣と官僚
コロナウィルスの感染拡大で日本中の関心がそちらに持っていかれる中、国会では黒川検事の定年延長問題という、「行政と法」に関わる、深刻な問題が議論されている。 ここで議論されている「与党政府の理屈」が通れば、今後日本では、行政が思うように法の...

 

枝野氏「口頭決裁という訳の分からんことを言い出した。大事なことを文書で決裁する理由は何ですか?」
森大臣「ぜひ、シナリオではなく、ファクトの積み上げでご議論させていただきたい。(議場騒然)(要約)口頭で決裁することはよくある。」

 

質問とは全く関係のない、自信の主張、それも事実とは異なった単なる主張を答弁のアタマに差し込んでくるところは、安倍首相の答弁にそっくりだ。
忖度してると、こういうクセまで感染るのだろうか。

 

枝野氏「検察官の勤務延長は適用しないという政府の解釈がすでにあったんです。すでにある解釈を変更するにあたっては、なぜ変更しなければならないのか、なぜ変更が合理的なのか、その説明がなければいけないが、今日出された、法務省事務次官まであげて、議論をしたという紙にも、そのことについて一言も書いてないんです。人事院に回した紙にも、その必要性、合理性を一言も説明していない。つまり、過去に解釈があることをすっかり見落として、勝手にとにかく定年延長させろという話があったから、だから延長して、なんとか整合性が取れそうだ。これが走ってしまった。明らかに手続き的な瑕疵で違法であって、彼はいま検事長ではないということを申し上げておきたい。」

 

そして、最後にダメ押し。

 

枝野氏「もし、仮に国家公務員法の勤務延長の話が適用されるのだとすれば、人事院規則にその詳細が書かれている。名人芸的技能を持っている場合。離島その他へき地等に勤務している場合。大型研究プロジェクトの場合。ふたつ目三つ目全然当たりません。なんの名人芸ですか?総理に取り入る名人芸ですか?現場の捜査の経験なんて少ない方じゃないですか、あの検事長は。全くこの三つのどれにも当てはまらない。最後にもう一点。ここに留意点が書いてあります。(ハイここ大事)当該職務に従事させるため引き続き勤務させる制度であり、勤務延長後、当該職員を原則として他の官職に異動させることができない。つまり、彼を検事総長に上げたら、人事院規則に反するということを指摘をしておきたいと思います。」

 

山尾氏に続き、ダメ押しのゴールといったかんじだ。
これで、検事長を定年延長させ、さらに彼を検事総長に据えようという官邸の目論見は、二重に違法ということになった。

 

おまけのようで申し訳ないが、共産党の藤野議員からも、いい質問が出ている。

 

藤野議員「今朝の理事会で、法務省から驚くべき文書が出てきました。この資料の一枚目の下のほう、『検察庁法のいわば前身である裁判所構成法(明治23年法律第6号)』、これが出てきてですね、この法律の主旨が国家公務員法の主旨と同じだという論建てで、それで今回も定年制度が適用できるという論建て。裁判所構成法というのは大日本帝国憲法下であって、これは司法行政権は当時の行政府である司法大臣の監督下にあったんですね。三権分立なんて極めて不十分な、そうした法体系にある裁判所構成法が、ここでなぜ持ち出されて来たのか?」

 

宮本徹氏のツイッターから、この問題の文書を閲覧することが出来るのでリンクを貼っておく。

 

 

戦後の議論の多くの積み上げの中で、「国家公務員法の定年には検察官は適用しない」という明確な答弁があるにもかかわらず、政府はこともあろうに権力分立が未熟であった大日本帝国憲法下の司法の例を持ち出してきて、正当性を訴える。
いったいどういう発想なのだろう。

新型肺炎の蔓延という危機を迎えながら、こうした体をなしてない政府に対応を求めざるを得ない状況は、二重の意味で危機ではないだろうか。
多くの人が政治に関心をなくすと、どういう事態を招くのか、大きな代償を払って勉強をさせられている瞬間なのかもしれない。

 

にほんブログ村 政治ブログへ