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沖縄県民投票の不参加問題は、憲法に照らすのが一番よい

辺野古移設の賛否を問う県民投票の行方が混迷している。

石垣市、宮古島市、沖縄市、宜野湾市の市長が、県民投票不参加を表明したからだ。

ちょっと興味深いのは、2018年9月に実施された沖縄県知事選の市町ごとの結果だ。
沖縄市ではデニー氏の票が上回ったが、上記の他の3市では、さきま氏の得票が多かった。
つまり、県民投票をしたくないと言っている自治体は、ゴリゴリの自民系が強い保守地盤だと想像できる。

そういう自治体が県民投票に不参加を表明するということは、自民党本部からの圧力があるかどうかは想像の域でしかないが、少なくとも党本部から嫌われたくない「忖度」があるだろうことは考えられる。

また、辺野古反対票が万が一にも過半数を占めることになれば、沖縄保守派の弱体化にもつながり、現地の政治家はそれも怖れているのではないだろうか。

だから、県民投票はやりたくない。

しかし、これでは単なる政治家の保身が理由だ。
こんなことで、市民全員の投票権を剥奪することは、許されるのだろうか。

ただ、残念なことに現行法では、こうした市長の独断は、違法にはならないのだ。

が、あきらめるのはまだ早い。

そういう時に出番なのが「憲法」なのだ。

最近の憲法は、「改憲」という形でばかり注目を浴びることが多い。
でもこういう時に、法律の親分格でもある憲法に照らし、その法律が憲法の掲げる理念に適しているかどうかで公正さを求める、それが本来の使い方だ。

法律違反すれば何らかの罰則が伴うことが多い一方、憲法違反は特に誰かが罪に問われるわけではないので、感覚的に憲法が「キレイごとを掲げた看板」かのように勘違いしている人が多いように感じる。

確かに罰則を伴うものではないけれど、「憲法違反」ということがはっきりすれば、法律が吹き飛ぶ威力を持っているのが、本来の憲法の力なのだ。

憲法学者の木村草太氏も、沖縄タイムスへの寄稿で、市長の独断による住民投票不参加が、どのように憲法に違反するのか、専門家の見地から詳しく解説している。
もちろん、「法の下の平等」にも「表現の自由」にも引っかかるという手厳しい意見だ。

憲法を変えるとかなんとか言う前に、まずは身近な問題にどんどん憲法を活用してみてはどうか。
今回の「県民投票、参加・不参加問題」は、憲法に照らして多くの人の前で議論されるべきだと思う。

それによって、憲法の存在意義も同時に多くの人が理解する。
これはいいチャンスなのではないかな。