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「新型肺炎」感染研の定員削減、予算削減の対象除外を求める過去の質疑

2019年4月9日の参・内閣委員会から、田村智子議員の質疑を紹介する。(追記:4月22日→4月9日に日付を訂正しました。)
昨今の国家公務員の定員削減の観点から、国立感染症研究所で人手不足が起き、国の安全保障に支障をきたすのではないかという問題提起だ。
コロナウィルス肺炎の流行問題が起きる、約10か月前、こういう質疑があったことをツイッターで知ったので、詳しく聞き込んでみる。
なお、質疑の中で、閣僚が現在と違っている。

国家公務員の定員削減により、非正規職員が増大している。

 

田村議員「2015年度からの5年間、毎年2%、計10%の定員削減目標が各省に課せられている。行政機能が維持できるのかと危惧する。人事院の報告でも、定員削減、新規採用の抑制が、若年層の大幅減少の要因となっていることを否定できなくなっている。」

 

これ、どうすんだ?と宮越厚労相に尋ねるが、重点政策の人員は減らさないように努めているとか、厳しい財政、限られた財源というワードを使い、今後も定員削減は実施するが、大事なところにはきちんと人員を充てていく、という主旨を答弁した。

 

人員削減は、平均化すれば毎年2%というが、昨今の政府の態度を見ていると、国家運営としての重要度よりも、利権化しやすい部署、しにくい部署といった点が重視されているのではと想像してしまう。
均一化すれば2%かもしれないが、役人、政治家にとってさほど旨味のない部署では、これ以上の削減が行われていると思う。
先日明るみに出た、統計作成部門の深刻な人手不足がいい例ではないだろうか?

 

田村議員「国立感染症研究所は、感染症や病原体に対する国の対策対応の中核を担う機関です。感染症の基礎研究、および応用研究、ワクチンの開発から検査、国家検定、国内外の感染症流行状況の調査、監視など、我が国の感染症研究や危機管理を行っています。実際に感染症が発生すれば、地方衛生研究所と一緒に実働部隊としても行動いたします。致死性の感染症パンデミックが起きた場合は、職員や研究者は国家公務員として危機対応に当たるわけです。(中略)このように国の安全保障の一翼を担う国家機関ですから、独法化の対象にはならずに、国の直轄機関として維持されています。定員をしっかり確保するのが大事だと思います。」

 

国立感染症研究所の立ち位置がだいたい分かった。

 

田村議員「研究者が退職しても、新規職員が採用されないという実態が何年もありました。そうすると他の研究者が掛け持ちで対応することになる。エボラ熱の対策人員は増やしたというけれど、外部評価の報告書によれば、15の研究部があり、4のセンターがあり、部屋がウィルスだけでも3つの部、細菌で2つの部、寄生動物部、真菌担当、などなど、それぞれ担当部が違う。ところが退職があっても新規採用はしない。だから掛け持ちになってしまってる。ワクチンの国家検定などの業務は後回しに出来ないから、そこで後回しにされるのが研究。外部報告書の指摘にあるように、希少感染症の専門家が消滅する事態が起こりかねない。」

 

田村議員「定員だけではない。感染研の予算そのもの10年前からの水準から比べると、約20億円、3分の1減っている。国境を超えた人と物の異動はますます拡大をしていて、新たな感染症が持ち込まれる、こういう危険性に対する対策も不断に求められる。今この体制が弱体化していけば国民の健康声明に重大な脅威となる。国の感染症対策は、国の安全保障対策そのものではないのか。」

 

この、田村議員の二つの指摘に厚労省としての考え方を求めるが、特に感染症の非常事態が目の前にない2019年4月のこと、「ちゃんとやってます」「これからも努力します」的な、適当な答弁しか得られないので、いちいち引用しない。

 

田村議員「直近3回の報告書で、外部評価委員は、繰り返し『定員削減の対象外にすべきだ』と求めている。その危機感は報告書が新しくなるほど増している。」

 

こういう予算付けとか、人員削減は、特に報道がなければ一般に知られることはない。
なにか起きれば、こうした点が注目されるが、「なにか起きてからでは遅い」というのが、残念ながら現実だ。
武装面での安全保障をしか考えられない現政権は、こうした危機意識が大きくかけている。

 

ここで田村議員の最後の発言、もはや予言めいている。

 

田村議員「いま日本では、安倍政権が東京オリンピックなどを契機としてインバウンド、しきりに旗を振ります。外国人労働者の新たな受け入れ、これもやるんだと言います。日本で発生したことのないような感染症が持ち込まれるリスクは無視できないわけですよ。業務の合理化で研究がどうなってるのかということを、ぜひとも現場で聴いていただきたい。現場は相当疲弊しているという声が聞こえてくるわけですから、定員削減の対象外にすること、これを強く求めて質問を終わります。」

 

なんと・・・
2019年4月の話だが、この「求め」は入れられたのだろうか・・・?
まさかそんなことはないだろう。

 

現在2020年2月、新型肺炎の騒ぎでこの研究所がどんな働きをしているのか、つぶさに知ることは難しいが、現場に理不尽な負担がかけられていないことを願いたい。

 

※追記 2020年2月9日

田村智子氏のツイートから、「この質疑により、その後、人員が1名増えた」との報告があった。
1名・・・
それでも現場は助かったのだとか。

 

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