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高校普通科を見直し。え、なんで?

なにがしたいのか、ちょっと分からない政府の改革案が報道されていた。

というものだ。
具体的には、

自民党特命チーム政府の教育再生実行会議は今月、高校改革の提言をまとめる。同党の議論では普通科廃止も浮上したが、社会で一般的に必要な教育を行う学科の枠組みは残す。その上で「サイエンスを重視する」「地域人材育成を目指す」など特色に応じて類型化し、普通科を細分する。
とある。

自民党特命チームとは、馳浩本部長をトップに自民党内で構成されているので、質は言わずと知れたものだが、実際にメンバーを見てみると、「極右オールスター・2部」といった印象だ。

赤池誠章氏(ちびまる子ちゃんの「友達に国境はな~い」に「国境はあるだろ、ウソを教えるな」と文科省に猛クレームを付けた人)
丸山和也氏(「いまアメリカは黒人が大統領になっているんですよ。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ」の発言で参院憲法審委員を辞任した人)
池田佳孝氏(前川喜平氏の特別授業を開催した名古屋市教育委員会に、文科省経由で執拗に圧力をかけたことが発覚して炎上した人。)
義家弘介氏(ヤンキー先生。国会にて「朝礼での教育勅語の朗読は、問題のない行為」とするなどの発言もある)

そして、「政府の教育再生実行会議」は、安倍首相が座長を指名し、官僚がお手盛りで招聘した「ユーシキシャ」を従える、言ってみれば、加計学園獣医学部を鶴の一声で決めた「国家戦略特区諮問会議」の、文科省バージョンを想像すれば、ほぼ間違いはない。

こういう人たちが集まって、なにやら「高校の普通科」を改造しようという提案のようだ。
記事中には「普通科廃止も浮上した」という記述もあって(さすがにこの提案は退けられたようだが)、なにか穏やかならぬ予感がする。
なにをどう、いじろうとしているのか。

同記事には、こんな記述がある。

最大の焦点は、戦後新制高校が発足して以来手付かずだった「普通科」の改革。生徒がより目的意識を持って学べるよう「理数重視」や「地域人材育成」など学校の特色に応じた細分化が進む見込みだ。<中略>
今の高校教育について自民党の教育再生実行本部・高校の充実に関する特命チームの義家弘介主査は「完全に昭和の体制」と、早急な見直しを訴える。特に普通科は教育内容が画一的で、生徒も「学びたいものではなく、成績や内申点で行ける学校を選んでいる」(義家氏)。

「戦後・・手付かずだった」「完全に昭和の体制」などとあるが、なにか大きな問題が指摘されていたのだろうか?
必要がないから、大きな変更がなかっただけではないのか?
昭和の体制だってかまわないじゃないか。
数ある法律の中には、明治から変わってないものすらある。
昭和だからダメ、というのでは、新元号にタダ乗りして話を進めようとする意図しか伝わらない。

「普通科は教育内容が画一的」という批判も、なにが問題なのか分からない。
画一的だからこそ、全国どこの大学でも受験できるチャンスがある。
高校の履修教科に、学校や地域ごとの特色がありすぎたら、受験できる大学が絞られてしまう。
受験がある以上、高校の履修内容は、むしろ画一的である必要があるのではないか。

「生徒がより目的意識を持って学べるよう」とあるけれど、普通科に通う生徒の目的とは、たいていの場合、進学もしくは、大学教育を受けるに堪えうるレベルの基礎知識の習得だ。
高校で一生懸命勉強する子ほど、受験を見据えているのがふつうだろう。
目的意識は「受験」ではダメなのか?

とにかく普通科の早急な見直しを、訴える理由がよく分からない。
分からないところが、気味が悪い。

その気味悪さを払拭するために、官邸や文科省のHPにある、関係資料をいろいろ読んでみた。

すると、「ひょっとしてこれかな」と思う案件が浮き上がってきた。

高校生のための学びの基礎診断」という制度だ。

ざっくり言えば、高校のカリキュラム・マネジメントを業者に丸投げしてしまうシステムだ。

そういえば、大学入試側からは、「高大接続改革」という名で、センター試験にかわり「大学入学共通テスト」が導入され、英語は民間業者の試験が採用されるということで、物議を醸している。
業者が絡むということは、つまり利権だ。

ちょうど、右からは「高大接続改革」、左からは「高校生のための学びの基礎診断制度」という事業でトンネルを貫通させ、新しい利権が生まれるというものではないのか。

高校普通科を細分化することで、どんな儲け話に繋がるのだろう。
正直まだよく見えてこない。

ただ、現政権の性格から考えて、大学受験を一つのマーケットに仕立て上げようなんていうのは、いかにも考えつきそうなことだ。

普通科細分化が、今後どんな様相を表すのか、注視したい。

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