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人手不足は「アベノミクスで景気回復したから」ではない

「低すぎる最低賃金が人手不足の真の原因」
という、日経ビジネスの記事が、ちょっと話題になっている。

最低賃金が低すぎるという意見は、左派系やリベラルの人々の間では、すでに言われて久しい。

外国人労働者を正式に招き入れる「入管法改正」が国会で審議されたときには、安倍政権は盛んに、「景気回復による人手不足」を理由に訴えた。
それは単なる、「安い賃金の労働者不足」のすり替えである、という野党の指摘も、最終的には数の力で蹴散らされ、結局「安い労働者」を外国から入れるための「入管法改正案」は、可決した。

最低賃金に対する世の中の考え方が変わってきた?

今回、「日経ビジネス」という媒体から、こういう記事が出たことは、軽い驚きもあった。

株価の維持と経団連企業の順調な業績以外には、あまり興味のない、経営者目線しか持たないメディアだと思っているからだ。
富める者がまず富めば、その恩恵が低所得者層にしたたり落ちる「トリクルダウン」を標榜したアベノミクスだったが、したたり落ちるどころか、むしろ「負」の影響が下から上へ逆流した感すらある

ようやく経営者目線の人たちも、「生活するに十分な賃金」すら与えられないビジネスモデルの企業と共存しては、結局自分たちも割を食うことになると、気づき始めたのだろうか。

どちらかというと、安倍政権応援メディアである日経が、「景気回復による人手不足」という折からの安倍首相の言い分を、しれっと無視して「低賃金のせいですよ」と言い始めたのは、結構大きな変化のように感じる。

「人手不足」解消だけでなく「生産性」も向上する

安倍政権は、働き方改革で、国全体の「生産性」を上げることを目標に掲げてきたが、低い生産性の原因は、労働者にあるのではない。
設備投資して機械やシステムを入れるよりも、安い労働力の人海戦術で臨んだ方がコストが安くつくのなら、経営者は考えることもなく後者を選ぶだろう。
ひいては、企業間の安い人材の取り合い、人手不足が起こるのだ。

その人手不足を安易に外国人で補おうと、新入管法を決定してしまったことは、きっと大きな禍根を残すことになる。

最低賃金が上がれば、人件費にあえぐ利益の上がらないビジネスモデルの企業は淘汰される
一時は、倒産とともに職を失う労働者もたくさん出るかもしれないが、行政のセーフティネットさえしっかりしていれば、次の就職先がみつかるまでどうにかなる。
そして、生き残っていける企業は、割高になった労働力をどうやって効率的に動かそうかと頭を使うようになる
まさに「生産性の向上」そのものではないか。

生産性の上がらない業務で、大切なヒューマンリソースをむさぼるような企業には、早々に退場いただいて、新しく生まれたビジネスに入れ替わる。
こうした新陳代謝は、経済成長するには、必要不可欠であるはずだ。
まして、人口減少が始まっている日本では、優良企業とブラック企業の淘汰による選別が、急がれると思う。

 

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