勤労統計の不正をめぐる閉会中審査が行われた。
追及は、統計の不正そのものではなく、おもに事件の経緯を調査する手法に集中した。
すでに第三者を入れた厚労省の「特別監察委員会」で中間発表が出ているのだが、その調査の方法が、あまりに「泥棒に縄をなわせる」やりかたそのもので、言葉を失う。
立憲・大串氏「特別監察委員会の責任者は誰?」
大臣、明確に答えられず
ふつうなら、大臣である根本厚労大臣が、調査の全指揮をとって、報告書に最終OKを出すのが筋ではないか?
ところがそれができない。
「第三者のチームで調査がされた」というフレーズを、B級テクノのように繰り返すばかりで、
「管轄大臣の名において自信を持って公表できる調査内容である!」
と、はっきりと言うことが出来ないのだ。
大臣やってる意味はあるのか?と問いたい。
立憲・大串氏「延べ69人に聞き取り調査と報告書にはあるが、実際には何人が聴取されているのか」
驚くことに、こんな基本的な質問で約30分も速記中止、スポーツで言う「タイム」が取られる。
政府側が集まり、ゴチャゴチャと打ち合わせた結果、やっと出てきた答えがこれだ。
「実人数は31人です。」
なんと半分以下。
この回答をするのに、タイムを取ってまで、ゴチャゴチャ打ち合わせる必要があるのか?
その態度からも、実数の倍以上である「延べ人数」を書くことで、調査の規模を大きく見せるという、姑息な意図があったと思わざるを得ない。
驚くのはそこだけではない。
局長級と課長級計20人(ちょっとエラめの人)→外部有識者が聞き取り
課長補佐級以下11人(現場の末端職員)→外部を入れず内部職員だけの聞き取り
まさに実務に関わったであろう現場の職員は、厚労省内の官僚に聞き取りをされたということだ。第三者調査員抜きで。
言葉が出ない・・。
肝心のところに第三者が関わってないんじゃないか。
立憲・大串氏「では、大臣はそれらの事実を知ってましたか?」
ここでまたタイム。
多すぎるよ、タイム!
背後の官僚たちとゴニョゴニョしたのち、
「報告を受けていません」
と大臣。
この大臣はあまりにも無能なので、辞めさせるべきだと思った。
長年行われていた不正の発覚時点でたまたま大臣をやっていた根本氏に、その責任を取って辞任しろというのは、確かに気の毒だ。そんなことは言わない。
だけど、起きた問題に対処し、解決し、再発を防止するという指揮をとれない大臣を据えて、ウヤムヤにことをやり過ごせば、同じようなことが必ずまた起きる。
そうでなくても厚労省の不祥事が、ここ最近立て続けに起きているのだ。
そして、さらなる審議で、この報告書のたたき台は厚労省職員が作成したということも明らかになった。
「第三者」ってのは、名義貸しかなんかなのか?
この「第三者が加わった特別監察委員会」という怪しげな調査チームは解散して、完全なる外部有識者で結成した調査チームを新たに作り、もう一度はじめから調査をすることが必要だと思う。
それにしても、どうしてこの国は、責任のありかを追求することがこれほどまで苦手なのだろう。